『罪と罰』を読み終わった直後の感想

読み終えていっちばん最初に思ったこと

この1,000ページほど(たぶん)の長ーい物語は彼の更生の誓いとともに終わりました。

それは何かを受け入れたということだったのかしら。

彼はずーっと考え考え考え続けてきました。(悩み続けてきたとも言える)

そんな中、終わり間際で彼が見た夢がすごく示唆的なものなだと思いました。

彼は解き放たれたのか?受け入れたのか?いろんな言い方ができるかもしれないけど、たぶんそういうことなんだろう…と今は思っている。

(取りこぼさず読めたって自信はないからいつかまた読みたい…今は疲れた…)

物語をざっくり思い返してみるとこんな感じ?

彼はあるときからすごく悩まされるようになった。

彼は理論を考え論文を作り上げた。

彼は自分の意志で人を殺した。

彼は引き続き悩まされていた。

彼はソーニャに出会った。

彼は自ら警察に赴き、裁かれた。

彼はその流刑地で、その悩みから解き放たれて終わった。

みんな共感できるんだろうか?

このお話は古典であり、世界史の授業でも習うほどの作品ではあります。しかし、この作品にみんなは何を思ったんでしょうか。

僕は、ラスコーリニコフの言動をすごく自分と重ねてしまいました。

僕も(賢いかどうかはさておき)ラスコーリニコフみたいに悩みすぎる性格だし、他人に対して傲慢な考えを抱くこともある。

だからラスコーリニコフには共感したし、思想がこじれて人を殺し、裁かれるという人生を歩んだラスコーリニコフを見て、僕も道を違えばこうなるのかもしれないという恐怖を得ました。こんな主人公に共感してしまう僕は恐ろしい人間なんじゃないかって不安になったこともある。(しかもラスコーリニコフと同じく卑怯者である。へ!へ!)

出頭していなかったらどうなっていたんでしょう。

そもそもなぜ出頭したのか。結局何がそうさせたのか、しっくり来ていません…

最後の最後までラスコーリニコフは(社会的に)罪を許されていたんですよ。自白しなければ本当に捕まらなかったんですよ。でもきっかけはソーニャなんだろうなあ。

ラスコーリニコフの母親が願ったこと 

個人的に最もつらかったのは、ラスコーリニコフが母親を苦しめたことでした。母親の死に方が一番許せませんでした。母親は息子を愛していました。信じたかった。立派に育ってほしかった。母親は息子の論文を理解できないくせに何度も読んで(声に出して読むこともあった)、枕元において寝たり、(過去にやったと息子の友人から聞かせられた)息子の人助けの話をせがんだりして、自分の中の息子を英雄、もしくは何か誇り高き人にしておきたかったんだ。それらの行動はきっと純粋な一つの思いが原理となっていたと思います。

きっとただ息子を誇りたかったんだ。ぴえーん(泣)

(世の中には自分の子供に自分の理想を押し付けて息子の感情や主体性を尊重しない親がいますが、ラスコーリニコフの母親はそんな人ではなく、ただ純粋に、息子が息子なりに立派になることを願っていたと思います。)

でも、ラスコーリニコフが母親に会いに来た日、彼女は息子が起こしてしまった罪もしくは今後彼に然るべき罰がくだされることを気づいてしまった。(本当は彼女がペテルブルグにやってきたときには気づいていたらしい?)

息子の罪を第六感で確信していながら、それを認めたくなかった。だから、息子の論文を読み続けた。私の愛すべき息子が描いた思想が、論文が、社会的に価値ある雑誌に載っている。私の息子はすごいんだって。そして死んだ。

彼女が死なないルートがあるとすれば、それは彼女が息子の罪を受け入れ、ドゥーニャやラズミーヒン君と一緒に罰を受ける(祈る)ことだったのではないでしょうか。

スヴィドリガイロフの悟り

彼は自殺しました。

巻末の解説ではニヒリズムが行き着く先が自殺だったのかと思うと~なんたらと書いてありました。

罪深く罪悪感もない人間ですが自殺したのはきっと彼の純粋な想いが実らないことを知ってしまったからでしょうか。彼は人の平均よりよほど純粋だったのだと思います。

彼は自分が何をしようとドゥーニャへの愛が実らないことを知ってしまったんです。あれだけのことをしでかしたが、ドゥーニャは自分の思いに応えてはくれなかった。自分を愛してくれないことを知ってしまった。暴力に身を任せても良かったのかもしれない。だが、できなかった。しなかった。それはやはり彼女の心が永遠に自分のものにならないことを知ってしまったから。認めてほしかったのかなあ。受け入れてほしかったのかなあ。手に入れたかった?それは違う気がする。なぜならあの夜、やろうと思えばできたから。でもやらなかったのは、彼が彼女の身体ではなく彼女の心を手に入れたかったからなのかしら。たぶんそうな気がする。でもあの瞬間絶対に無理だってわかったんだろうなあ。

失恋ではある。それも自らの生命をを絶つほどの。そこまでする必要ないじゃんと思う人もいるかも知れない。でも、それほどの恋をしてしまったのかもしれない。そうならば仕方ないと思ってしまいます。

悲しいね。恐ろしいね。恋って!人の心はどうにもならない。でも求めてしまうのか知っていても。それは人の生命に関わる。うひー。しみじみと思います。(部屋でひとり理由の分からない踊りをしながら)

カテリーナイワーノヴナの末路

狂ってしまった。死んでしまった。

僕はかわいそうって言葉が嫌いなのですが、彼女は心からかわいそうだと思う。

辛かったなあ。

やりきれない死に方をしたと思う。彼女がたとえこの世にいなくても、彼女の魂が存在するならそこに少しでも慈悲が与えられるよう、祈りたくなるほどに。

ぴえーん(泣)

最後に

この本を読んだ人はたくさんいるんだろう。そして名作と言われている。僕もこの本を面白いと思った。

では、みんなも僕と同じような感想を持ったのだろうか。もし同じ感想を持った上で名作と言われているならば、僕はどれほどみんなから遅れをとっているのだろうか、という気持ちになる。

とりあえず読了お疲れ様

長かった。まあ面白かった。だが長った。ほんとに長かった笑(僕が読み慣れてないだけかもね)

面白かった!読んでよかった!

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