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リース大手・エアキャップが印インディゴに貨物換装型A321Fの1号機を納入

エアキャップ・ホールディングスと言えば、ニューヨーク証券取引所にも上場している航空機リースの最大手業者ですが、同社がこの10月末、いまやインド最大の航空会社に登り詰めているインディゴ(IndiGo)に対し、エアキャップとしては初の扱いになるA321旅客機の換装型貨物機シリーズの1号機を納入しました。
換装型A321Fは積載重量で27トン、航空コンテナにして14本をメーンデッキ、ロワーデッキにはパレットを積載できる使い勝手がいい貨物機として知られています。

エアキャップの発表によれば、同機のフレイターへの換装工事そのものは、エアバスとシンガポールのSTエンジニアリング・アエロスペースの合弁会社である“エルベ・フルークツォイクヴェルケ社(略称EFW、本社:独ドレスデン市)”という会社が行っています。EFWはエアバス機の補修や改造を専門に手掛けている企業ですから、今回、エアキャップから旅客機を貨物機に換装する業務(P2Fと言います)を請け負ったP2F大手業者のSTエンジニアリングも、安心して換装工事を同社に委託しました。その流れがあるため、換装型A321Fはインディゴに納入する前に、まずシンガポール空港のSTエンジニアリングのハンガーで最終チェックされ、エアキャップに引き渡されたのです。

シンガポール空港のSTエンジニアリング・ハンガーに駐機するA321換装型フレイターの前で、
エアキャップとしての1号機引き渡しを祝う関係者たち

昨22年にエアキャップは、A321-200のP2F改造を15機と、さらにEFWへの換装工事発注分として別にもう15機、A321のP2Fオプションを確定発注したと明らかにしました。このうち何機のA321換装フレイターがインディゴに引き渡されるのかは未発表ですが、相当数をインドで急成長中の同社が入手しそうな雰囲気です。

エアキャップ貨物機リース部門の責任者リッチ・グリーナー氏は、「長年の顧客であるインディゴ社に向けて、わが社初のA321旅客機換装型の貨物機を納入できることは嬉しい」と述べ、「A321換装フレイターは狭胴型クラス最高の貨物機であり、インディゴにとって燃料効率の面で優れた経済性をもたらすとともに、増大する物流需要を柔軟に満たしてくれる機材となるでしょう」と付け加えました。

P2F事業はこのところ活況を呈しています。コロナ・パンデミックの最盛期に旅行需要が激減した時期、中古航空機の市場価格が暴落したことに加え、ワクチンや薬品、巣篭もり品などの貿易が急増して貨物機需要がうなぎ登りになったことが重なって、中古旅客機を貨物機に改造する機運が世界的に高まりました。
今後も、EC(電子取引)商品のエクスプレス輸送需要が高まりこそすれ減りはしないとも予測されているため、特に小回りのきくA321、ボーイングで言えばB737クラスの貨物機が好まれそうですね。とくに、これら狭胴型クラスは現在、世界中で次々にCO2排出を減らす次世代型機に入れ替わっていますから、前世代型の機材はどんどんP2Fに回されるケースが増えてきそうです。

P2Fを専門に手掛ける企業として名高いのは、上述したSTエンジニアリングのほか、イスラエルのエアロスペース・インダストリーズ、米国のエアロノーティカル・エンジニアーズなどでしょうか。
STエンジニアリングのジェリー・ラム社長によると、P2Fは通常、改造に3ヵ月から4ヵ月要するため生産能力を増強する必要に迫られているとのこと。将来的には年間処理能力を今年の1桁台から25〜30機に増強する計画だそうで、来24年はA321を少なくとも18機、改造する予定としています。
今回のエアキャップ/インディゴ向けのP2F工事の多くにドイツのEFWを起用したのも、P2F工事拠点を拡大していく意欲の現れかもしれませんね。

2023年11月6日掲載

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