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友へ

いつでも会えたあの頃と比べ、私たちの生活は随分と変わりました。お互い日々の生活の為にあくせくと過ごすようになり、今や私たちが会える回数は、年に一度ほどになってしまいました。

このまま日常の忙しさに埋もれてしまえば、会わなくなることはとても簡単なことなのてしょう。

いや、簡単なのです。私たちはそうやってたくさんの人と別れてきました。学生時代、あれだけ仲の良かった人たち。職場でお世話になった人たち。人生のステージが変わるたびに、ふるいにかけてきた人間関係。

私たちは、それなりに年を取りました。
この先、あと私たちはあと何度会うことが許されているのでしょうか。私はあなたと会った後に、必ずこんな事を考えてしまいます。

決して大袈裟なことではありません。私たちはもう、お互いにその事を意識しなければならないのです。必然的な、別れの事を。

一年という月日は、今の私たちにとって短く感じる期間となりました。時間の無情さがあらわになってきたのです。

私はこの事実に恐怖を感じると同時に、今まで内に秘めていたあなたへの想いを、打ち明けるべきだと思いました。
人間の多くは、何も伝えられないまま寂しくこの世を去っていくことを、私は知っているからです。
本当であれば直接会って伝えるべきなのですが、人並みの言葉しか出てこず、結局伝えたかったことが伝えられないような気がしてこのような間接的にお伝えしたことをお許しください。日本人特有の伝えないことが美徳とされる性(さが)と、私の勇気の無さも原因なのでしょうが。

さて、すっかり前置きが長くなってしまいました。心の中にある短い言葉を表に出すだけのことなのに、慣れていないせいか余計なことまで書いてしまった気がします。

私が内に秘めていた言葉を送ります。どうか受け取って下さい。

私と友達になってくれて、本当にありがとう。
私はあなたから忘れることのできない沢山の思い出をいただきました。
あなたと出会っていなければ、私はきっと今とは全く違う人間になっていたことでしょう。
あなたと友達になれたことを、本当に幸せに思います。
どうか、この先も私と友達でいてください。

最後まで読んでくれて、ありがとう。

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