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アップデートと変わらないもの

コスプレに限らず、自分自身のパーソナリティを形成している「性格」や「思考」というのは、たくさんのアップデート(更新)によって作られていて、今まであまり良くなかった部分を良いものに替えたり、迷っている部分を捨てるか残すかしてそのパーツと覚悟を決めるか。
でも、確固たる残す意思を決めて残したパーツを将来またアップデートする際に捨てるのも自由なわけで。

私が15歳の高校一年生の頃から敬愛しているミュージシャンのKANさんが昨年末に「23歳」というアルバムをリリースされた。ご本人は58歳。紛らわしい(褒めてる)。

KANさんといえばその当時は「愛は勝つ」が大ヒットして、それ以前にも4枚ほどアルバムを出していて、その後もスキャンダルやトラブルも聞くことなく、今の今でも自らの楽曲を始め、同じ事務所のハロプロのアイドルにも楽曲を提供して活躍されている。

「愛は勝つ」との出会いは衝撃的だった。音楽を聞いてココまで心を揺さぶられたことはない。
くわえて、KANさんは福岡の梅光園団地出身。私は同じ梅光園の産婦人科で生まれたことも少し縁を感じている。

とにかくKANさんは色んなジャンルの詞曲を書く。最新シングルは「ポップミュージック」というタイトルだが、まさにポップミュージックとはかくありきと言わんばかりにとにかくいろんな音楽のジャンルの楽曲を一つのアルバムに毎回詰め込んでくる。
デビュー時からその傾向はあったが、12thアルバムのKREMLINMANあたりでそれが確立された感が(私が聴く限りでは)ある。

色んなジャンルに挑戦し、新しい楽曲を発表することはアップデートにほかならないのだが、その中の根底のポップミュージックと言うか、KANさんらしいことはあまり変わっていない。
急に音楽ジャンルをひっくり返して変更するわけでもなく、どれかのジャンルひとつに傾倒することもない、ラジオでの喋りの調子は昔から相変わらず変わらないし、ライブのおふざけと、ガチなところもずっと変わらない。…持ってる楽器もあまり変わってないかも?
さしずめ二次元作品のアイドルのようでもある。
基本的に裏切られないのだ。
(強いていうと、結婚発表をバンドメンバー含めて全員ウエディングドレス着て出てきた時に、ファンの女の子がライブハウスを飛び出しちゃったのを見たくらいか)
でも、変わってないように思えるが、音楽のパーツ一つ一つの密度が毎年どんどん濃くなっていくのだ。(幸せ)

話は変わって、20年以上前に知り合ったコスプレイヤーがいた。
10歳くらい年上で、私と同じ男性の女装をする人である。
その人は、コスプレデビューの頃の注目され、雑誌にも載った過去のことを会うたびに語っていた。コスプレのことばかりなのかなと思っていたが、別の趣味もあるそうだ。
しかし、何年経っても同じ話だし、なんというか全然変わっていく感じがしなくて、私が福岡に越したのを機にSNSなどの関係を解消して私から一方的に距離をおくことにした。15年前の出来事である。

その彼は今もコスプレイヤーとして活動していることを、最近Twitterで見知った。
しかし、プロフィール文が「昔自慢を語ってた語り口」と何ら変わることがなかったのだ。
かといって、彼が何も変わっていないわけではないだろう。
新しい人間関係や、着ぐるみの面を手にしていたようだ。

私が彼に距離をおいているのは、本人には大変申し訳無い言い方だが「彼のようになりたくない」というところがどこかにあって、それをもっと突き詰めると「自分がそのようになっていないだろうか?」という危機感を背中に常に感じている。
実際に、酒好きなところやバツイチを含めて私と非常に似通っている人であるし、私は自分と性格が似た人が苦手だ。

「アップデートするもの」と「変わらないもの」が共存するとき、「安定の〇〇」という安心感に自分の立ち位置を改めて再確認し、新しいものが生まれてくることに喜びを感じる私が居るのと同時に、「変わってほしいもの」「変わらないでほしいもの」という他者に対するダブルスタンダードのようなエゴを自分の中に持っている。

たまたま前者KANさんは変わってほしくないところが変わっていなくて、後者のコスプレイヤーは変わって欲しいところが変わっていないだけなのかもしれない。
もう、そこは私のエゴということを認めざるを得ない。

そんな私も、「変わって欲しいところが変わっていない」と思われた人からは距離を置かれているであろうし、「変わってほしくないところが変わっていない」と思われた人との縁が続いているのだろう。

生きている以上は「アップデート」を忘れないように、かつ意識しないようにアップデートできればいいなと思っている。自分の人生だからと。

でも、時折、自分の心が揺らいだり、何を考えてるのか自分でもわからない時に、KANさんの軸のぶれない楽曲を聴くと、自分の軸がその時にどのくらいブレているのかを再確認することができるということを知った。
確固たる覚悟は軸がぶれてない時に行いたい。
それを、気づかせてくれる「変わらないもの」を持つことはとても大事だなと思う。

まあ、そんなにオチのある話じゃないんですけれどもね。

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