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スプラッターな光景と株上昇

ー続・入院、そして手術(中)

病棟の東西を貫く長い廊下。そこに真っ赤な血痕が点々と続く。まるでホラー映画のワンシーン。常に患者に安心感をもたらすよう求められる病院内では、決してあってはならない光景と言える。看護婦が慌てて誰かに床を拭くよう急ぎ指示したという。この事態の中心人物は、何を隠そう、入院中のわが奥さんだ。

関連シリーズ:「入院、そして手術」「パンツの運び屋ー続・入院、そして手術(上)

血痕のフロア

手術で患部を切除した奥さん。体内に溜まってしまう血などを抜き出すため、ドレーンと呼ばれる医療用チューブを埋め込んでいる。ドレーンは奥さんの脇腹の外側にある医療用パックとつながっており、そこに抜き出された血などがが溜まる仕組みだ。

奥さんのメッセージによると、知らないうちにドレインがパックから外れてしまい、フロアにポタポタと血が滴ってしまったとか。それに巡回中の看護婦が気づいたらしい。手術翌日に早くもリハビリの一環として散歩を始めたことが、ちょっとしたハプニングにつながったようだ。

決して狭くない入院病棟フロア。背中越しに「東から西までずっと付いているので拭き取ってください」という看護婦の声が聞こえてきたとのこと。血が付いた距離、数十メートルはくだらない。そのスプラッターな光景に、奥さんもショックを受け、珍しく意気消沈しているらしい。

"真っ当"な一面

「ごめんよごめんよー、床を汚してしもうた」ー。しばらくして奥さんから再びメッセージ。そこからは、誰かに許しをこいたいがそれが叶わず、行く宛のない切なさが滲み出している。奥さんの人として"真っ当"な一面を久しぶりに垣間見た気がした。

ドレーンが外れたこと、そして、それに気付かなかったことに奥さんが気を病む必要はない。看護婦の対応も早かったので、床に血がこぼれたことによる事故もなさそうだ。だから奥さんの入院生活に何ら異変はない。ただ、変わったことは一つだけ。奥さんが見せた殊勝な姿勢に:

個人的に奥さんの"株"がちょっぴり上昇。

(写真〈上から順に〉:病室フロアに転々と続く血痕の出どころは?〈イメージ〉=PR Times、奥さん株が上昇〈イメージ〉=幻冬舎ゴールドオンライン)

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