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ナチュロパシーを学ぶ大学

海外には自然療法のナチュロパシーを学べる大学があり、資格も確立されていて、ハーブや医療グレードのサプリメントを処方することができます。

日本では「医療グレードサプリメント」と聞いてもピンとこないと思いますが、海外では処方箋がないと買えないサプリメントがあります。それらはさまざまな基準をクリアしていて質もよく、効果が高いために、専門家の処方が必要になります。処方箋薬と同様に、一般の人の目につくところには置いてはいけないので、海外に住んでいても存在を知らない人も多いでしょう。

オーストラリアではこれら医療グレードサプリメントは政府がその扱いを特定の資格を持つ者に限定しており、ナチュロパスはそのうちの1つです。アメリカではサプリはFDAの管轄になり、医療グレードサプリを製造する企業側が販売する相手を医療従事者やナチュロパスに限定するなど、企業側で管理をしている状態ではないかと思います(アメリカの事情は厳密には把握していないのでご自身で調べてみてください)。

ナチュロパシーを学べる大学が海外にはいくつかあり、職業の資格としては、オーストラリアやイギリスでは「ナチュロパス」と呼ばれ、アメリカでは「ナチュロパシックドクター(ND)」という称号になります。

インスタでも紹介しましたが、去年臨床実習で私のオンラインクリニックでオブザベーションをした現役生徒が、先日初めて学生クリニックで一人でケースを取ったと報告してくれました。

「よく頑張ったな〜、ドキドキだっただろうな〜」と愛おしく感じながら、自分の学生クリニックの思い出を懐かしく思い出していました。

この写真はその生徒さんが送ってくれた母校(Torrens University)の新しいキャンパスにある学生クリニックの受付と調合室の写真。

シドニーキャンパス
調合室
学生クリニックロビー

こんな素敵な雰囲気の場所で、学び、実習します。

ナチュロパシーでは、体は自分自身を修復する力、自己治癒力があると考えています。体のバランス、特に自律神経系・内分泌系・免疫系のバランス、が崩れたときに、その崩れが症状という形で現れるため、症状を抑える対症療法に頼るのでははなく、阻害要因を取り除き、崩れたバランスを良い状態に戻すよう根本原因にアプローチすれば、体が自ずと自分を治癒する方向に働き始める、と考えます。

その処方は「症状」に対するものではなく、その人個人「ホールパーソン」に対する、ライフスタイルメディシンです。

処方の内容は、西洋ハーブ療法で伝統的に使われてきた200近くのハーブの伝統的処方もしくは最新のエビデンスに基づいてハーブを選び、その調合したり、数値ではなく質に重きを置いたホリスティックな栄養学を軸とした食の処方、最先端の分子栄養学に基づいたサプリメント処方、生活習慣の改善に関するアドバイスなどになります。

医師のように診断ができる資格ではありませんが、ある程度のアセスメントはできないと医師へのリファーもできないので、症状から一般的な病気の診断はできる程度に病態生理学を学び、当然、ハーブや栄養素、基礎の有機化学、カウンセリングなどを学び、ハーブや栄養素の各疾患での使い方だけでなく、学生クリニックでの実践を通して、アセスメント力とリサーチ力をつける訓練がされます。自然療法の医学校という感じです。

実際に卒業試験は医学生が受けるのと同じような、OSCE(オスキー)、客観的臨床能力試験、という試験が行われます。そのことからも分かる通り、大学のコースデザインは、座学の知識だけでなく、それをどう使うかにフォーカスしており、卒業後に自分の力でリサーチをしながらプラクティスを行うことができる力を養う、実践的な訓練プログラムになっています。

ハーブの調合をする学生時代のワタシ

基礎の座学を終えた後、学生クリニックでの臨床実習に入ります。学生クリニックでは、オーストラリアの一般的なナチュロパシッククリニックと同様に、コンサルから処方箋を渡すまでを1時間半で行います。

今、何時間行うのかは正確には不明ですが、おそらく合計200時間ほどの臨床実習を行います。私の場合、学生時代に50ケース近くはとった覚えがあります。たぶん普通の人よりも多いです。アドバンスドディプロマとバチェラーと両方を取ったので、人より実習の時間が多く、且つ、貪欲に取りまくったのと、あと最後の方はだいぶまわせるようになったので、人手が足りないケースをまかせてもらって、これまた片っ端からチャンスがあれば一人ででもどんどん取っていったら結果結構な人数を見る経験ができました。

そんな私も一番初めのケーステーキングは胃が飛び出るのではないかというくらい緊張していて、自信がなく責任感を感じて泣いたこともあったり。

今でも覚えているのは、クリニックである出来事があり、責任感と悔しさから泣いていた私を慰めてくれていた同級生が「かなえってソフト(英語ではあまりいい意味ではない)かと思ってたけど、芯が強いんだね」と見直してくれたこと。ソフトだと思われてたんだ(笑
ほんとうに、先生と先輩生徒と同級生にたくさんたくさん助けてもらっていました。

英語にも自信はなく、クライアントを不安にさせるんじゃないか、日本人だから嫌がられるんじゃないか、どうしようどうしよう。カルテの隅々にクリニック実習のオブザベーションで聞いてきた英語の質問フレーズ書き溜め、いつもそれを片手にコンサルに入っていたのを思い出します。そのボロボロになったフレーズ集は最後の最後まで実習の際に持っていたのを覚えています。

ただ、学生クリニックでは必ず先生が見ていてくれるので(ビデオや音声でもモニターしてくれていて、何かあればすぐに助けに入ってくれます)、安心して失敗ができる場所であり、「ここでそのままの自分の実力を見せて、失敗しながら足りないところを指摘してもらって学ぶべき」と早い段階で認識できました。

安心してそのままの自分を見せながら実践を学べる環境って、それってすごいことだと思います。わからないことはその場で先生や他の生徒に聞ける。どんどんどんどん自分に空いていた穴が埋まっていく。

でも、ナチュロパスは、食事と栄養素だけ考えればよいニュートリショニスト(栄養士)やハーブだけを考えたらよいハーバリストとは違い、ハーブとその調合、食事、栄養素、生活習慣、その上、余裕があればフラワーエッセンスやホメオパシーまで考えないといけないのです。処方で考えることが半端なく多い。とにかく多すぎる。

40分~60分のコンサルテーションの後、ディスカッションや調合や処方箋書きなどの時間を除き、約10分で処方を考えないといけない。初めのうちは10分間って、ハーブの調合のブレンドを考えるので精一杯。食事や生活習慣のアドバイスなんかは、1、2行書くのがほんとやっと。

ちなみに、これは現役学生向けにつけ加えておきますが、私はハーブの調合に慣れるのに、学生2年目から自然食品屋さんの学生ナチュロパスとして働き始めて、店頭で5分でリキッドハーブのブレンド処方を考える訓練をしていました。なので、当時の同級生の誰よりも、授業で早く先生の問いにも答えられたし、調合ブレンドも一番早く考えられたし。そこまでできても、やはりコンサルはまた別物で、収集する情報も多いので、更にやらないといけないこと、考えないといけないことが多く、初めはアップアップでした。なので、外で学べる機会があったらどんどん飛び込んでいってね!英語に自信がなくてもあとからついてきます!

クリニックでは、そんなこんな、少しずつ訓練を重ねながら学んでいき、授業でもクリニックでも、アセスメントと処方作りの訓練を積み重ねていきます。

あんなに緊張していたのが嘘のように、最後の学期にもなると独立した状態を想定し、自分のケースを一人で取って、一人で考え、一人で処方と調合を作り、クライアントにはすでに作ってあるハンドアウトを渡して細かい説明ができるようになっている。1日で2件取るのはざらで、後輩生徒の面倒をみて、クリニックのハーブやサプリの在庫調達もできる。そこまで成長しました。訓練ってすごい。

本当に、懐かしく思い出します。

今、学生で英語を頑張っている人たちへ。何に関してもそうですが、場数を踏めばどうにか対応方法を覚えていくものなので、言葉(英語)の面はあまり気にせずどんどん踏み込んでいってみてください。

オーストラリアは移民が多い国なので、人種や出身国をあまり気にしていない人が多く、懐が深いです。

みな、ナチュロパスの専門知識に対して信頼を寄せています。上手に聞こえるようにしゃべるよりも、べったべたの日本語なまりの英語で、自信を持って喋った方が、向こうからも理解しようと歩み寄ってくれます。

むしろ、現場に出たらすぐにわかると思いますが、自分の自信のなさが態度に出るほうが、クライアントに「その不安な感じはなに?私の体に何かあるんじゃないか?」と不安にさせます。日本人特有のくせだと思いますが、「あ〜」や「ん〜」と考える様子や考える間すらも、不安感が強いクライアントの場合、「何か悪いことがあるんじゃないか」と不安にさせます。

学生のみなさん、自信を持って頑張ってね!手をあげてケースを取りにいってね!

在学中の一分一秒がとても貴重な経験です。学校でたくさん経験積んでくださいね。


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