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ただそばにいること のあとさき

そもそもは、事故に合う前の週末のこと。

その日も、ふっと思い立って、行ってきた。この場所はとっても気持ちがいい場所。ときおり行きたくなる場所でもある。

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かやの輪くぐって、いつものように本殿から順にお参りしてたら、いつもは気が付かなかった諏訪大社の末社を見つけた。そこのお守りは水晶玉と書かれてあり、思い立って受けて帰ることにした。
帰ろうと車に乗り込んだところ、古いお守りを見つけた。行くときは気が付かなかったけど、前の車にあったものだ。すぐに戻ってお返しして、新しいお守りを頂いた。

・・・からの事故。
生かされたことは、参拝のおかげか・・・。

そう思ったので、お礼参りに行ってきた。事故にあった私の身を案じて駆けつけてくれた娘と一緒に。かやの輪をもう一度くぐって、本殿にお参りした。おみくじは末吉。結構厳し目のことが書いてあった。再出発だから気を引き締めよということなんだろう。
いつものように、その他のお社にも参ったのだが、諏訪大社が見当たらない。なぜ?
娘が神職さんに伺ってくれた。「諏訪大社って奥に祀ってあるって。だから、見られないよって」「!?」じゃ、私が見たのは何だったんだろう。不思議なこともあるもんだ。

警察署から、連絡があって事情聴取に行った。
担当者は、電話の印象とは違った、まだ、少年の面影が残る青年だった。彼は開口一番、「いやー、生きててよかったです」「!?」
「あの日ね、僕、当番だったんですわ。連絡が入って、自動車と歩行者っていうから、被害者死んでるわって思ったんです。いやー、ほんと生きててよかったです。」
これは、彼の本音だろうなって思った。「雨」「夜」「片側2車線道路」「信号」の中で、通行を止めて現場検証なんて、そりゃ嫌でしょうに。その上に、被害者死亡なんて連絡が入ったら、疲れ倍増。それが、生きてて、声を聞いて少し安心したところに、見た目なんともない姿が現れたんだから、本音も漏れ出ようというもの。素直な彼のためにも生かされたのかもしれないと思いたくなった。

事情聴取では、当日の服装を聞かれた。当日は自分で作ったセットアップを着ていた。辛子色の糸と光るブルーの糸が織り込んであり、方向によって色が変わるこの布地に惚れ込んで作ったもの。

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右側の写真のほうが実物に近い色合いになっている。
ずぶ濡れになっていたので、帰宅後すぐ脱いで、洗濯したものの、事情聴取で聞かれるまで、全然気にかけていなかった。改めて見るとどこもダメージを受けているようには見えなかったのだが・・・。
この上着の裾の中央辺りに、そこだけアイロンがかかったような不自然に真っ平らになっている部分がある。この服はアイロンをかけていない、というより、かけたことがない。もしかしたら、この部分に自動車があたったのかも知れないと思うと、血の気が引いた。

ただそばにいること は、事故直後の不安定な私に寄り添ってくださったすべての方への感謝の思いを忘れないために文章にしたものだが、悪文にも関わらず多くの方が読んでくださった。そして、リアクションを返してくださった方、コメントを寄せてくださった方の他、追体験してくださった方やシェアしてくださった方にもお礼申し上げたい。
コメントのほとんどは私を心配してくださるものだったが、この中には、ご無沙汰していたにも関わらず、暖かいお言葉を下さった方もいらっしゃり、本当にありがたいことだと思った。
シェアしてくださった方からは、シェア先の方々の感想もお伺いすることができ、とても嬉しかった。シェアして下さったことにも感謝申し上げる。
また、追体験してくださった方。あなたの感性は素晴らしい。あの文章から読み取って追体験できる洞察力と繊細な感性をお持ちで、羨ましいと思ったのです。

この文章を書いている最中に、交通事故のニュースがあった。
今日の日中に、同じ市内で右折の軽ワゴン車が自転車に乗った女性をはね、女性が亡くなったと言うもの。私がこの方になっていたかも知れないのだと思うと本当に不思議な力を思わざるを得ない。この方のご冥福をお祈りいたします。

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