同人音楽に最適な音楽著作権管理とは

2010年代、ボカロ曲のJASRAC信託で同人音楽と音楽著作権管理団体の摩擦がいっときひどかったような印象を感じている筆者です。
しかし今はそれをきっかけにいろんな音楽出版社が部分信託・委託をしてくれるようになった。
さらに言えば現在はもう一つ、NexToneという音楽著作権管理会社も存在し、同じ曲の利用区分をJASRACとNexToneで分散管理させることもあるくらいだ。
それでも、僕の好きな同人バンドやボカロPは、同人リリース曲の管理を信託・委託していない…個人的に利用区分の何が同人シーンで使いにくくするのか、考えてみる。

音楽著作権の区分

以前の記事で管理区分の関しては記したため今回は省略
https://note.com/wew_thre/n/n9678f56b9a01

演奏権

まず思いつくのが演奏権
(演奏会等、上映/BGM、社交場/カラオケ)
これを管理しているとライブ演奏はもっぱら手続きが必要、だが、
ストリートライブ以外は演者自身が手続きすることはないだろうしなぁ…
(基本会場側が包括契約している)
店舗BGMとしての利用も自身で実店舗運営しててJASRAC、NexToneと契約が無い、でもない限りなぁ…

複製権

次に複製権。JASRACとNexToneで定義に相違があるため、
この記事においては、
・録音(オーディオ)
・ビデオ
・出版
・貸与
・映画
・ゲーム
・広告
この7項目を複製権として扱う。
録音とビデオ、出版の3項目は同人界隈と一番ぶつかるだろうな。
同人CD、DVDをリリースする際手続きと出費が避けられないからだ。
具体的に言うと、
録音はCD収録、
ビデオはDVD収録、
出版は歌詞カードへの印刷
がそれぞれ当てはまる。
同人誌での歌詞利用も手続きと出費が必要。

映画とゲームの2項目は同人で制作しているところもあるから無関係とは言えないが、音楽専業なら無関係と言える。
映画はDVD収録になるならそっちでの支払いも発生するだろうな。

貸与と広告は…同人界隈とは縁がないから問題なし。

複合

複合は一番ややこしい。
放送、配信、通カラ3項目。

放送は…
自身で放送法に定義されたテレビ局、ラジオ局を持っている人はまずいないため問題なし。むしろ積極的に信託するべき。

配信は…
インターネット全般の利用が当てはまるが、
殆どの動画サイトや音楽配信ストアはJASRAC、NexToneと包括契約してるため、配信者やユーザーの出費は無い。
ツイキャスは配信中の曲目を報告すれば、著作権者にお金が回るため配信ライブは積極的に報告しよう。
逆に制約が出るパターンで思いつくのは、
同人ショップのダウンロード販売に載せる場合と、
X(旧Twitter)で歌詞を利用する場合の2つ。
この手のサイトは包括契約が無い。
つまり個別契約が必要となってしまう。
が、同人界隈で個別契約できる労力がある方はいるのか…?

通カラは…
JOYSOUNDもDAMもJASRAC、NexToneと包括契約があるため、カラオケ配信が実現すれば選曲されただけ著作権者に取り分が入るようになる。同人界隈に問題はないどころかむしろ信託するべき。
うたスキミュージックポストも、アップ時に作品コードを伝えれば著作権料入ります!

結論、何が障壁か。

同人界隈にとっては複製権が一番の障壁なのだろう。
管理楽曲は自分で収録するにも手続き要るからね。

ただ、それ以外の区分は会場やサイトが契約して手続きを肩代りする形だから、演奏会場や配信サイトを選べば、使い勝手の制約はないと言える。

障壁を避けた部分信託の音楽出版者

最後に、自分が推してる、同人界隈と親和性の高い音楽出版業者を紹介して〆る。

クリプトン・フューチャー・メディア
(https://ec.crypton.co.jp/pages/special/mpub)
言わずとしれた初音ミクの生みの親と言える会社。
冒頭の件の当事者とも言える。
基本の管理範囲が
演奏権3項目、配信、放送、貸与、通カラである。
また、ページには記載がないものもあるががJASRACとNexToneを調べた結果他に5パターンの管理が存在。6つ目のパターンは基本パターンから演奏権を抜いたものである。
個人的には基本パターンと6つ目のパターンがマストかな。
契約条件はクリプトンのレーベルKARENTへの配信もしくは業務用通信カラオケへの配信が1曲以上あること。つまり、JOYSOUNDリアルタイムリクエストで入った同人楽曲はボカロ曲以外でもチャンスがあるということである。(無論オリジナル曲だぞ)

エクシング・ミュージック・エンタテインメント
(https://xme.co.jp/)
JOYSOUNDを扱うエクシング系列の音楽出版社
ここもボカロ曲カラオケ印税対応への一環で部分信託を始めた。
演奏権3項目、配信、放送、貸与、通カラの部分信託が選べる。

ワールドスケープ
(サービス名:Frekul https://frekul.com/)
音楽系IT企業が運営するサービス。
店舗BGM、音楽配信代行、うたスキミュージックポスト代行、色々やってるが、
うたスキミュージックポスト代行をここで依頼した場合、
1曲2万円でカラオケ配信+放送、通カラのみの部分信託ができる。超尖ってる。

デキゴコロ
(サービス名: Muse Cruise https://muse-cruise.jp/)
音楽配信代行とうたスキミュージックポスト代行を行う業者
サービスの種類問わず、ここ経由で配信された曲を信託対象にできる。
部分信託の場合の管理範囲は、配信、放送、貸与、通カラ。
演奏権の管理をしない時点で尖ってる。
そしてこの業者、著作権料の分配率がかなり高い、こんなにあげていいのか。(ちなみに分配率が下がるがついででここ経由で配信していない楽曲の信託も実績次第では…?)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?