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LOTポーランド航空の昨22年は5年ぶり利益、貨物売上高は262億円!

ポーランドのフラッグキャリア・ポーランド航空(LOT)の株主総会がこのほど、昨2022年の財務諸表を承認したところによると、LOTは同年に米ドル換算で2800万ドル(約38億5000万円)の利益を上げたとしている。これは同社にとって5年ぶりの利益となった。

同社財務諸表の発表によると、LOTは昨22年、83億ズウォティ(約2880億円)を超える売上高を記録し、1億1370万ズウォティ(約39億円)を超える利益を上げた。注目すべきは貨物部門のLOTカーゴの売上高で、過去最高の7億5500万ズウォティ(約262億円)を記録した。同社広報は、「この業績は、同社が段階的に進めてきた商業・運営戦略によって収益性の高い道へ回帰しつつあることを意味する」としている。

LOTポーランド航空の国際長距離線はB787ドリームライナーで運航されている

22年のLOTは9万便を超えるフライトを達成し、800万人近くの乗客を運び、搭乗率は80%を超えた。LOTが拠点とするポーランドの発着路線が、隣国ウクライナに仕掛けたロシアの侵略戦争によって大きな影響を受けたことを考えると、この結果は大健闘の部類に入るだろう。事実、LOTが運営していたウクライナ接続路線のうちの11本が今も運航停止のやむなきに至っている。紛争の影響を受ける地域を迂回する必要性から、アジア行き長距離便のように運航時間が2時間以上延長となるルートもあるなど、コスト増の要因も増えている。

一方で、世界中から送られる隣国ウクライナのための支援物資や復興物資などをポーランドに蓄積する輸送需要が急増したことが、同社の貨物輸送量を大きく押し上げたことは想像に難くない。それが、かつてない記録的な貨物部門の売上高となったものだろう。

路線的には、今後も東欧/西欧間の欧州域内輸送を中心に強化するほか、長距離路線では米国、カナダ、中国、日本、韓国への直行便をさらに充実していくとしている。
LOTの運航開始は1929年と、世界で12番目という歴史の古さを誇るエアラインであり、ここ数ヵ月間は欧州で最も運航時間の正確な航空会社ランキングで常にトップスリー以内に入っているというサービス品質の高さも自慢のタネだ。
この23年実績も、ここまでは好調に推移しているため、同社首脳は国家援助金という負債を返却していく行程にも楽観的な見通しを立てることができるようになりそうだ。

2023年7月14日掲載



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