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073ソシアルバーと海鮮BBQと縁(よすが)なる並列感覚共有体の∞BANKs✳どこに身を委ねるか

「こーんばんはー」

 そう言いながら入店。

 L型のカウンター席にお二人。カウンター内にお一人。

 元々小さな小料理屋の居抜きだろうか、カウンターには八人座れそう。何やらこの八席というのは黄金の数字らしいと何かで聞いたことがある。

「帽子かわいいー」

 カウンター席の一人が言った。


「今日始めてなのです」

「誰の繋がりでもないんですか」

「そうなのです」

 聞くところによると毎日店主が代わるらしい。

「コミュニティで探してたら見つかったのです」

 店主とコミュニティ話で盛り上がり、それらを熱心に聴いてくれて、質問してくれるカウンター席の二人。

「今日は屋上庭園めぐりしてきた」

「光と音のインスタレーション綺麗だったよ。空中銀座」

 話とお酒は進み――

「コミュニティは安心して生きていく為」

 私たちは――

「球体ビル建てたいのです」

「ソーシャルアパルトメントのようなシェアマンションも入った複合施設」

「ショップの他にホテルやオフィス、アーティストインレジデンスもあるよね」

「仮想世界ではもう建設されてて、できるだけ現実化するつもりよ」

「球体ビルは上半分が地上、下半分が地下。中心にはフリーな球体コアスペース。スタジオや舞台にもなるの」

「高望みせず、できるだけ小さく始まるのが基本だけれど、拡張する場合は球体ビルの周りに円環モール。さらに拡張は球体ビルの上に円環ビルを建設。強度が実現できるかは不明」

「もっと小さく始まる可能性もある」

「そもそも球体ビル?人口減少に伴い、空きビルが増加する将来なのにビル建てるのはどうなの?

 数十年後に、ある地域のタワマン群もゴースト化するとも言われてる。遊休ビルをコンバージョンするのが流れじゃない?とも感じている」


 こんなに初めて出会った方に話したのは理由が幾つかあった。

 熱心に耳を傾けてくれたのも一つではあるが、その中で大きいのは、もしかすると『あの方』かもしれない、そう感じたから――。

『球体ホログラム』により、地球中心の天動説、太陽中心の地動説に対応――誕生(時空間)座標の星の配置もヒントとなった。


 しかしながら、私は過去に過ちを冒したことがあった。つまりは自分にとっては順風に感じても、相手にとっては大切にしている領域(特に専門)を侵してしまうことだ。


 さらには、以前のどこか王族のプリンセスとシャーマンのように、「私は前世で王であなたは妻だった」にある種、遠くないかもしれない。

 前世なんて真相は不明であり、多くはポジショントークで妄想、あるいはイメージ療法とも言える。あくまで当人の主観であり、それ(前世で夫婦)を言ったらお終いよ。なのである。

 ともあれ言われた方も納得するならそれはそれでいい。しかし大抵は、(は?何言ってるの?きもちわる)が関の山。


 当たり前ではあるが、いくら順風に感じたとしても、何も知らない風にしつつ、自身の持つ情報と、相手の情報の差異をなくしていくことも大切なのだ。そして変わらず差異あるままになることも勿論あるのだ。



 数日後――入浴中に初めての感覚(クオリア)、インスピレーションを感じることになる。


 ふいに求めてる縁(よすが)な『あの方』は、一人――の存在ではない気がした。

 クラスタNets……『並列思考(精神/感覚)共有(集合)体』なのかもしれない――と。



 そして私――たちも並列感覚共有体なのだ。


♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪


 時間は少し遡った仮想世界。


 私たちはまだプライベートビーチで遊んでいた。

 ジュージュー。

 三つのまぁるい鉄板の上で海鮮バーベキューをしている。

「ホタテとハマグリとイカさん食べたい」

 くコ:彡

 イカさんはイカの丸焼き。


 もぐもぐうまうま。

 もぐもぐうまうま。 

 もぐもぐうまうま。


 続いて『ぼったら焼き』登場。

 ぼったら焼きは、もんじゃ焼きよりかは緩くない、小麦粉と具を焼いた浦安ベイエリアの郷土フード。

 残りの海鮮を小麦粉に混ぜたり、スウィーツになる素材を混ぜ混ぜして焼きます。

 「あんこまぜるー」

 ジューーーーー。


 焼けました。


 ぱくぱくうまうま。


 美味しいなぁ。


 つ・づ・い・て、どこでもモンブラ〜ン。

 モンブランLabの一員なる私は、ユニークスキル『収納』で空中から取り出します。

 食べたい人に配って美味しく頂きました。マルシェで手に入る焼きモンブランなのでした。


 美味。

♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪


 あの方が並列感覚共有体と言うのは、単なる複数人との色恋沙汰ではない。

 それは誰か一人にだけ、尊重され理解し受け止めて愛されれば、救われる、生きられる――に反することでもない。



 さらに深まると本来、その誰か一人とは自分自身なのかもしれない。

 一番近い存在は、自分自身という細胞同士の共生集合体とも言えそうだ。



 自身をメタ認知して、その上でお互い、そして各々が依存せず、独立(かつ共生体Netsな並列感覚共有体)した存在として親友あるいは盟友のように携わり、多くを求めず共に生きられるに――違いない。

 そこに在るのはきっと『慈しみ』ではなかろうか。


♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪

 嬉しみ。

 ぼったら焼きを美味しく食べた後は、球体ビル六階にできたプラネタリウム鑑賞。その後にはキャンプファイヤーなのだ。

 さっき観たプラネタリウムはまるまるアニメだったので、次こそ満点の星空。

 私たちが現実世界で、電気モンスターアニメをプラネタリウム観ていた頃――

 オジュ、シフォン、ペキノとユリカ/サビアが、『∞BANKs』のさらなるSync/同期される為、市川ベイエリア(と言っても海は見えない)の探索していた。

 その流れで夏季限定のプラネタリウム鑑賞になったそうな。これまでに観たことのない、素敵なストーリーで、星も最大1500万個投影される。

 一日でプラネタリウムを述べ三回、三作品観たとのこと。

 そのおかげで球体ビルのプラネタリウムもアップデートされたのだ。星の数は3330万個と『ガイダンス』が言っていた。

 プラネタリウムも専用の小型望遠レンズで鑑賞すると、より楽しめることにも気がついた。私たちは『球体ホログラム』でそれらが可能だ。

 球体ホログラムはスマホが高度に進化した形と言っていい。


 私たちはプライベートビーチにある転移クリスタルで、球体ビル六階に移動した。


♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪

 ひとつのゴールであり指針である『∞BANKs』は、心/精神面と身体/物質面の豊かさ潤いを永遠に、オートシステム的にデフォルトで現出、ポテンシャルなクオリア体感される。

 球体ビルをはじめとした、創発されている『グランドデザイン』と現実のSync/共有/同期も、その一環なのだ――。

 あの方(並列感覚共有体?)を私たちが求めるのも、ややもすればその一環の縁(よすが)なめぐり逢わせ――となるのかもしれない。


 ゴールを叶える/現実と同期する場合も勿論のこと、何をしたいか何をしたらいいか、または最適な表現方法を模索している場合――

 何をするか――よりも、どこに身を委ねるか――が長期で観ると、より重要になってくるのかも――しれない気がするのだった。




 

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