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《ソーシャルな隠居》は「言い得て妙」

先日とあるご縁で社会学者の上野千鶴子さんといっしょにシンポジウムに登壇する機会がありました。

上野さんといえば東京大学の名誉教授であり、同校の入学式での祝辞で話題になってテレビ番組の『情熱大陸』にも出演されたほどの方です。

お会いするのが実は二度目だったわけですが、今回いっしょにお寿司をいただいたりと、いろいろお話をすることができました。


そのとき上野さんから言われたのが

「西村さんの『ソーシャルな隠居』という言い方はおもしろいと思う。昔のひとは隠居してから社会とのつながりを広げて活躍していったものよ」

というような言葉でした。

つまり《ソーシャルな隠居》という自己表現は「言い得て妙」ということみたいです。


その言葉がとても印象に残っていて、ちょこっと調べてみたら、確かに昔のひとは隠居してから社会的なつながりを広げて活躍していたような文献をいくつか拾うことができました。

要するに隠居と隠遁(いんとん)は違うわけです。

かの有名な伊能忠敬さんだって隠居してから日本全国を測量して『大日本沿海輿地全図』を完成させたといいます。


そういうじぶんは、40代となったとき、全国を旅した知見を集大成させて『ギルドハウス十日町』という新しい住まいを立ち上げ、同時に隠居しました。それからというもの社会から断絶されるどころか逆につながりが増え、さまざまな活動に関わるようになっています。


たとえば最近、マイプロジェクトのWebページをリニューアルしました。


また、自ら発足した世界規模の起業家コミュニティの新潟県版「Startup Weekend Niigata」でも、冒頭の写真のようにファシリテーターとしてあちこちお呼ばれされながら地方で起業家を生む活動をしています。


じぶんの住まいであるギルドハウス十日町でも、共同生活をしているみんなの背中をそっと押すようなことをしています。さらに全国各地からやってくる冒険者たちの話を受けとめながら、それに対してじぶんの体験談を話すだけでも何かの役に立っているようです。


はてさて、ほかにもいろんなことをしています。


そんな隠居生活をしてからというもの、テレビや雑誌などにも取り上げられるようになりました。


そして以上の取り組みからつながったご縁で、またさらにいろんな取り組みへと展開していきます。


巷では人生100年時代だかなんだか知りませんけど、戦後の《定年》の定義が変わっていくようです。このままだと老後も仕方なく働かなければならなくなるのか。どうせ働くなら楽しくやりたい。自然体で無理なく人生の残り半分を謳歌するにはどうしたらいいか。

若いころのように無我夢中で働くのもいいけれど、それだとじぶんの時間がなくなりそうだから、あえて隠居してじぶんの時間をたくさん取り戻し、そのぶん好きなことで社会に貢献できるようになったらいいですね。


とにかく、みんな同じように歳を取っていきます。

まだ10代・20代・30代というひとたちも、いずれ40代以降を迎えていくでしょう。

そんな時代に、じぶんが勝手にうたう《ソーシャルな隠居》が今後どのように受け入れられていくのか。

いまの時代で真に「言い得て妙」と言えるようになるのか。


などということはとくに気にしておらず、まずはじぶんと仲間たちが築き上げていく身近な社会どうしがつながり、楽しく、良くなればいいな。

あとは先人たちがそうであったように、のちのちの時代で勝手に評価されていくものなのでしょう。

#こんな社会だったらいいな

よかったらサポートをお願いします。もしくはギルドハウス十日町へ遊びにいらしていただければうれしいです。