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雨の日には

必ずビニール傘を使う。
雨粒が落ちてくるのを
視覚的に味わえるから。

どよっとした薄曇り空
傘の上を滑り落ちる雫
その軌道を追い掛ける。

傘面を踊る雨粒たちは
露先から真っ直ぐ泳ぐ。
吸い寄せられるように
落ちて大地に溶け込む。

ほんの少し溢れ出して
ぴたぴたと溜まり出す。

靴先から自分の身体も
段々と雨になっていく。

雨だけが人を雨にする。

夏の終わりらしくない
静かな雨が降りつづく。

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