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世界で一番高価なお茶はどんな味?

中国茶「大紅袍(だいこうほう)」は世界で最も高額なお茶とされている。その値段は何と100g当たり1400万円。同じ値段で中古の英アストン・マーティン製のスポーツカーが購入できる。もしくはスイス高級ブランドのペアウォッチが買える水準。そんなお茶では飲んでリラックスするどころか、逆に緊張してしまいそうだ。ただ、どうしてこんなに値が張るのだろうか。さらに、どんな味がするんだろうか。とても興味が湧く。

年間生産量800g

中国・福建省北部に武夷山という岩場が多い山があり、その地域で作られる「武夷岩茶」の一つが大紅袍だ。このお茶の茶木(原木)は樹齢300年とも400年とも言われ、わずか6本(3本、4本との説もある)しかない。その茶葉を摘んで作るため、年間の生産量は約800gにとどまり、市場に出回らない代物だ。こうした茶木の稀少性が高額の背景にある。

インターネットなどで購入できる大紅袍もある。これは6本の原木を接ぎ木や挿し木で殖やして孫木にし、そこから摘んだ茶葉だろう。それでも割高であるのは変わらない。高級中国茶専門店の神戸岩茶荘では50gを4万3200円 (税込)で提供している。中国食材・惣菜の古樹園は25gを2000円(税別)で販売している。

古樹園は神戸岩茶荘に比べて幾分価格を下げているが、お茶にそれほど興味がない一般の人たちとっては、依然、手を出そうと思えない価格だ。一方、漢方薬・横浜本舗はセール価格で5gを198円(税別)で売っており、かなり値ごろ感が出ている。店によって価格ギャップがあまりに大きく、安ければ安いほど、商品の真贋が不安になる。

香りに特徴あり

風味については横浜本舗が「濃厚な果実や花の香りがして、味わいも深く、濃く、烏龍茶や紅茶ほどの渋味や苦味はなく、香りと味のバランスが絶妙です」と紹介。古樹園は「甘み、渋み、苦味が突出せず、全てが見事に調和したお茶と言われています」とするが、この口上からして実際に味わった関係者がいないようだ。マジか!?

サントリーが2007年にオンライン限定で大紅袍のペットボトルを販売した。価格は330ml入り1260円とか。インターネットメディアのギガジンが試飲したところ、「香りは確かに華やかな面もあり、余韻もかなりあるものの、烏龍茶というよりは何か別のお茶に近い感じ」とのこと。その上で、次のように感想を寄せている:

本格的に本場で飲んでいる気持ちにさせてくれるお茶であり、そこいらで烏龍茶と言って出てくるお茶とは確かに一線を画している感じでした。値段相応かと言われると微妙な感じですが、ネタとしてはかなり楽しめる方ではないかな、と。(ギガジン)

こうした感想などを基に、大紅袍の味について簡潔にまとめると、良い香りがするものの、味はこれといって特徴がない。ペットボトルは価格の割に美味しいとはいえず、ただ話のネタになるだけという内容になりそうだ。お茶に造詣が深い専門家、大紅袍の背景などに詳しい中国茶好きの人たち以外にとっては、きっと購入がためらわれるものに違いない。

1400万円でできること

大紅袍は100g当たり1400万円。米ブルームバーグによると、1400万円あれば、2015年式アストン・マーティンの「V12・ヴァンテージS」の中古車(走行距離約1万3200km)を買ってお釣りが来るらしい。同社の自動車といえば、映画「007」シリーズにもたびたび登場し、メカニック好きの男心をくすぐる格好良さがある。

あるいは、スイスの時計メーカー・ベル&ロス製の超薄型リストウォッチ(1本当たり6万4900ドル)をペアで買うことも可能だ。同社の腕時計はラルフ・ローレンが一目惚れしたことでも知られ、機能性などだけでなくデザイン性にも優れるという。これをプレゼントすれば、たとえ機嫌が悪い奥さんでも、さすがに上機嫌になりそうだ。

奥さんが一番喜びそうなのはこれだろう。豪華客船バイキングのペントハウス・ベランダに泊まる5カ月間のクルーズ旅行チケット。2人分で11万9990ドルとのことだ。ウルグアイの首都モンテビデオや仏領ギアナのサリュー諸島、タスマニア島、マダガスカル島などに寄港し、計21カ国を巡るらしい。想像しただけでも、もうサイコー!

ただ、いずれも重大な問題を抱える。スポーツカーを持つと車庫代や維持費がバカにならない。腕時計も、個人的に夫婦揃ってあまり身につけないのでムダになりそうだ。さらに豪華クルーズは5カ月間の休暇が会社から許されるはずもない。他方、こうした煩わしさが大紅袍には生まれない。買ってしまえば、お茶を楽しむことだけに集中できる。

(;^ω^)、、、個人的には1400万円の大紅袍を買うのが合理的なのかも。

※関連リンク:「作り置きのお茶はどんな味?

(写真〈上から順に〉:茶王」と呼ばれる大紅袍=清香花楼HP、大紅袍の原木=トリップアドバイザー、大紅袍=中国茶専門店「茶茶」HP、アストン・マーティン・V12・ヴァンテージS=ブルームバーグ、「豪華客船による世界クルーズ=ブルームバーグ)




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