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食費込2万5,000円がどうして生まれたか

今回は珍しく、お金の話です。

じぶんが2015年に立ち上げた新しい住まいの形「ギルドハウス十日町」。この4年と3か月のあいだに延べ7,800人以上の冒険者を迎えてきました。

そのうち共同生活を営んできた人数は、最近またひとり住み始めてちょうど60名になりました。今年になってからだとちょうど10人目です。あとそれから、数日滞在したひとも数えれば、いったい何人になるのやら。

たった6軒しかない山奥の限界集落において、お店でも宿でもない一軒に全国・海外からそれほどのひとの関係性が築かれる家は、おそらく他にあまり例がないでしょう。

そして、そこでのひとり当たりの一か月の生活費ですが、食費・水道光熱費・インターネット代をすべて含めて2万5,000円としています。

ただしその2万5,000円というのはあくまで対外的に示すための参考値であって、実際にはその額に満たない住人もいます。1円も出せていないひともいました。みんなが無理のない範囲で出せる額を、ギルドマスターたるじぶんがそのひとを見て相談して決めています。


そうするのは、シェアハウスだったり一般賃貸とは一線を画すため。あくまで住まいにこだわるため。家賃という表現すら使いません。おまけに賃貸契約も結びません。どちらかというと息子や娘たちが実家にお金を入れている感覚に近いです。

サービスを提供する者と受ける者という関係性を築きたくありません。

家族を目指しているわけではありませんが、家族のいいところを取り入れているつもりです。


さて、2万5,000円という額の設定がどうして生まれたのかというと。

正直に言って、じぶんの感覚的なところから生まれました。

そのくらいなら勇気を出して一歩を踏み出すひとにとって何とかなるという気がするんじゃないか。十数万円も稼ぐ必要がなくなったぶん、それぞれがじぶんらしくいられるためのナリワイづくりに時間を使えるようになるんじゃないか。ゼロ円とか1万円とかにしてしまうと、ただ安いだけで来てしまうひとばかりになって貧困ビジネスや貧困スパイラルを生んでしまうんじゃないか。

いろいろ考えました。

じぶんが3年以上かけて全国の交流の場をめぐってきた見聞を集大成させて、脳をフル回転させて何日も考えました。


不思議と、シェアハウスや一般賃貸でするような原価計算とかまったく考えませんでした。


じぶんも全国の場にいるひとたちからそうされたように、ここに集う冒険者たちを応援したい。生活にそれほどお金をかけなくてもいい環境で、そのぶん空いた時間をかけていろんなことに挑戦してもらいたい。

じぶんがいろんなひとたちからそう応援されたように...。


だから、たまに「半月しかいなかったので半分の1万2,500円でいいですよね」といった相談を受けますが、そんなときちょっと残念に思います。

2万5,000円という設定は、そういうモノサシでは計れないものだからです。


もしそういうモノサシで計るんだったら、これほどまでの体験価値を与えているギルドハウス十日町ならば、おそらく一般のシェアハウスよりも高い金額設定をします。具体的には毎月5万円から10万円だっていいはずです。

なにせここでは人生をともにする恋人や結婚の相手が見つかることもあれば起業するうえでの共同経営者や提携先だって現れています。とにかくただの集合住宅では得られないほどのいろんな体験価値が得られているわけです。


2万5,000円という額には、ただの消費というモノサシでは計れない、じぶんの想いがたくさん詰まっています。

ここに集うみんなには、そんな想いでつくられているギルドハウス十日町をただのシェアハウスではなく第二・第三の実家のように思ってもらえたら。そしてたとえ何かに失敗しても実家に戻れば!という安心感を伴いながら、じぶんたちのやりたいようにさまざまな冒険に挑戦してもらいたいな。

そう思います。


ギルドハウス十日町は事業ではないし非営利。あくまで個人宅というスタンス。ひとつの家計をみんなで支えあって成り立たせています。

みんなの協力のおかげで、この4年間ギリギリですけど黒字です。

ここに集うみんなへ。
いつもほんとうにありがとう。

よかったらサポートをお願いします。もしくはギルドハウス十日町へ遊びにいらしていただければうれしいです。