下を向いて歩こう。明るい陰キャカルチャー醸成のすすめ。/ゲーム実況・VTuber鑑賞テーマ別研究編
ネガティブ、根暗、人見知り、心配性、自意識過剰…私を形容するたくさんの弱気で後ろ向きな言葉。
細かい分類に異論反論あるでしょうけれども、いわゆる「陰キャ」ってやつなんだと思います。
ポジティブ志向の人は言うでしょう。
もっとプラスに考えてみよう。じゃないと幸せが逃げちゃうよ。
いつもどんなつらいことがあっても笑顔でいる人には自然とスポットライトが降り注ぎ、周りにもそのエネルギーを振り撒かれるので、自然と周囲もハッピーなオーラで包まれます。
本当に素敵だし、本当に尊敬します。
けれどじゃあ私はそうならないとダメなんだろうか。
それは無理。
考えただけで、息苦しい気持ちになる。
そのままのあなたでいいんだよ、とか気休めを言われたいわけではなくて、私なりの生き抜き方があるんじゃないのかな。
そんなふうに思っていた私に希望をもたらしてくれたのが、オンラインで活躍する配信者さんたちの言葉や行動でした。
というわけでオンライン配信や動画の魅力をいろいろな切り口でまとめたいと思っていたのですが、最初は「明るい陰キャカルチャー」について。
名言「根暗はなおらん。だけど、恥じるな。」
本人の配信でなく「革命」の切り抜きで恐れ入りますが。
まず最初に紹介したかったのが、根暗はどうやったらなおりますか?という質問に対する「にじさんじ」に所属するバーチャルライバーで、ヘルエスタ王国の第二皇女リゼ・ヘルエスタ様のお言葉。
このフレーズが好きで、何回も何回もききました。
だいたいこんなようなこと↓を言っています。
ああこれだなぁと思ったんです。
リゼ様はにじさんじ内では陰キャとして確かな地位を築いており、他の場面でもそういったことへの語彙力とエピソードがとても豊富です。
彼女は、にじさんじの番組のMCをしたり、はきはき知的なコメントを返したり、仕事としてスイッチが入っている時はめちゃくちゃしっかりして見えるタイプ。
にもかかわらず、実はめちゃくちゃコミュニケーション不器用で目立ちたくない陰キャムーブが極まっているのは、わかりみが深いです。
こういう、つらいよねー、こういうことしちゃうよねー、ということを80万人を超えるフォロワーがいるリゼ様が語るのはとても面白いし、そんな彼女の「根暗でも生きていける」はとても鼓舞されます。
「天気デッキ」とかいう会話下手をエンタメ化して肯定するカルチャー
配信者さんたちは当たり前のように日々向き合わねばならないことではあるものの、一度話したことあるくらいの人とコラボして何時間も楽しくおしゃべりするってすごくコミュニケーション力が試されるじゃないですか。
私も、もし同じ状況に立たされたら全然無理なんですけど、今や男性VTuberの頂点に君臨する葛葉さんはその気まずさをエンタメに昇華していて、にじさんじ内に「天気デッキ」なんていうトレンドワードすら生み出してしまうところがさすがでした。
葛葉さんが女性VTuberとサシコラボをすることになり、どんな会話をするのがいいかをリスナーに相談するところからこの話は始まります。そこで「天気の話」「温度の話」などいかにも盛り上がらなさそうな(しかも本人もそうなるとわかっていそうな)会話ストックが作成されます。
そこから明らかに盛り上がっていないのに、事前に用意していた話題を忠実に繰り出していき、想像した通りに気まずくなり…その様子がたくさんのリスナーに配信されていきます。
本人たちにとっては地獄のような時間だし、コミュ力低めの人にとっては身に覚えのあるしんどさには違いないのですが、それを側から見ている分にはすごく面白いんですよね。
その面白さが話題となっていつのまにか「天気デッキ」と名付けられ、他のにじさんじグループメンバーがいじり始めます。
(補足すると、「デッキ」というのはカードゲームでバトルするための自分の手札のこと。カードをうまく組み合わせて強力な技を繰り出したりできるわけです。)
そしてにじさんじの公式まとめ動画で一連の「天気デッキ」ネタが紹介されるに至るのです。
すごくないですか。
仮にもし自分だったらと想像してこんなふうに振る舞うことができる気がしないので葛葉さんはやっぱり人見知りを武器にできる天才系の配信者だなと思った次第です。
ちなみに大人数だとうまくしゃべれないのも人見知りあるある、陰キャあるあるなのですが、同じく葛葉さんのこちらの切り抜き動画を見ると、しゃべれる人・しゃべれない人が明確に二極化してしまっているのがよくわかります。
ミュートにしてもリスナーとはめっちゃくだけた感じで話してるのが配信者の不思議なところですが。
これは大人数の飲み会とかオンライン会議とかで私も身に覚えのある状況でした。
1個目の天気デッキの話を含めて「コミュニケーションがうまくできない」状況を笑いに変えるのが葛葉さんは本当にうまいんですよね。
最初うまく話せなくてもちゃんと何とかなる!までの人間ドラマ
最初から仲良くなれなくても、たとえ陰キャでも、諦めなければ時間が解決してくれる、仲良くなれたら勝ちだよねって思って救われるという話です。
私も、初対面でうまくいくわけないし、時間をかけて仲良くなろう派、なのですがうまくいかない時にここで紹介するような動画を何回も見て元気をもらっています。
その代表例として、VCRというところがよく配信者をひとつのサーバーに集めて、アークやRUSTなどのサバイバル系ゲームをさせるイベントを開催してるのですが、そこでの夜よいちさんのムーブをご覧ください。
仲良くなりたい気持ちばかりが高まりすぎて、なんて話しかけたらいいかわからないし、話しかけてもうまくいかないし、あああもーーーー!!!!となるやつです。
わかりみ。
私ならこのファーストステップをなかなか頑張れないので、配信とはいえ、一生懸命アクションしてるその姿勢だけですばらしいし、すごく応援したくなるのですが。
そこからの、ですよ。
何時間も一緒にバーチャル上とはいえ共同生活を進めているうちに、ほんの数日でアルスちゃんによいちゃんとあだ名で呼ばれ、「友達だよね」と言ってもらえるようになります。そしてここで仲良くなったことをきっかけに別のゲームでコラボするような関係に発展していくのです。
そう、努力は裏切らないし、報われるんですよねー。
その少しずつ仲良くなる一部始終が配信で見られるのがなんだかすごく人間ドラマでいいんです。
ネトフリでは恋愛シミュレーション的なバラエティが流行っているというけれども、よっぽどリアルです。
でも数ヶ月経ってまた同じようにうまく誘えなくてめちゃくちゃ不自然になるのもあるあるです。
人を誘うのなんて私も本当にできないからやろうとしたら全然こうなっちゃうんですけど、そういうの全部晒しているところにとっても親近感を覚えつつ元気をもらえます。
この一連をみて私は夜よいちさんが好きになり、いろいろな切り抜き動画を見るようになりました。
なんなら女性配信者で1番好きまであるかもしれません。
そして、こんなふうに、同じようなサバイバルゲームや大会などでコミュニケーション苦手なのに交流しないといけなくなり、最初はギクシャクしていた関係が少しずつ打ち解けて仲良くなるまでの過程を見るのは配信の楽しみ方の王道とすら感じます。
「陰キャ」のまま、表舞台で輝く世界線もあるという救い
インターネット内の有名人が活躍するところってかつてはアングラなオタクカルチャーの只中にあり、そこで発信する人は脚光を浴びつつも、やっぱり表ではなかったと思うんです。
けど、今は本当にそれが覆ってきていると感じます。
ティーンエイジャーがK-pop好き!みたいなノリでV Tuber好きって言える世界に本当になってきてる。
それは、陰キャのままでも、彼ら彼女らが生み出した代理のキャラクターたちが思いっきりスポットライトを浴びることができるようになったのが、一因なのかなぁと思ったり。
自ら発光してなくても、輝き方を見出せる世界があるのは、ただそれだけでワクワクするし、その世界なら私も楽に呼吸ができるかも、と思えます。
ゴリゴリの漫才も、キラキラのダンスグループもあっていいけど、こういうエンタメが私は好きです。
過去にVTuebrの魅力をまとめた時にかいた「強くて弱い」の意味合いの一つです。なんで「陰キャ」の話からなの?と思われた方もいるかもしれないのですが、本質的な魅力の一つなんじゃないかってまだうまく言語化できないながら思っているのでここからにしました。
今後もこんな感じに私が好きだと思うVTuber、ライバー界隈の魅力を主観たっぷりに紐解いていきたいと思います。
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