ー「金」がないー
　三年近く付き合った彼女に振られ、寂しさを紛らわすように遊び呆けた。もっとも、自分に自信がなく、勇気も決断力にも欠ける自分ができたことなんて友達と飲み明かすことと、趣味へのささやかな投資くらいだが。
寂しさは紛れるだけで、消えはしない。お金は消えて、今の所持金はざっと学生の飲み会三回分といったところだろう。

ー「学」がないー
　自分で言うのはなんだが、昔から大体のことは人並み以上にできたし、あまり考えなくても達成できた。だからこそ、人並み以上の思考を怠ったし、結果今僕に内在する知識やアイデア、思考力といったものは陳腐で粗末なものだ。ネット上に自分の思考の痕跡を残していくことなんて、大変おこがましいとさえ思っている。

　僕が、今日ここに「自分」を表していくことを決めたのは上記２つの理由だ。

⓵「金」は一番簡単な動機だ。単純に遊ぶための資金が枯渇した。生き延びるために節制しなければ、いつ闇営業に手を出すかもわからない。逆に「金」は真っ当な時間の使い方に自分を追い込んでくれたとも思っている。遊びに身体を預け、気づけば思考を忘れ、身体は自堕落という谷の中間まできていた。なにも言わず、傲慢な僕に使われるがままにされていた「金」は、今こうして苦境に陥った自分に「もっと意味のある日々と時間を過す」ように諭してくれている気がする。
　そんなきっかけから、コストパフォーマンス最高の執筆を始めることにした。そしてそれは普段抑圧されて表出しない「自分」を書き残していくことで、「自分」を知り、「自分」を変え、その結果形のない漠然とした「寂しさ」を克服する手立てが見つかると思ったからでもある。
「金」は、そのように自分と向き合うことの大切さを教えてくれた。

⓶「学」がない。これは自分が常に抱えていた課題だった。なんとなくが評価され、考えずともある程度成果はでた。周りからはちやほやされ、妬まれたりもして、そんな社会に辟易した時もあった。それならば、日々をそれなりに生きればいいし、人に認められなくても自分が満足していればいいと思うようにもなっていた。そうして、「思考」を失っていった。社会へと足を踏み出し、自分の「財産」のなさに絶望することになるのは必然だった。
　僕がnoteを始めるのは、自分が放棄していた「思考」を取り戻すにはそれが一番有効な手段だと感じたからだ。そして、このnoteという世界は「思考」における猛者がひしめき、各々の思考を世にぶつけ合っている戦場のように感じた。「自分はそんな世界の深い谷から這い上がって高みに少しでも近づけるのだろうか」と、そんな興味が不意に芽生えた。言ってみれば、キングダムの信にでもなった気分だ。物怖じせずに、考え、自分を表現し、戦いの中から学びを得て、自分を高めていきたい。そんな気持ちが僕の指を情動的に動かしている。

　羞恥心という、自分の思考・表現を冷ややかにみる自分がいる。それでも、根気強く続けていきたい。タイトルにもある、「今日から俺は！！」は言わずと知れたバトル・ギャグ漫画だ。主人公の三橋は、転校をきっかけに、臆病で平凡な自分を変えようと、ツッパリ出した。
　僕も今日を機に、稚拙な思考を堂々とひけらかすことを冷笑する内なる自分・周囲に対して、ツッパっていくことにしよう。このnoteは、自分の弱さを克服し、思考という強さを磨いていく自分の成長記録として残していこうと思う。そんな僕に対して、思考でもって支えてくださったり、時には弱さを突いたり、一緒になって思考を広げようと加勢してくれたら大変光栄ですし、そうして自分も成長できるのかなと思います。
　まだまだ平凡で、なにもない自分の成長に期待をしつつ、この言葉で初めての投稿を締めくくろうと思う。

「今日から俺は！！」