くらなど1

アニメ『CLANNAD』はなぜ感動できるのか。

keyのギャルゲが原作のアニメ『CLANNAD』に対する個人的な感想です。

「CLANNADは人生」とも言われるこの作品ですが、

なぜここまで感動させられるのか今の自分ができる範囲で考えてみました。


CLANNADはなぜ感動できるのか?


今出せる答えは

「向き合えなかったけど向き合ったから」


です。


どういうことでしょうか?


2つテーマがあります。

1 岡崎朋也というキャラクターに対して感情移入がしやすい。

2 岡崎朋也が結婚とか子供とか家族とか、普遍的な人の幸せに向き合った。


一つずつ話していきます。


1 岡崎朋也というキャラクターに対しての感情移入のしやすさ。

岡崎朋也と境遇が似ている人っているよねという話です。

現実に不満があるようで不真面目な男子高校生岡崎朋也くんと、我々オタクもとい何かしらが原因で現実に不満を持ってしまっている人は現実に色々思うところがありながらも現実に素直になれていないという点が共通しています

岡崎朋也というキャラクターは根はイイ奴なのですが、高校に遅刻するし、親との仲も良くなく、不満を持っていてくすぶっているような人物です。

一方、視聴者層、つまりオタクはどのような人か。オタクにも色んな人がいますよね。中でも現実で嫌なことに直面した結果、現実から逃げるようにオタクになったという人も少なくないはずです。そのようなオタクたちは岡崎朋也同様、どこか斜に構えてしまったり、中々素直になれない人が多いように感じます。(僕もそうなんですが)

このように、岡崎朋也と視聴するオタク。この二者には共通点がしっかりあると思います。境遇が似ているからこそ、キャラクターを自分に落とし込みやすい、感情移入しやすいという点がまずひとつ挙げられることです。

では岡崎朋也は物語を通してどのような体験をしていくのでしょうか。


2 彼がどんなことに向き合っていったのか

前項ではキャラクターについてのお話をしましたが、この項では物語のお話をします。岡崎朋也というオタクが感情移入しやすい人物がどのような体験をして、オタクたちはどのようなことを追体験していたのでしょうか。

あ、ネタバレ関係なく話します(といってもうろ覚えな部分があるんですが)のでご注意ください…。

CLANNADは向き合えなかったけど、向き合った物語だと僕は考えています。何に向き合えなかったか、どうして向き合えるようになったか、どうやって乗り越えていったのか話していきたいと思います。

朋也にとってケリを付けなければいけなかった問題は3つ挙げられます。高校生活、渚の死と汐、親父との確執の3つです。

不満足な高校生活。スポーツ推薦で高校入ったのに怪我してスポーツできないってなったらそりゃ不満ですよね。親父がいるから家にもいたくない。そんな時に渚と出会い、渚の目標をお手伝いしていくような流れで様々な人物と交流していきます。渚と出会ったことがきっかけで変化が起こり、最終的に渚とお付き合いするまでになります。くすぶっていた頃からすると大きな成長ですよね。告白するシーンは感動でした。

渚の死。かけがえのない人を失ってしまい、抜け殻になってしまいます。残された汐にすら向き合えませんでした。しかし汐との旅行で変化が起きます。朋也の親父の母(つまり朋也の父方のおばあちゃん)に出会い、朋也が知らなかった親父の人生を知ります。朋也は親父に今の自分を重ね、5年という歳月を経て始めて汐と向き合うのでした。めちゃ泣けるシーンがあります。朋也が何かを気づかされるシーン。親父の愛情を知るところとか、汐の父であることの自覚をするところとか。特に、遊んでいたおもちゃにこだわる汐の言葉。↓

「はじめて買ってくれたものだから。はじめて…パパが…。」

パパという言葉を聞いてハッとする朋也。(ここで流れる音楽も相まって涙せずにはいられません)朋也は気づきます。自分が汐のパパであること。渚を失った悲しみに耐えられなかった。汐に目を背けてきた。でも、汐にとっては、そんな朋也でも朋也はずっとパパだった。まだ幼い子どもにとってパパという存在がどれほど大きいものなのか。汐はどれだけ寂しかったか。自分は汐にどれだけ寂しい思いをさせていたのか。かけがえのないものが自分にもあったこと。誰にも変えられない自分の立場があったこと。

このシーン、それを自覚した時の朋也はどれほどの気持ちだっただろうかと思ってしまいます。

そして、たとえ全然関わってこなかったとしても小さな汐にとって朋也がずっと汐のパパであったように、自分が汐にとってたった一人のパパであることに気づいた朋也のように、自分もここまで親に育ててもらった、たった一人のかけがえのない息子であるということを思い出させられてしまいます。

帰りの電車で汐に渚の話をすることになるのですが、話し始めた途端涙が溢れ言葉に詰まってしまいます。自分のかけがえのないものに気づいた朋也は少しだけ渚の死に向き合うことができましたのかもしれません。

僕このシーンもすごく共感できて、父方のおばあちゃんの葬式の時を思い出しました。仏教の人は葬式でお坊さんとともに宗派南妙法蓮華経って唱えると思うのですが、僕南妙法蓮華経って言いたくありませんでした。南妙法蓮華経って言葉を口に出すとおばあちゃんが死んでしまったことが自分の中で現実になってしまうようで嫌だと思ったんです。言葉にすることで実感してしまう、というのは本当にあるんだなと思いました。


親父との確執。それから汐と一緒に暮らすことになった朋也は、次に親父と向き合うことを決めます。汐を連れて昔の家に行くと、真っ暗な部屋、大音量で流れるラジオ。床に散らかったビール缶やお弁当のゴミ。そんな部屋で、横になって鼻をほじりながらテレビ見るわけでもなく、魂の抜けたような顔でただうつむいて、背中を丸めて、ぼうっと座り佇む父親を見つけます。

そんな親父に、役目は果たしたと朋也は伝えます。

その言葉を聞いた親父は汐を眺め、自分に問いかけます。

「もう…いいのだろうか…。俺は…やり終えたのだろうか…。」

もう十分やってくれたと、精一杯伝える朋也。

喧嘩して疎遠だった父親。喧嘩は本当に価値観が合わなくなった結果だったのかもしれない。ただそこにいるのは嫌いになった父親であり、これまで人生を捧げて朋也を育ててくれた親父でした。

親父に実家に帰ることを勧めた朋也は最後に風呂で親父の背中を流して家も身体も心もきれいにして見送る準備をしました。

玄関の前でお別れをするシーン。ここもまた泣けるシーンです。一生のお別れではないけど、親父を思うと、涙が溢れてきてどうしようありませんでした。人生の一番良い時を自分みたいな親不孝を育てるために使ってくれた親父。それで幸せだったのだろうかという思いが頭をよぎります。もちろん迷惑かけたなって申し訳無さはあります。でも過去を全部ひっくるめて今の自分にできることはやったつもりだと思います。ありがとな親父。迷惑かけたな。長生きしてくれよ。こっから恩返しするから。待ってろよ。朋也はそんな気持ちでした。


以上3つが朋也が向き合ったことです。

渚との出会いが朋也を変えてくれました。

渚の死が受け入れられず、渚にも汐にも向き合えなかった朋也。でも汐がいることで渚と向き合うことができました。

親父と向き合えなかった朋也。でもしっかり向き合った朋也。

向き合えなかったけど向き合った。たとえ時間がかかったとしても。それはかけがえのないことで、朋也にしか出来ないことって知ることができたからだと思います。

朋也が体験したこと。女の子と付き合って結婚して子供が出来て親孝行して。きっとこれは誰もが通る道です。根はいいやつなんだけど、素直になれなくなってしまった朋也。そんな男が結婚とか一般人であれば誰もが体験するようなことを体験して、その中でつらいこともあったんだけど最後には向き合うことが出来たっていう物語。CLANNADという作品は僕たちに人生の大切なことを教えてくれました。CLANNADは人生と呼ばれる所以がそこにあると僕は思います。


こんなことを感じた結果、ひとことにまとめると最初に言った通り

CLANNADは向き合えなかったけど向き合った物語だなと思うのです。



個人的には、親子のかけがえのなさや息子としての自覚を与えてくれたのがCLANNADでした。本当に朋也はよくやったなあと。心からすごいと思っています。


まとめ

CLANNADは色々と現実に対して向き合えてなかった岡崎朋也が色々あったけど最後にはしっかり向き合えた物語。

そこには、岡崎朋也というキャラクターへの感情移入のしやすさがあると思います。

そして、岡崎朋也が体験していく結婚出産育児親孝行などの人生の普遍的な出来事を通して僕たちは大切なものを追体験することができました。

CLANNADの素晴らしさは向き合えなかったけど最後には向き合ったってことだと思います。


繰り返しになりますが、この作品に心から感動できる人は一定数います。特に、現実があまり好きじゃなくて二次元を嗜んできたオタクあたりにいると思います。そんな彼らも子供の頃は自分も将来は結婚をしたり、かっこいい仕事に就くんだ!と思っていたでしょう。でも、実際に生きてみると、失敗だったり理不尽なことを体験したりしてしまい、現実に向き合えなくなってしまった。そんな人が出会う『CLANNAD』というこの物語。序盤の岡崎朋也の態度を見るとオタクたちと共通するものがあると思います。そんな岡崎朋也が好きな女の子に出会い、(電気工という世間から見ればパッとしない職だとしても)仕事につき、結婚し、子供ができる、昔は誰もが想像したような、人としてのちょっとした理想を成し遂げたその物語に、どうしようもなく感動してしまうのかもしれません。

岡崎朋也が行う(特にアフターストーリーでの)行動を見て、本当は自分もこうなりたかったんだ…と涙する人もいるでしょう。きっとこの物語を見終えた時、あなたはきっと昔より素直になっていると思います。そしてその想いを思い出したら、あわよくば行動してみましょう。もちろん人はいっぺんに変われないと思います。動けなくても大丈夫。そうしたら他の作品を見ましょう!次は他の作品があなたを助けてくれると思います。(自分に自信がなくて行動できていない人にはぜひ『少女歌劇レヴュースタァライト』を強くおすすめしたいです。)人に迷惑をかけてしまったり、間違いを犯してしまったり、逃げてしまったりしても、最後には自分が納得するかたちで向き合うことができたらあなたの人生はきっとハッピーです。


最後に、人生で前に進めなくなってしまった時もこのようにたくさんの作品があなたを助けてくれることはめちゃめちゃ素晴らしいことだなあとつぶやいてこの記事は終わりです。


今回も個人の視点に偏った話になってしまいましたが、

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


途中参考にしたサイトです。このサイトすごくまとまってるしかっこよくていいですね。

書いている途中でCLANNADの全てを感じられてないなーという気がしたのでしっかりCLANNADはゲームもやろ。ヒロインについてもしっかり学ぼ。アニメも見返そう。と思いました。




4647文字 記2019/03/14  修正2019/03/18


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