シニアは「見える収納」を

 歳をとってくると、記憶力をはじめとした認知能力の低下が避けられなくなってくる。本人の意欲など関係なしに、衰えるものは衰える。

 義実家の片付けをした際に感じたのは、とにかくモノが多かったのだが、中でも驚いたのは「同じものが大量にある」という事実。例えば、ハサミや爪切りなど、1つか2つあれば良いようなものが、あちこちから大量に出てきたのだ。

 なぜか。

 家の中にモノが多すぎて、必要とするものがどこにあるのか分からなくなると、新しいものを買ってしまうのである。そしてそれをまたどこかにしまい込み、見当たらないからと買いに走る。

 そしてモノが捨てられない。捨てる大義がないのだ。

 ボロボロになった下着(洗濯はしてある)や靴下など、人生で一度も捨てたことがなかったのでは?と思うほど大量に出てきた。気持ちは分かる。私も子供の頃は、実母は、破れたストッキングも捨てずにハタキとして再生していたし、古着は小さく切って雑巾にしたり、油を捨てる際に吸い込ませる材料としても使っていた。だからその古着も、何らかの別用途に使える可能性はある。だから捨てる理由がない。いつか必要になるかもしれないと思うからだ。そして家の中にモノが溢れて、必要なものが探し出せない環境を作り出してしまっていた

 10年以上前に、私と義母でかなり大掛かりな断捨離をしたことがあった。とりあえず必要のないものを別フロアに移動させた。居住エリアにほとんどモノをおかずに、必要最低限にしぼったモノを見えるところに置くようにし、引き出しにラベルを貼ったりもした。

キレイに片付いた部屋を義母はとても気に入った様で、ヒマさえあればチョコチョコと掃除をするようになった。

それを見て、めちゃくちゃびっくりしたのだ。

それまで、あまりにも部屋にモノが溢れていたからか、なかなか掃除ができていなかった義母が、キレイ好きさんに大変身した。

人間、環境が変わると、何歳でも行動を変えられると分かり、私もかなり感動してしまった。

つまり、片付けるモノの絶対量が少なければ、シニアになってからも片付けを継続することは可能なのである。

とは言え。

長年暮らしていると、どうしてもモノは増えてしまう。それでもうまく片付けをするために、私は「見える収納」を試してみたところ、とてもうまく行っているので、それをちょっとメモしておきたい。

ちなみに「見せる収納」ではございません!!!!!

違いが良くわからない?

見せる収納は、自分以外の他人にとっても美しく映るように、色味をあわせたり、置き方を整えたりするものである。ビジュアル重視なやつである。

これができるのは、かなり研ぎ澄まされた美的感覚をお持ちでないと、単にだらしない状況になっちゃう。めっちゃ難しいし、持ち物全体の色味をあわせるなど、かなりの縛りプレイになりかねない。

それに対して見える収納は、自分目線で、使うものがどこにあるか、どこにしまえば良いかがすぐにわかる収納の方法である。他人の視線はこの際どうでもいい(汗)。

大事なのは、

1)必要なツールが見えるところにある
2)どこに片付けるかが一目瞭然

であることに尽きる。

すでに立派なシニア所属の私。キッチンツールは全部見えるところにある。

かつ。

それぞれのツールが複数個あるので、どこに片付ければ良いかが一目瞭然。一つしかないと、自分が戻そうとしているそのツールの置き場を自分で忘れちゃうことも、今後ありえるからね(今のところは大丈夫だけどさー)。

 もし、シニアになってからリノベをしようと思った時に、おすすめなのは、深い収納庫を作らないことである。日本の押入れ収納は、布団を畳んで収納できるサイズに最適化されているので、奥行きがかなりある。が、年齢が行けば行くほどベッドの方が利便性が高い。一度ベッドの生活にすると決めたなら、布団サイズの押入れ収納は不要になる。今後の人生に使うかどうかわからないグッズを深い押入れに突っ込んでおいても、探し当てるのは難しいし、そのサイズにあった衣装ケースにモノを詰め込めば、それの重量はかなりのものになる。

 なので、最初から、サクッと引き出せるだけの奥行きの浅い収納をあちこちに作り、「開かずの収納扉」をつくらない方がいいと思う。そのためにはモノの絶対量を減らす必要がある。

いつか自分でやらないと、他の誰かがそれをやらなければならなくなる。

それをやらされる人が気の毒すぎるよね。

だから、今のうちに捨てておくのが良いのよ。

我が家の収納は、このKALLAXの奥行き(約40cm)で最適化されてるよ。キッチン、リビング、オフィス周り、すべてこれ。


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