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ロシアからのメッセージ

サッカーW杯が開かれているロシアからメッセージが届いた。日本代表を応援するため、現地に旅立った自称・サッカー通の知り合いからで、実に浮かれた内容。日本代表が、アジア勢として初めて、W杯で南米の代表チームを破る"歴史的快挙"にすっかり舞い上がっている。現地に足を運んでまで応援しているのだから、その辺りはご愛嬌だが、次のセネガル戦にすでに勝った気でいるのは気になる。テレビで見た限り、セネガル代表は強い。サッカー解説者や専門家からも、日本の苦戦を必至と見る向きが優勢だ。

勝って当然

「この日のコロンビアなら勝って当然だ」と歓喜に沸くサポーターたちを斬って捨てたのは、辛口批評で知られているサッカー解説者のセルジオ越後氏だ。試合後、サッカーダイジェストWEB版に登壇し、この試合の"歴史的勝利"が次のセネガル戦の参考にならないとする。

立ち上がりに相手が退場でひとり少なくなり、そのファウルで得たペナルティーキック(PK)で先制点を挙げることができたほか、コロンビアのキーマンであるハメス・ロドリゲスも不調。これだけの幸運が重なったのだから"番狂わせ"というのは筋違いとの見方だ。

確かにセルジオ越後さんの指摘は的を射ている。スポーツを"たら・れば"で語ることに意味がないが、たとえ格上とはいえ、相手チームよりも多い人数でプレイし、先制点も取り、さらにゲームメーカーも不在である事実は大きなアドバンテージに違いない。

その上で、セルジオ越後さんは「1点をリードし、しかも相手がひとり少ないのに同点に追いつかれるまで追加点を奪えない。奪いに行く姿勢も見せられないところが問題」とし、次のセネガル戦に不安を呈した。このままではセネガル、ポーランドに足元をすくわれると警鐘を鳴らす。

セネガル強し

実際、セネガルは強い。日本代表の勝利で興奮さめやらぬ中、テレビで観戦したセネガルとポーランドの試合で、それを思い知らされた。アフリカの代表チーム特有の身体能力の高さが特徴というだけでなく、洗練された組織的なサッカーも実践している。ポーランド代表のエース・レヴァンドフスキをチームで抑え切ったのは、その証とも言える。

攻撃陣も潜在力が高い。日本では英プレミアリーグ・リバプールに所属するマネばかりがクローズアップされているが、追加点を取ったニアンも侮れない。当たり負けしない強い身体だけでなく、巨体に似つかわしくないスピードを併せ持つ。"怪物"として知られるベルギー代表の大型FW・ルカクを思い起こさせる。

サッカー解説者や専門家もセネガルの力を警戒している。サッカー解説者の藤田俊哉氏は「セネガルの組織力、この守備の強さ。そしてカウンターの速さ、非常にチーム力が高い。日本にとっては非常に手強い相手ですね」と話した。ツイッターでも多くのサッカーファンがセネガルの予想以上の力に脅威を感じているようだ。

手の平返し

一緒にセネガルとポーランドの試合を見ていた奥さんも、サッカーに詳しくないながらもセネガルの強さを肌で感じ取ったようだ。ポーランドに一歩も引かない様子を見て、「セネガルって弱くないよね」「セネガルって強くない」「セネガルって強いよね」と聞いてくる。言葉が変わってきたのは、おそらく時間が経つにつれ、セネガルへの評価が上がってきたためだろう。

25日に行われる日本とセネガルの試合。奥さんは思いっきり楽しめそうだ。そもそも日本の方が強いと思っていれば、勝って当然ということになり、そこで苦戦するようならば、フラストレーションばかりが溜まる。ところが、相手が強いと思えば、それがない。健闘しているように感じ、ドキドキ感が試合終了まで続くはずだ。

ロシアで浮き足立っている知り合い。日本を発つ前、「初戦のコロンビア戦に勝てば、必ず本戦に行ける」と何度も繰り返し、セネガルは眼中にないとでも言わんばかりだった。セネガルが強くて日本が苦戦を強いられれば、イライラが止まず、果てには日本選手に向けて不満をこぼすことになるだろう。その対象は"半端ない"で一躍英雄になった大迫も例外ではなさそうだ。

個人的には、その"手の平返し"をいじりたくなるが、知り合いの不満のはけ口になるのも迷惑だ。そこでロシアから届いたメッセージに対して、こう返しておいた:

(`_´)、、、"強い"セネガル代表を倒せるようしっかり応援してくれろ!

(写真〈上から順に〉:セネガル代表サポーター=THE ANSWER、サッカー解説者・セルジオ越後氏=テレビドガッチ、サッカー・セネガル代表FW・ニアン〈左〉とMF・マネ、決勝点を決めた日本代表FW・大迫〈中央〉=スポーツ報知、セネガル戦でもサッカー日本代表の勝利を期待したい=サッカーキング)

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