日常的な国際交流が生み出すもの。

住み開きの古民家「ギルドハウス十日町」には、たくさんの外国人がやってきます。

この記事を書いている日にも、1ヶ月くらい滞在しているアメリカ人がいます。彼は山と古民家での暮らしをのんびり静かに楽しみながら、手書きで小説を執筆中です。

ここではまさに、外国人といっしょに共同生活をしているようなものです。日常的に国際交流が営まれています。

この1年間、ほんとうにいろんな外国人がやってきました。その目的もさまざまです。日本で田舎の実家みたいなところが欲しい、雪を見たい、雪国の暮らしを味わいたい、多くの日本人とおしゃべりして日本語を学びたい、東京の大学に留学中で日本のまちづくりの事例を体験したい、日本の伝統的な文化を知りたい、日本の古民家と静かな山の暮らしを味わいたい、日本にビジネスを展開したい、など。

一般的な宿と違って、滞在日数が1〜2週間、長いと1〜2ヶ月という人もざらにあるのが特徴です。一見さんだけでなく、何度か来た人もいます。それだけの時間をいっしょに過ごすと、英会話もあいさつ程度で終わらず多方面に話題が広がるので、とにかくいろんなことを英語で話すことになります。

自分は海外経験なんてないし、とくにヒアリングが苦手なのですが、この一年間、日常的に英会話を繰り返してきたおかげで、英語に関してはなんとかなる程度に上達したように思います(まだまだ未熟ですけど)。よっぽど困ったときには「Google翻訳」があるし、英語や中国語、8カ国語くらいしゃべれる住人もいるので安心です。

「異文化交流は相互理解、ひいては世界平和につながる。友だちがいる国、貴重な文化のある国に、ましてや原爆を落とそうなんて考えないでしょう?」

全国を旅したなかで聞いた、印象深い言葉のひとつです。

4年くらい前の旅で、自分は初めて「ゲストハウス」というものを体験しました。お茶の間のような共同空間で、旅人どうしが国籍を問わず交流できる、素泊まり可能で相部屋のある安宿。

ゲストハウスにもいろいろあるでしょうけど、自分が立ち寄ったところでは、それまでになかった貴重な国際交流が体験できました。外国人のほうがよっぽど日本を勉強していて詳しく、自分があまりよく日本を知らない、英語で日本の良さを説明できないことに気づかされることもしばしば。持ち寄ったお酒を飲み交わし、ホームパーティーのような日々。それにしても、片言で英語を話すだけでこれほど外国人と仲良くできることに衝撃を受けました。

あるとき日本好きの韓国人と仲良くなり、ふたりでまちあるきをしながら、ついにはいっしょにカラオケボックスへ行ってJ-POPを歌ったこともありました。後日、その人が書いた韓国語のブログに自分の写真が載ったのを見て、国境を越えた心地よいつながりを感じました。

そんなこんなで現在。

外国人と触れ合うことに抵抗がなくなり、普通に共同生活をしている自分がいます。そんな国際交流を日常的に持てる日本は、とても平和な国だと思います。電気もガスも水道もインターネットもごくあたりまえのように使えながら、国内・海外の人とのつながりができつつ、中山間地域ならではの支えあいのなか、伝統的な古民家でゆるやかながらも刺激的に生活できること。その暮らしから新たな展開も生まれています。

「ここはピースフルで特別な場だ」

うちに滞在していた外国人がふっと漏らした言葉。ゲストハウスで経験した良さを取り入れたギルドハウス十日町。小さいながらも良い架け橋になっているのかな、と思います。そして、ほんの小さな拠点でも、ちょっとずつかもしれないけれど、そんなピースフルな架け橋のような場所が、もっとあちこちに出来たらいいなと思いつつ、すでに全国各地にあることに、希望と可能性を感じます。

よかったらサポートをお願いします。もしくはギルドハウス十日町へ遊びにいらしていただければうれしいです。