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ボーイングが一部737MAXの引き渡しを一時停止へ供給部品の一部に問題発生で

米航空機メーカー・ボーイングは現地時間の4月13日、737MAXの引き渡しを一部について停止したことを明らかにした。発表によれば、部品サプライヤーの1社である米スピリット・エアロシステムズから供給された部品の一部に問題があることが判明したためという。同時にボーイングは、この問題は現在運航中の737MAX機材の安全性に影響を与えるものではないとしている。

現地紙の報道によると、航空機部品メーカーのスピリット・エアロ社は737MAXシリーズのフレームの大部分を製造しているが、今回、問題が判明したのは胴体に垂直尾翼を取り付ける8つの金具部品。そのうち2つの部品について正しく取り付けられていなかったことがボーイングに報告されたため。

これによって航空会社への納入遅延という影響を受ける機材は737MAX-8、737MAX-7などで、さらに737-800型を基にしている軍用機P-8A哨戒機も影響が及ぶようだ。また、737MAX-9は他の部品メーカーの金具を使用しているため、今回の不具合の対象外とされている。
しかし一方で、今回の不具合は2019年に製造された737MAXシリーズの機体にまで及ぶ可能性が指摘されており、現在製造中や引き渡し待ちの機体以外にも影響が及ぶかもしれない。この点についてボーイングでは現在調査中とコメントしている。

2022年の納入数は374機となったB737MAX。すでに引き渡された機材に影響が及ぶかもしれない。

737MAXは、2018年10月と2019年3月の合わせて二度の墜落事故を起こして各国で飛行停止命令を受けたことがあり、2020年11月にFAA(米国連邦航空局)がようやく引き渡し再開や運航再開を承認したという経緯があるため、ボーイングでも神経質にならざるを得ないが、同社スポークスマンは「一時的に引き渡し機数が減るが、比較的短期に解決する問題」と語っている。

欧州の航空機メーカー・エアバスとの競合では、世界第2位の航空大国に成長しつつある中国と米国との関係が悪化している影響を受けて、中国からの受注に多くを期待できないボーイングと、中国からの大量受注を享受しつつあるエアバスというのが最近の局面だ。押し込まれているボーイングにとって737MAXはいまやドル箱のベストセラー機であるだけに、今回の納入一時停止はボ社にとってきわめて痛い出来事になっている。

2023年4月25日掲載


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