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不安と隣り合わせの時間と場所を作る。

このnoteを書いているあいだ、九州に大雨特別警報が出てTwitterのトレンドには「自宅待機」「警戒レベル5」といったキーワードが上がっています。

それに伴い、気象庁から「命を守る行動を!」と呼びかける会見の映像がネットに流れていました。


もうすぐ9月。自ら立ち上げた新しい住まいの形「ギルドハウス十日町」で、この半年のあいだチャレンジしていた《仕掛け》がありました。

それは「場を休ませる」ということです。

例年だとゴールデンウィークや夏休みの時期などに周年祭やギルドキャンプやら何やら仕掛けていたのですが、今年はあえてそれらをせず、場を休ませることに徹しました。


なぜ、そのようなことをしたのか。

ギルドハウス十日町を立ち上げる前、たしか新潟市内の図書館に行ったときのことです。

そこは著名な建築家・安藤忠雄さんの設計した図書館でした。

せっかくなのでその図書館の書架から安藤さんの著書を何冊か拾い上げて斜め読み。そこでたまたまある文章に目が留まりました。


「日本社会再生のカギは、子供たちの野性をいかにして取り戻せるかにかかっているだろう。必要なのは、甘えた『ゆとり』などというものではない。不安と隣り合わせの、本当の意味での自由な時間と場所を与えることだ。」
(安藤忠雄 著『仕事をつくる-私の履歴書』)


なんだか、その文章がとても印象に残りました。


そのころ、じぶんは全国各地を3年以上かけて旅していました。

冒頭の写真はその旅の一枚です。髪の毛が伸び切ってボサボサ。体重はいまより15キロも少なくガリガリ...。穏やかな顔に見えて胸中にはいつも不安を抱えていました。

この旅が、将来につながる成果を出せるのか。

のちにギルドハウス十日町となる場所を創るためのアイデアやコンセプトの種が頭の中にありましたが、それでよいのか。

そもそも40歳にしてフリーランスに転向したこと自体、どうなのか。


でも、いつも不安と隣り合わせだったことがよかったと思っています。そんな自由な時間があったからこそ、不安を取り除こうと一心不乱で行動に起こせたのですから。


じぶんはギルドハウス十日町で、何から何までお膳立てをしません。

この場では、特定の体験価値を示しません。

ここは仲良しクラブでもありません。

不安と隣り合わせの、自由な時間と場所を提供します。

そこからどんな行動を起こすかは、そのひとしだいです。


そうした状態を醸成させるには、あえて数か月かけて場を休ませることも大事だと思っています。

とくにそんな時間の必要性を感じるメンバーが多いときには。

何も言わなくても自ら行動を起こせるパイオニアたちにはそんな時間は不要でしょう。


場を休ませているといっても、それでも冒険者たちは来てしまうのですけど、いまの住人たちにいい刺激と息抜きをもたらせてくれますね。

じぶんはというと、例年以上に隠居としての時間を持てたおかげで、向こう一年間をよりいっそう刺激的に楽しむための準備は万端です。


もちろん災害級の危険は避けたいところです。

それでも。

なんとなく将来が不安な、繰り返しの日常から脱したいのなら。

危険を冒してでも現状をなんとかしたいのなら。

下がりきったところからグンッと一気にレベルアップしていける《駆け出しの冒険者》にとって、ギルドハウス十日町が彼らの背中をそっと押せる場所であってほしいなと思います。

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