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美容業界のSDGs事情 vol.1

 コロナ禍における、激動の一年となった今年、美容業界で、いや社会全体で最もフォーカスされているキーワードといえば、「サスティナブル」ということに尽きるのではないでしょうか。これは、「持続可能な」という意味で、本来は「Sustainable Development Goalsサスティナブル・デベロップメント ゴール」=持続的な開発目標、と言う「SDGs」からきた言葉です。
 遡ること40年以上も前。ヨーロッパからサスティナビリティに向けたきっかけとなるレポートが作成され、1984年に「WECD」=Worls Commission on Evvionment and Debelopment、「環境と開発に関する世界委員会」が国連に設置され、サスティナビリティの活動が始まったとされています。
 オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書がカナダで採択され、環境地球温暖化に対する動きが出てきました。ですが、日本で地球温暖化という概念が広がったのはもっともっと先。この時点で、日本とヨーロッパの流れには相当なギャップがあったことがわかると思います。

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日本に、社会、環境とつながりが深い、オーガニックコスメが入ってきたのが今から10年ほど前。
 ただし、その哲学は理解されず、ただスキンケアの選択肢の1つ、それもちょっと意識の高い人が使うもの、という位置付けだったように思います。私としては、ちょうど長女を出産した時とぶつかったこともあり、子どもに使うものはオーガニックを含め、原料から質の高いものを選びたい、というスイッチが入った時期。

自然由来で、肌にも環境にも優しい、という概念はとても魅力的なものでした。だんだんと美容業界にもオーガニックの波が来るのかな?と期待しましたが、まだまだその隔たりは大きく、一般の化粧品との間に分断感はあったように思います。

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それが、2015年にSDGsの意識が企業側に芽生え、2016年伊勢志摩サミットを経て、少しずつ経済的な部分に入り込んできました。美容業界でも、どんどんナチュラルオーガニックが浸透し、市民権を得てきた頃だと思います。それでもまだなお概念的なものの理解は進んでいなかったように思いますが、コスメ同様、フードでもオーガニックを、と口から摂るものの大切さに意識が及ぶようにもなりました。
 私自身は、2008年に植物療法と出会い、2011年から植物療法を本格的に学び、オーガニックの世界にもどっぷりハマりながら、最先端テクノロジーコスメも同じように愛用する両立スタンスをとっていました。
 私は何派とすることなく、その人自身が選べる選択肢が広がることの素晴らしさを実感していたので、ナチュラルオーガニック、最先端テクノロジー、どちらのコスメも取り入れて使い、美容と健康市場に可能性を感じていました。

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サスティナブルというと、環境を大切にするイメージが強いですが、それはもちろん、貧困や飢餓、健康や教育など幅広い指針を示しています。
 もともとは欧米主体の活動でしたが、日本にも遅れてようやくこの流れがやってきて、社会全体のテーマとして、様々な企業がこの取り組みを始めました。画像3

サスティナブルの代表と言えば、ヴェレダ、アヴェダ、など社会貢献の高いブランド。その一方で、ドゥオーガニックやラ・カスタ、アムリターラなど、日本初のナチュラルオーガニックブランドも台頭。オーガニック、とは言い切らないものの、原料にこだわりをもつTHREEやshiroも注目を集めます。 オーガニックの流れは加速し、自分たちが使うものがどんなものでできているか、どうやってできているのか…という美容業界のSDGs的な思想が広がります。

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化粧品業界のSDGsというと、それは、例えばパッケージを環境に負荷をかけないものに変えたり、本来は廃棄するものを原料に使ったり、そのほか、社会の課題に貢献するなど、様々なアプローチでこの指針を、化粧品を作る中で行っていくという取り組みがなされています。今年は本来ならば記念すべきオリンピックイヤーでした。ここにフォーカスして、多くのブランドが、サスティナブルな大型製品を数年前から開発し、オーガニックコスメブランドだけでなく、化粧品メーカー全体がSDGsを打ち出す方向へと舵を切ることとなりました。今後は製品を選ぶ上でも重要な点になるでしょう。

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大きく舵を切ったのが、コーセーの「雪肌精」。35周年を迎える記念すべきこの年に、「SEKKISEI CLEAE WELLNESS」として、地球と環境を考えたブランドとして製品からパッケージまでフルチェンジして新発売。コーセーの代表的なロングセラー製品でもあったので、驚きました。ラベルレス、プリントレス、CO2排出低減を考慮したボトル、リサイクル率が90%と言われる段ボール素材を採用したパッケージ。大手の化粧品会社がここまで大きくサスティナブルに舵を切ったことはとても大きいことだと思います。

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また、美顔器で知られるMTGからも、「温肌」をコンセプトにした、ホリスティックブランド「ON&DO」がロンチされました。長崎県五島列島の五島椿に6ヘクタールの自社農園を作り、こちらで2万本の椿油を育成。高い品質基準を守り、エビデンスとともに製品開発に応用。五島列島の里山整備という、地域貢献をも含みながらサスティナビリティへの取り組みも行っています。

(vol.2へ続く)




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