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面会交流と養育費を決定する法の法意について

 養育費の負担(監護費用の負担)の問題は,原則として親権者の監護義務(民法820条)の法意によるものであり,「直系血族及び兄弟姉妹の間の一般的な相互扶養義務(民法877条1項)」ではない。

 もし民法877条が非親権者の養育費支払義務につき,あたかも原則的なものとすれば,18歳を過ぎて収入のある兄姉は,18歳以下の弟や妹に養育費を支払う義務が生じるというものであって不合理である。

 そこで自然権から考察すれば,互いに別居している直系血族及び兄弟姉妹が,それぞれにアクセスする権利を原則,認めるものであり,相互扶助義務が養育費の根拠ということになりかねないが,面会交流における民法766条の法意を照らせば,両親による監護責務であるから,離婚に伴う単独親権者の決定は単独親権者の「単独利益」を認めることであり「子の利益」の観点からすれば「利益相反」の関係となる。これは調停時に裁判所が互いに別居している実の親子の直接のアクセス権を否定することは,身上監護者に指定された同居親の利益を優先し,係争中の葛藤を憂慮し,同意を得られないという理由を以てすれば「利益相反」といえるのである。
 
 従いまして,この〝利益相反行為〟を回避するためには,両親から中立的な〝子どもの手続代理人〟の関与が必須となる。

 ただ,子どもの手続き代理人を設置することに裁判所は職権で選任しない。それが身上監護者に指定された同居親の係争中の葛藤を憂慮し,信頼関係の再構築が困難であるとし,同意を得られないという理由であるから利益相反を照らさないが,この決定は問題がないとはならない。

 そこで民法766条1項の法意についての判例を紹介する。

 子の福祉を全うするためには,民法766条1項の法意に照らし,事実上の監護者である祖父母等も,家庭裁判所に対し,子の監護に関する処分として子の監護をすべき者を定める審判を申し立てることができると解すべきである。相手方は,事実上本件子を監護してきた祖母として,本件子の監護をすべき者を定める審判を申し立てることができる。とした原審につき高等裁判所,最高裁は,祖父母の申立を否定した。

 これらの根拠は,面会交流を定める根拠や養育費を定める根拠は,両親の責任というより他ない。つまり面会交流は一監護であるから,別居親や非親権者の責務につき監護費用(養育費)の負担(金銭的負担)のみを切り出して,一般的な相互扶養義務(民法877条1項)を第一義的に考察することは父母間の公平性を害するものであり,憲法14条1項,24条2項に反する。

判例は以下の通り

4 しかしながら,

原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。


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