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「社員の成長にコミットすることが、会社の成長につながる」 — by JED Creative <vol.15>

今回インタビューしたのは、インドネシアの首都であるジャカルタに拠点を置くブランディングカンパニー JED Creative。WORKS GOOD! MAGAZINE 第15回目にして初のアジア勢となる。独特なワークフローからジャカルタのデザイン業界事情まで、詳しく話を聞いてみた。

– まず初めにJED Creativeについて教えてください。


JED Creative は2008年に、私と、デザインディレクターであるJessicaの2人で設立した会社です。コーポレートアイデンティティ制作、パッケージやWEBサイトのデザイン制作を主に行っており、10人いるメンバーのうち5人がデザイナーです。

– 新規プロジェクトを受注したら、どのようなワークフローで仕事を進めていますか?

クライアントから依頼をもらったら、まずは直接話を聞きにいき、私が主となってコンセプトを練ります。提案が通ったらチームに内容を共有し、2人〜3人のデザイナーそれぞれにデザイン案を作ってもらいます。社内コンペとまではいきませんが、約2週間後に各々のデザインをクライアントに提案してもらうようにしています。

– あらかじめ担当デザイナーを決めず、複数人に案を出してもらうのはなぜですか?

クライアントにベストなものを選んでいただきたいというのが1番の理由です。なお、採用された案を作った人がその案件を担当することになります。

– 社内コンペのような形式を用いることで、デザイナーの仕事に対するモチベーションも高められると思いますか?

はい、高められると思っています。私達と一緒に働いてくれる間は、彼らの実績を少しでも増やしてあげられるよう努めています。新卒の子やデザイナー歴が浅い子を雇うことが多いので、いかに彼らのポートフォリオを充実したものにできるかを考えています。それが彼らのモチベーションにもつながっていると思います。

– 社員にとって、自身のポートフォリオが充実するのはうれしいことです。では、会社にとって、プロジェクトに向き合う最も大きなモチベーションはなんでしょうか?

会社のビジョンでもありますが、海外のマーケットでも引けを取らない、インターナショナルスタンダードな仕事をすることです。今までにもアメリカやドバイなどの会社のパッケージデザインを手がけたことがありますが、私達の目線はインドネシア国内のマーケットだけに向いているのではありません。それが個性にもなり、クライアントが私達を選ぶ理由になっているんだと思います。

IDELO


– ちなみに、今現在インドネシア国外の仕事はどのくらいの割合を占めているのでしょう?

まだ20%くらいですね。ただ、国内のデザイン案件はあまりやりたくないのが本音です。コンペが多く、フィーが支払われないどころか、アイデアだけを盗まれることも多々ありますので。それでも年に1–2回ほど、本当にやりたいと思った案件だけを選んでコンペに出ることがありますが、フィーが支払われないことは根本的に間違っていると思っていますし、そのシステムが変わらない限り、インドネシアのデザイン業界がよくなることはないでしょう。

– 若いスタッフが多いようですが、彼らを育ててもいずれは会社を辞めてしまう、そんなジレンマはありませんか?

数年で会社を辞めてしまうことはよくあります。2〜3年、長くても4年ほどでしょうか。もし自分に置き換えて考えてみても、多分それくらいで辞めてしまうだろうなと想像はできます。重要なことは、在籍している間、いかに彼らの成長にコミットするかです。

– 会社を大きくすることには執着がないのですね?

会社を大きくすれば、規模を維持するために単価を上げざるを得なくなり、国内での競争力が落ちる可能性があります。先ほどお伝えした通り、国内のデザイン案件はコンペが多いですが、各社から提出されたデザインが最も単価の低いプロダクションに横流しされる例もあるほどなんです。


– ペイメントフローはどのようなものを採用されていますか?

請求は2〜3回のフェーズに分けて行います。初回はコンセプト提案のフェーズ、2回目はデザイン制作のフェーズです。印刷等に経費がかかる案件では、経費を含めた請求が最後に発生します。

なお、これらはすべて各フェーズに入る前に支払いを完了してもらっています。そうすれば、もし途中で案件がキャンセルされてしまっても、マイナスになる心配はありませんからね。

– 社員の副業は認めていますか?

会社でやらなければ問題はありませんが、たぶんそんな時間はないと思います。ジャカルタの交通事情はひどいもので、通常みんな17時半から18時くらいに会社を退社するのですが、家に着くのはだいたい20時から21時くらいです。その頃には別の仕事ができるようなエナジーは残っていないと思いますよ(笑)。副業をしている人もいないことはないですが、とても稀です。

– 交通環境に問題があるということですが、家で仕事をするなどのリモートワークは許可されていますか?

その人の状況次第ですね。新卒の社員などは私の監督下に置く必要があります。FaceTimeなどを使ったオンラインのコミュニケーションはとても難しいですね。3〜5年の経験があればリモートワークもよいと思いますが、前例はないですし、あまりうまくいくとも思えません。

– 最後に、「良い仕事」をするのに一番大切なものは、会社としてなんだと考えていますか?

良いコンセプトを作ることです。良い仕事には常に良いコンセプトがあります。良いコンセプトが生まれ、それをきちんと実行することができれば、その仕事はとても優れたものになるでしょう。

CRUNCHiTes

※この記事内容は2018年10月公開当時のものです。


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Vol.14 :「家族のようなチームだからこそのフレキシブルなワークスタイル」 — by Niika


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