KiMありがとうのお話。

F.I.Bを表舞台に連れ戻せたのはKiMしかできなかったであろうということは、京都にいる人なら誰もが納得の事実なのですが、県外のファンにとってはなぜ復活の場が今回の「武骨夜」でないといけなかったのかあまり伝わっていないようなので、いちF.I.Bファンの視点からこの数年間を少し振り返ってみたいと思います。

あくまでもいちファンの視点なので多少見当違いでもそのあたりは大目にみてくださいね。


あと本来ならわたくしF.I.B関係の記事はカナダ無人島生活&F.I.Bライブレポをやっているメインブログ

に書くのですが、しばらく更新していなくて気まずいのと、どうせ向こうのブログも復活するならライブレポでという気持ちがあるため本日は番外編ということでこちらに書きます。



KiMは1995年結成の京都のハードコアバンドでF.I.Bにとっては大先輩です。県外でもたくさん演っていらっしゃるので、漢気溢れる熱いライブを見たことがある皆さまも多いのではないでしょうか。
F.I.Bとは2011年の終わりくらいから対バンの回数が急増したと思います。


いつから一緒にやるようになったのか正確には思い出せないですが、わたしの記憶に強く残っている最初のライブは2011年10月22日にあったKiMの「武骨夜」とF.I.Bの「FIRE CRACKER」の合同企画です。


京都木屋町Billyという場所で開催されたこのライブは当初は京都ウーピーズ(この年の8月に突然閉店しました)での開催が予定されていたようで、当時のわたしの手帳にはF.I.B@WHOOPEESと書いてあります。
SLANG、NEW DOWN、DRADNATSにTHE BRYAN、そして主催のKiM / F.I.Bというメンツでした。

「木屋町」という京都の夜の飲み屋街は、多分京都バンドの皆さんにとってはさまざまな人間模様が繰り広げられるとても大事な場所だと思います。でも福井の山奥から出てきたわたしのような田舎者にとってはちょっと怖かったんです。
ライブ会場にもハードコアなお兄さんたちがたくさんいて、わたしのようなへっぽこ姉ちゃんがこんな場に居ていいのだろうか、邪魔だと思われていないだろうかとビクビクしていた覚えがあります。
怖かったけどライブ自体はとても楽しかったです。


KiMとF.I.Bはそれ以降も何度も対バンしました。
2012年3月の京都GROWLYのこけらおとしでも一緒だったし、印象的だったのはさらにその3ヶ月後、場所は同じ京都GROWLYですね。

KiMがまた「武骨夜」を開催してF.I.Bを呼んでくれたのですが、


「俺らのライブはいつも男の客ばかりで、女の子にも見てほしいから…」
という理由で、女性割引なんてものがあったんです!(GROWLYのHPより引用。画像いちばん下の赤い文字に注目)

それで「ああ、KiMのライブは熱い漢たちだけのためのものじゃなくって、女のわたしらでも歓迎されていて、堂々と見ていいんだ。感情が高ぶったら遠慮なく拳上げていいんだ…!」とわかってすごく安心しました。

緊張感と漢気あふれる凄いライブをするのにこんなことをしてくれるお茶目な一面もあるのかとうれしくなり、日本語なので何度も見ているうちに曲も身体に染み着き、いつしか怖さもビクビクも消えて大好きなバンドになっていきました。
そういやツアーではF.I.Bのイントロをカバーしてくれたなんてこともありましたね。お茶目です。


こうして武骨夜に何度も出演したり合同企画を行ったり、KiMのウッドベースの優さんが当時やっていらっしゃった木屋町のバー「BLOOM ALL」の周年イベントに呼ばれてライブをしたり、とにかく2012年以降のF.I.BとKiMは京都のシーンのなかで誰の目にもわかるような信頼関係で結ばれた盟友だったんです。


わたしらは客なので、バンドどうしの人間関係の深さはライブのMCやSNSくらいでしか計り知ることはできないけれど、

おそらくこのたくさんの対バンの裏側で(たぶん多くの場合、夜の木屋町で笑)何度も何度もお酒をしこたま飲んでベロンベロンになって夜通し本音を語りながら、音楽だけじゃない、人と人としての深い信頼関係が築き上げられていったのではないかと思います。



そうやってしばらくの時が流れ

あれはF.I.Bが休む少し前、2014年秋のことです。
F.I.BはKiMに呼ばれて石巻のライブに出演しました。


■2014年10月11日@石巻BLUE RESISTANCE
石巻へい輪プロジェクトGIG vol.5 [KiM CD発売記念live]
KiM / F.I.B / at Anytime / BREAK OF CHAIN


この時F.I.Bはまだ発表はしていなかったのですが休止すること自体は決まっていて、レコーディングするはずだった新譜の予定が白紙になっていたり色々とおかしなことが重なっていたので、バンドの状態が最悪であることにわたしも思いっきり感づいていました。

F.I.Bは中途さんがMCで、KiMボーカルのエガさんに深い相談をしたり怒られたりしたことやそれでもこうしてライブ呼んでもらったこと、翌週にはまた京都でKiMとの合同企画があると、そのようなことを話してた記憶があります。ライブレポを書いたつもりだったのですがなぜかどこにも残っていません。つらすぎて抹消したのでしょうか。


しかしその日いちばんわたしの脳裏に刻まれてるのは、そんなエモーショナルだったF.I.Bのライブよりも、KiMが「新曲です」といって披露した曲をはじめて聴いたその瞬間。


それは今やKiMを知るみなさんなら誰もがご存じの名曲、
「週末の30分に命を燃やす」あの曲だったんです。


"土砂降りの東名
朝焼けの名神
荒れた磐越道
そして俺達は
週末の30分に命を燃やす"


わたしはバンドはやっていないですが、F.I.Bを見るためにいろんなものを犠牲にして全国を車で移動しライブを見る生活を10年くらい送っていたので、この脳裏にありありと浮かぶような高速道路の光景と「週末の30分に命を燃やす」という言葉がものすごく胸に刺さり、はじめて聴いた曲なのにたまらず拳をふりあげていました。



その翌週、2014年10月19日に再びKiM企画「武骨夜」がありました。これはF.I.B企画「CROSS CORE」と武骨夜の合同イベントでした。FIVE NO RISKやNOT A NAME SOLDIERS、STOMPIN' BIRDが出演していましたね。週末の30分に命を燃やす曲も再び聴けて最高だと思いました。

しかしKiMに支えられてこんな熱いイベントを開催しながらも、頑固なF.I.Bの活動休止するという意思は変わらず、


その翌月F.I.Bは、MEANINGと一緒だった北浦和キャラであの地獄絵図のような雰囲気の活動休止を発表することになるのです…。



バンドの活動休止理由にはさまざまなものがあると思います。なのでどうしても戻ってこれないバンドもいるとは思います。
でもF.I.Bの場合はすこし歯車が狂ってしまっただけで、少なくてもメンバー全員がF.I.Bというバンドを愛していることだけは間違いなかったので、わたしはただひたすらに待ち続けました。


活動休止を惜しむいろんなバンドマンさんたちがF.I.Bメンバーさんと話をしたようですが、頑なに「やらん」と言われたようで、最初は復活を待っていた人たちもひとり減り、ふたり減りと、少なくなっていきました。
時間が流れ、わたしのまわりでも復活に対して前向きな言葉を出す人はどんどん減っていきました。


わたしもいろんなバンドの人や、バンド関係者さんたちから「メンバーと話したけど復活は難しいと思う」「もうあきらめたら」「止まったものに執着するのはやめて次のバンド探した方がいいよ」と言われました。
でもわたしは諦める諦めないではなくF.I.Bのライブがないと死んでしまうので、誰に何を言われても右から左、何も見えない何も感じないようにし、心を完全に冬眠状態にして時間がたつのを待つことにしました。


そんな状態の中である日。

KiMのフルアルバムが発売され、あの週末の30分に命を燃やす曲…「道なき矜持」が収録されていることがわかりました。


歌詞カードをめくると、コーラスで参加されているKiMまわりのいろんな人の名前がそれぞれのページに書かれており、「道なき矜持」のページにはこんな名前が書かれていました。


このアルバムが発売されたのはF.I.Bが活動休止に入ってから1年以上経過した2016年です。

多くの人が「復活は無理だ」「難しいと思うよ」「思い出にしておけ」と言っていた中で、実はKiMは2016年の時点で、コーラスとはいえこの3人をF.I.Bとして表に連れ戻すことにすでに成功していたんです。


さらに「道なき矜持」のMVを見た時わたしはあることに気づきました。

ライブ映像に混じって高速道路を走っている映像、最後の方に到着したっぽいライブハウスの外観がチラッと映るんですが


これは偶然かそれともやはり意図があってのことか、でもわたしの心を揺さぶるには十分のもの。


それはわたしが初めて「道なき矜持」を聞いた場所であり、コーラスとしてこの曲に参加しているF.I.Bが、活動休止直前の2014年のあの日にKiMと一緒に行った石巻BLUE RESISTANCEの看板でした。




F.I.Bには休んでいたこの3年間全く動きがなかったわけではなく、私が知っているだけでも実はいろんなことがありました。

この3年間で、わたしが知る限り中途さんはMEANINGのSTAND UPのとき4回もステージに出てきました(2015年3月8日の恵比寿、2015年10月30日の京都MUSE、2017年2月18日のパンゲア、2017年7月30日ガタカスタジオライブ)。ホワイティさんは2015年12月29日に滋賀B-FLATの年末イベントでF.I.Bのコピバンをしました。JJさんは同じイベントでStart From Hereを弾きました。2016年4月、F.I.BのPAのトンチさんの結婚式では5人揃ってスーツでライブをやっていましたね。2017年4月には京都MUSEファイナルのDVDも発売されました。


たぶんメンバーさんご自身もF.I.Bのことを忘れていたわけではなかったと思います。


だけど還暦までやるって宣言していたバンドをあのとき止めた強い決意はきっとわたしらの想像以上に大きなもので、いろんな人に復活を期待されてるからってそう簡単に覆すことなんてできるものでもなかったんだと思います。


だから本当はきっとめちゃくちゃ難しいことだったんです。KiMじゃなかったら、こうしてわずか3年でF.I.Bを連れ戻すなんてことはできなかったと思います。
「やらん」と言い続けていた頑固な彼らの心を溶かして、今回の表舞台、F.I.Bが何度も出演してきた「武骨夜」に再び引っ張り出すことに成功したKiMは本当に凄いです!!



話が変わりますが、
この3年間他のどなたが「復活はない」と言っても、わたしはまったく影響されることなく「F.I.Bが復活することを前提に」ものを見てきました。

「F.I.Bの復活を本気で待つ会」なんていうTシャツも手作りして着ていました。まわりから見たら病気に見えたでしょう。


なので今年…2018年2月19日に、KiMの優さんがプライベートで和歌山(F.I.Bメンバーたちの地元)までわざわざ出向いて、中途さんと健太さんに会っている様子をInstagramにアップしたのを見たとき、いついかなる時も復活を信じているわたしはギャーーと叫び声をあげて


「き、き、きた…!!ぜったい武骨夜だ」


と思い、パニックで止まりそうな心臓をなんとか気合いで動かしながら、大慌てで震える手でF.I.Bが出演しそうな武骨夜のスケジュールを確認しました。

するとすぐに、8月にKiMが京都MUSEと合同で規模の大きな武骨夜を開催するという告知が目に入り、「本物しか出ません」と書いてあったので

「この日だ!!」

と瞬時に、それまでの期待が確信に変わりました。

(身近な数人には「本物しか出ませんって書いてあるからきっとF.I.Bは8月の武骨夜に出る!」と大騒ぎで言ってしまいましたが、なにせ情報源がわたしのカンだけなので取りあってもらえませんでした。一方、F.I.Bが本当に復活することを知っていた関係者たちは、何も言ってないのにわたしが完全に気づいている様子なので「やっぱりコイツきもちわる」と思ったそうです)


武骨夜のメンツが発表され、F.I.Bが復活することが世界じゅうに知らされたのはさらにその1ヶ月後、2018年3月21日のことです。


メンツが発表された3月21日。

わたしはたまたまKiMのライブを見にきていたので、わざわざ和歌山まで行ってくださった優さんに「F.I.Bを連れ戻してくださってありがとうございます」と興奮しながら何度もあたまを下げました。
その日物販でチケットも買えました。チケットはネットでは即完売しましたが、普段KiMのライブを見に来ている人や地元の人、そして現地まで足を運んででも絶っっっ対に買いたい、絶対に見たい、見ないとしぬ!という気合いがある人なら一般発売の翌日まで物販やMUSE店頭で買えるようになっていました。

わたしのようにF.I.B見たい気持ちをすぐに行動に出せる人なら必ず買える状態でした。しっかり転売防止策も施されていました。やっぱりKiMは凄いです。

チケットとりあえず確保したけど行けなくなったという人もこの先出てくると思うので、もし入手できなかった人もまだあきらめるのは早いです。

あきらめたらだめです。どれだけ困難で、誰に何を言われたとしても、ひたすら信じ抜いてあきらめなかったら願いが叶うこともあるんです。ほんとに!!


F.I.Bが復活する告知がされたその3月21日、KiMのサポートギターだったJJさんは、久しぶりにF.I.B Tシャツを着ていてとても嬉しそうでした。8月の武骨夜当日はF.I.BとKiMの両方で弾くそうです。
インスタ見る限りJJさんはKiMのエガさんと優さんがやっていらっしゃる「壬生夜吉」に週4くらいで飲みに行ってらっしゃいますね。笑

壬生夜吉は美味しくてすごく居心地がよい大衆居酒屋です。KiMへ何度あたまを下げても足りない感謝の気持ちをこめて、わたしもまた夜吉に飲みに行こうと思います。


8月が楽しみです。

F.I.Bのことばかり書きましたが今回の武骨ナイト、落ち着いて他の出演者を見るとびっくりするほど素晴らしいメンツで1日中休む暇がなさそうです。ジムに通って体を作っておこうと思います。

会場で会える方は一緒に思う存分楽しみましょう。よろしくお願いします。


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