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エアバスが英で“水素航空アライアンス”を設立

欧州の航空機メーカー・エアバスは9月5日、英LCCのイージージェット/エンジンメーカーのロールスロイス/航空産業のGKNエアロスペース/英ブリストル空港/再生エネルギー企業である英オルステッドとともに、航空ゼロカーボンの実現を加速するため“水素航空(Hydrogen in Aviation=HIA)アライアンス”を設立した。

現在、世界で年間45億人が利用し1600万便も運航されている航空機が生み出すCO2は、世界のCO2総排出量の2.5%を占めるだけに、その排出削減もしくはゼロ化は世界航空関連業界の急務となっている。

航空機の脱炭素化には、SAF(持続可能な航空燃料)、合成燃料、バッテリー電動などさまざまな選択肢があるが、今回設立されたプロジェクトグループHIAは水素燃料こそ最適として着目し、その実運航での利用に向けて動き出したもの。航空機の脱酸素化は重要な課題だが、SAFやその他合成燃料と異なり、水素(特にグリーン水素)は電動と同様にまったくCO2を排出しないため、エコな航空機燃料としての可能性を秘めているとしている。

エアバスが考える水素燃料ジェットの完成予想図(出典:エアバス)

水素燃料を短距離フライトにおいてはとくに有望な代替燃料と考えたエアバスは、2035年からの商業運航開始をめざし、水素燃料で飛行可能な新しい航空機を開発中だ。
航空機エンジンメーカーのロールス・ロイスも昨22年に行った水素燃料の地上試験が成功したことにより、水素がジェットエンジンの動力源になりうると証明した。
一方で、すでに水素燃料による飛行試験を実施しているゼロアビア社やユニバーサル・ハイドロジェン社を筆頭に、多くの小規模な事業者が水素を動力源とする航空機の開発を急速に進めているところまできている。

エアバス最高技術責任者のサビーネ・クラウケ氏は、「エアバスは水素燃料飛行の実現に必要な航空機技術開発を続けるなか、再生可能エネルギーとしての水素燃料のエコシステムを確保するには、航空関連業界の団結した声が必要と考えた。英国の航空業界全体で、脱炭素化された航空の未来を作っていく」とHIAアライアンス設立についてコメントしている。

HIAアライアンスは現在、航空ゼロカーボンの実現を加速させるために英国内での研究開発スピードを早めている。2035年には水素を燃料とする初のナローボディ航空機が、英国および欧州全域の短距離フライトに投入される予定を立てているところだ。
航空ゼロカーボンが実現すれば、結果として英国にも年間340億ポンドの経済的利益をもたらすことになると予測している。

2023年9月12日掲載

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