見出し画像

PERSON vol.1 ”夫津木学”



「僕は雰囲気のガイドだから」


これは、夫津木(通称ガッツ)の口癖であり、大切にしていることでもあります。ツアーの参加者には、リラックスして目の前の自然を楽しんでもらえるよう意識して雰囲気作りをしています。例えるなら、“リラックスできるカフェのオーナー”のようでありたいと言います。

皆さんにとって、お気に入りのカフェといえばどんな雰囲気をイメージするでしょうか?設えや流れる音楽は違えど、きっと時間を忘れて長く居座ってしまうくらいの心地よさがあるのではないでしょうか。そんな時は、いつのまにか自分の世界に入り込んでいたり、肩の力が抜けて自分らしくいられる感覚があるかもしれません。参加者の皆さんにも、ツアー中はそのくらい心地よく過ごしてもらいたいと思っています。


画像1


 彼はこの仕事をする前は消防職員でした。その頃からサブカルチャーの雑誌や本をよく読んでいて、地元の仲間と、それこそカフェで音楽のイベントを行うこともありました。愛車はフランス車で、趣味でIllustratorの勉強をすることもありました。当時の仕事仲間からすると、「ちょっと変わったやつだな」と思われていたようですが、その時代から少しずつ彼のセンスは磨かれていって、今に繋がっています。彼が主宰で行なっているcofujiという企画は、主に大人の方向けのリラックス&ランのイベントですが、そこで提供される食事や食器などには彼のセンスが生かされています。

 そのcofujiという企画は、“走ることで目の前の自然に夢中になり、頭の中がスッキリしてリフレッシュできる、そんな感覚を感じてもらいたい”という思いで始めました。この企画、「走る」ということは重要な要素ではありますが、それは目的ではありません。“心を整え、スッキリとした気持ちでまた日常に戻って欲しい”ーあくまでも走ることはそのための手段であり、彼は次の日から日常に戻る参加者の皆さんの背中をそっと押すような心持ちでいます。

 

画像2


 消防職員時代、仕事は充実していたものの、自分と趣味や話が合う人が周りにおらず少し違和感を感じていました。同時に、「自分らしくいられていない」と感じることもありました。自分が一生涯消防職員であり続けるイメージを描けない一方、その頃には趣味もインドアだけではなくアウトドアにも広がっていました。ちょっとなまってしまった体を鍛えたいと思って始めた自転車が思いのほか楽しく、マウンテンバイクにハマり、更にはレースに参加するように。そこから今度は「自転車なしだったらどんな感じなんだろう?」と走ってみると、こっちの方が自然と一体感を感じられ楽しくなってしまった。更には、物理的にも立ち止まりやすいことから、足元の草花にも目がいくようになりました。興味が湧くとどんどん深めていきたくなるのが彼の性。植物の名前を調べたり、植樹活動に参加したり、更にはネイチャーゲームのリーダー養成講座に参加して資格をとったり。ただただ自然の中でヒャッホー!となることだけが、その楽しみ方ではないと気づいていったのです。

 そんな中、偶然手にした雑誌の中にホールアースの記事を見つけ、それがホールアースにエントリーするきっかけとなりました。「自然をガイドすることが仕事になる!」それは当時の彼にとっては衝撃だったそうです。

 

画像3


ホールアースで働き始め約10年、ここ最近は仕事と遊びと暮らしのバランスにも変化がありました。入社してしばらくは夜遅くまで仕事をすることもありましたが、子供ができたことで家族の在り方が変わり、自由な時間が減った分、時間の使い方は上手くなり、家族や仲間と過ごす時間も充実し、今が一番心の状態がいいと言います。休みの日には家族でトレランの大会に出たり、伊豆までシーカヤックしに行ったり、キャンプをしたり。彼にとって、遊ぶことは日々の営みの中でも大事にしたいことの一つ。思いっきり遊ぶことで、自然の楽しみ方を感覚的に覚え、様々なフィールドの魅力を知ることができ、それは自ずと仕事の中にも活きていきます。

 先日とある参加者から、「私は普段団体行動が苦手なんだけど、今回は素の自分で楽しむことができた」と言われたそうです。それは、まさに彼の目指していた“リラックスして目の前の自然を楽しんでもらう”ということ。なぜ、その方はそう感じられたのか。それは、具体的に「こういう時はこういう言葉がけをする」とかいう話術よりも、彼自身が時に子供のようにはしゃぐこともできるくらい自然体でいられているその雰囲気からなのでしょう。ちょうど、大好きなフィールドを親しい仲間に紹介するような、そんな感覚です。参加者の皆さんとはしゃぐこともできますが、一方で、一歩引いて参加者の方だけで自由に遊べる時間と雰囲気も作っています。遊び方、楽しみ方を提示したら、あとは皆さんの思い思いの時間を過ごせるように見守る。その画はまさに、“リラックスできるカフェのオーナー”の姿なのかもしれません。

 彼のスタンスは、「やりたいことをやる、やりたくないことはやらない」。シンプルですが、そうするためには努力が必要です。でも彼は好きなことの為なら全力を注ぎます。フットワーク軽く、好奇心を持って、そして自分の感じたことに素直に。彼の集大成ともいうべきcofujiはまだ始まったばかりですが、ちょうど森の中をリラックスして走るような感覚で、ホールアースを飛び出して様々な業種の人と縁を紡ぎながら育てていくことでしょう。その芽はどんな風に育つのか。今から楽しみです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?