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072屋上庭園めぐりと出世地蔵尊✳インペリアルハニーと空中銀座と至福の時

 私が仮想世界の海でぷかぷか浮かんでいたその頃――現実世界で私たちは、ソファの実家シェアホームに戻って来ていた。オソラナさんも一緒です。


 私は数日前に、日本橋にあるクリエイターたちが入居するHUBの、記念パーティーに参加した時のことを想い起こしていた。


 解剖して集まった動物の骨を組み立てて、蓮などの花にまさに昇華(?)させ、土に還すアーティスト。回文好きな、ほんやさん。んほ。イギリスなどでコミュニティ展開する方など。


 防災担当の旧ナントカ省の方や、日本橋の伝統をアーカイブして、教材として利用するプロデューサー。以前、銀座のギャラリーでお会いした、日本伝統の聖地づくりしたい芸人さんもプレゼン。


 たしか羽田空港でフォークリフトを操る方もいたので、『涙の倉庫番スペシャル』のゲームが浮かび、「毎日、パズルですね」と数回連呼したところ、そんなにパズルではないことが判明した。



 そんな人たちを想い出しつつ、メイドのクラスタメイたちが、脚をマッサージオイルでマッサージしてくれていて、きもちいいい。うん至福の時。ウフフフ。


「クラスタメイ、いつもありがとうね」



 私たちはお礼を伝えてから、収納でお白湯を空間から取り出した。


「ふーーっ。お白湯はきょうも美味しいわ」


 休憩も済んだので、また中央区、今度は銀座駅へ転移クリスタルで移動。


「シュタッ」


 転移クリスタルは無音で作動するが、私は気分的にそう発音して、転移先に着地した。


 オソラナ三人は用事があって原宿へ転移している。


 私たちは軽く『屋上庭園』めぐりをすることに。以前、歌舞伎座の空中庭園へ足を運び、なかなか素敵な雰囲気だったのだ。瓦屋根は、改装した時に、きっとチタンに替えている様だった。チタンは硬いので成形が難しいが、軽いのだ。


 屋上庭園めぐりを始めたきっかけは、もちろん球体ビルづくりの一環てはあるが、直接的には代々木ビレッジのフリースペースで、都市のオアシスさんぽ。都会のグリーンガーデンのマップデータをシェアできてから。


 先に京橋スクエアのグリーンガーデンを、アクロの丘――じゃなくて京橋の丘ってここ?と不確かなまま、たぶん違うと感じつつ、また機会があればと早々に切り上げて銀座方面へ。


 少し歩くと中央(銀座)通りを進むと、旧警察博物館があり、入館。入り口にはパトカー。中にはヘリと白バイ。


 五階までススっと展示を見終わり、次に紙パルプ会館へ。ここの屋上では養蜂されてるそうで、主に蜂たちは浜離宮や丸の内の街路樹、皇居から蜜を集めてくるそうな。



「まさにロイヤルゼリー」


 そう私が言うと――



「インペリアルゼリーよ」


 そうシェリーにツッコされた。


 皇居は参賀や、東御苑など入れるところは入ったが、残りは、大きな業績による社会貢献による叙勲か、短歌の受賞、皇族とのご成婚くらいしかない。(ご奉仕や森の生態を観察会もあるかも)


 皇居内には神社があるのだ。本物かレプリカかはわからないが、三種の神器の鏡も奉られてるとされている。つまり皇居は大きな神社とも言えるのだ。



 そんなこんなで松屋にて『銀座のはちみつ』をゲット。



(ムフフフ。インペリアルハニー)


 しあわせなヒトですね。



 実はオアシスマップには載ってないけれど、松屋にも空中庭園があり、ビアガーデンと確か神社がある。以前来た時に参拝。


 次に三越の銀座テラスへ。ここはなかなかきもちいい。親子連れが遊んでいる。


 隅には弘法大師が建立し、宇迦御魂命(たぶんお稲荷さんか)をまつる三囲(みめぐり)神社がある。その隣に、銀座出世地蔵尊と呼ばれる台座あわせて二メートルはありそうなお地蔵さまもある。合わせて参拝。


 松屋の前の中央通りを少し北上すると伊東屋があり、その前には銀座発祥の碑がある。


 


 

 碑文は以下の通り。


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銀座発祥の地

銀座役所趾


慶長17年(紀元2272年 西暦1612年)

徳川幕府此の地に銀貨幣鋳造の銀座役所を設置す

当時町名を新両替町と称せしも 通称を銀座町と呼称せられ

明治2年 逐に銀座を町名とする事に公示さる


昭和30年4月1日建之

銀座通連合会


――――――――――――――――



 ここにも新両替町と記されていた。



 紙パルプ会館には和紙で造られたシャンデリアも天井から垂れ下がっている。オシャレ。


 上階では無心会と呼ばれる団体の書道展が開催されていた。書を観ると、きもちいい。


 また来年も観たい、そう感じたのでした。




 次に銀座SIXへ。屋上庭園の前に、書店。アトリエも併設されて展示されている。


 有名アーティストの作品も本の隣に幾つも置いてある。


 本棚の形も面白い。デザインとアート本がメインに置かれていた。



「ここ、すごごく居ごこちいいい」


「うん、そうね。またきたいな」


「くるくるー」


 カフェも併設されて、飲みながら本も読めるスタイル。


 しばらく、建築本を観ていると、すぐ後ろのカーテンで仕切られたイベントスペースから声が聞こえてきた。


 聞き耳をそば立てると、どうやら美術館のお話らしい。


 葛飾北斎の波の版画を、幾何学的にカラフル化したクリアファイルが気に入ってゲット。


 クリアファイル使う時はないけれどね。


 屋上庭園へ向かう。



 屋上に着くと、光と音が聴こえてきた。



 見た目女性の方が、一点を上にしたシルバーの正立方体を叩くと、少し離れて扇上に建っているモニュメントが光るらしい。




「きれいーー」



 そんなインスタレーションな大きなインストゥルメントがいくつもあるのだ。私たちはすぐさまトリコとなった。


 私がシルバーの立方体を叩くと――モニュメントが光った。


「わーー」



 リズムよく叩くと光が強くなる。


 ピカッピカッピッカー。


 案の定、ソファとシェリーは踊り始める。



 トントンタンタントンダンダン


 昂ぶる私たち。



 そう、ここは銀座のど真ん中。


 『空中銀座』


 私は声を上げ始めた。


 ワーーーフーーーーワーーー。


 スキャット。スキャッティング。


 観ている先程演奏していた女性も踊り始める。



 ドントトトトタンタタンタタ



 ワーーーヤーーーウーーーーターーーー



 キラッピカッピカッ。




 私たちは異能スキルも魔法も使っていなくて、テクノロジーのみでセッションしている。



 他のインストゥルメントもセッションに加わった。



「さーーーーいこーーーーう」



 ソファが嬉しそうにそう叫んだ。




♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪



 十分くらいでセッションは終わり、私たちは屋上庭園を散歩した。木々が生い茂るエリアや、一周ぐるっと回れるらしい。歩いている。


 見た目が男女のカップルが、眼下に銀座中央通りの行き交う模様が良く観えるベンチに腰掛け、睦まじく過ごしている。


 その少し離れたベンチに仕事帰りの見た目女性が一人で座っていた。


 しばらく歩いていると――



(屋上キッス――『屋根の上キッス』がしたい)


 そう私は感じた――。




 私は他の人に観られないよう、ユニークスキル『肖像権ガーディアン』の応用スキルを発動。


 無言のまま目を瞑り、くちびるを二人に差し出した。



 するとソファとシェリーは肖像権ガーディアンの発動に気づいて――



 目を瞑っている私の手をそれぞれ握り――




 私にプニューっと二人でやわらかく同時にキスをした。



 三人での屋根の上キッス――。


 雰囲気も相俟ったのか、少しだけ舌が触れ合います。


 永遠とも想えるような至福の時。



 そんなキスに満足しながら空中銀座を楽しみます。



 ぐるーーっと屋上を回ったら、下に銀座中央通りが観え、和光本館の時計も映る。


 行き交う車、人、光。



 とこか幻想的。



 ベンチに座ってしばらく眺めます。



(ここもここちよいな)



 私たちはそう感じて立ち上がり、少し進むと、ビルがガラス張りで一階から最上階の営みが観える、ファッションビルが観えるのでした。


 どの階も、同時に人が思い思いに動いているのです。


「スケルトン。面白いわね」


「「ねー」」



 屋上庭園と空中銀座の雰囲気を、おおいに満喫できた私たちは、転移クリスタルで下界に降り立ちました。


 地上の私たちは、夢心地ながらも、東急プラザの屋上庭園はまた別の機会として、次なる有楽町エリアに向かいます。


 夢心地のまま歩いて行くことにして、面白そうなバーを横にすり抜けながら、ガード下をくぐり、お目当てのバーへと近づきます。



 そのバーは飲み屋街の雑居ビル内にありました。隠れ家テイストなバーのドアを、シェリーがゆっくりと開けたのです。






 

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