068聖地と不思議な寄り道✳アーティストインレジデンス
私の記憶が確かなら、異能スキル『並列思考』ができるようになり、現実世界で活動しながら『球体ホログラム』で仮想世界でも同時に活動できるようになった。
仮想世界ではアバターからリンク終了/ログアウトした場合、アバターを次回リンクまで消滅させるか、スリープモード/眠るか選べる。
消滅の際は転移クリスタル設置も必要なく、リスポーン設定すれば所定の位置で復活可能。
現実世界で消滅だけでもできたら、活動したい時だけできて、便利なのになーと感じる。
とりあえず、仮想世界の私たちは六階の超重力スペースで、無重力睡眠することにした。
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現実世界の私たちは、むっくりと起き上がり目も覚めていた。
夜六時を少し過ぎている。
私たちは明日の予定をどうするか、方針を決め始める。
「今週は『不思議な寄り道』が吉祥で幸運らしいの。不思議な寄り道て何かしら?」
(吉祥て吉のことよね。吉祥文様?吉祥天女?)
「――ここまでの流れで行かないようなところよね」
「かもね。最近は『存在永遠豊』と『あの方』につながるようなエリアとコミュニティハウスを回ってたわ」
「皇居エリアとその周辺エリアよね」
「皇居エリアの南のコミュニティハウスに行った時、もう少しで海てところまで行ったわよね?レインボーブリッジの近く」
「数カ月前のダンスウォーキングで、お台場海浜公園から、海と橋とビル群の夜景をたまたま眺めてたエリアよね」
「そうそう」
「どこか海沿い行ってみない?」
「いいかも。最近の流れからは少し寄り道っぽくなるかもね」
「京葉ベイエリアのどこかになるかな」
「いつか東京湾沿いを歩いてみたいかも。数日かけたりしてね。京浜まで行く可能性あり。」
「ただ、東京湾沿いは工場も多かったりして、入れない場所も結構ありそうよ。海浜公園はすでにチェックしてあるわ」
「東海道なんかも横浜位までなら徒歩探索してみたいとは思うの」
「東海道ならまさに寄り道――よね」
「「まさにー」」
「不思議な寄り道て何だろね」
「「ほんとねー」」
「まぁ、他にも候補はいくつかあるし、天気やくじ引いたり、想いつきで行動なんかもあるやもなので、明日決めましょ」
「ほーい」
「うんそうしましょ」
「あとはー最近のルーティンやループで、最近の流れにそぐわないことを、露わにして他の行動にするとよさそう」
「ソファは甘いものかしら」
「甘いものはいいのですぅ」
ソファはそう言われても気にしない人。
「夜な夜なやってる変な裸踊りは?」
「そんなことしてませんよぉだ」
ソファは言う。
「そういえばシェリーは毎朝ニュース見過ぎじゃない?」
「観ないときは観ないけれど、最近はよく観てるわ。事件にもそんなことが起きるんだって、新しい発見がある時もあるの。新たなアイデアみたいなものかしら。事件だから好ましくはないのだけれどね」
「それはわかるわ。けれど時事ニュースと事件とか少し具体的過ぎない?私たちはより抽象化されてるわよね?それでも好きなら構わないのだけれど」
「そうね。週ニ日とかで毎日観ないようにして、その浮いた時間をよりクリエイティビティに時間とエネルギーを使うわ」
技術やテクニック、具体的なことのほとんどは、他のポジションに任せればいいのだ。
抽象的なことが出来る人は少ない気がする。抽象化と存在永遠豊はきっと密接に関係している――。
存在永遠豊と言えば、もちろん愛もふくまれる。恥ずかしげもなく言えるなら、『存在愛』『存在永遠愛』とも言える。
永遠に続くものなどないとよく耳にするが、それは時間を超ロングスパンにしているからで、本来は時間を超越したメタ時間であれば、永遠愛は可能なはず。
では時間超越、メタ時間とは、未来や過去にワープするというよりは、時間の影響を受けない、または時間軸のない世界。正確には時間があってない世界。思考があってない世界。
つまりはよくわからん世界になる。
よくわからんので理屈や理論はどっちらけで、なんかわからんけれど『存在永遠愛』になれたよ。
そんな調子が丁度よさそうなのだ――
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以前のプロジェクト通り、仮想世界の球体ビルエリア『最適化シェアルゴリズム』により、球体ビル内にアーティストインレジデンスが、三階のリゾートホテル/ゲストハウスと共にできることになった。
アーティストインレジデンス通称AIRは、アーティストは宿泊無料で滞在でき、作品発表の場も支援してもらえる施設。
私たちのAIRは即興セッションが出来るアーティストが優先になる。
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あくる日。
以前から足を運んでいる都心のコミュニティハウスへ向かう。
その日のマスターさんと存在豊につながりそうな話題をシェアできた。
そして球体ホログラムにより、最近アート関連てご縁のあった方が、近く有楽町のカフェにいるとのこと。
その方は浅草界隈で長年、活動されていた人気商売の方で、日本エリア独自文化に根ざした聖地をつくりたいとのこと。
お話を聴くと、私たちの仮想世界でシミュレーション創造と通ずるものがあるようだ。
旧来型で言えば、ビジョンを叶える為に一般社団法人のような――そんなクランを立ち上げるらしく、賛同者を募っている。
その法人をバックボーンとし、日本エリア独自文化に根ざしたまちづくりをして、聖地化するとのこと。
聖地と言うのはおそらく、〜のメッカあるいは、アニメのロケ地を巡る聖地巡礼のようなことかもしれないし、精神文化に満ちるエリアなのこかも。
不思議な寄り道、これから他にもあるのかしら――。
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