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踊らされ続けよう、平穏のために

ミスタードーナツのドーナツを買って帰り、家内にとても喜んでもらえた。ここまで喜んでもらえるならば、また買ってこようという気分にもなる。家内は田中芳樹氏が書いたSF小説『銀河英雄伝説』に出てくるヤン・ウェンリー張りの戦略家であることを思いだす。だから、こちらがうまく踊らされているところも多そうだ。とはいえ、これで良い気分になれるのならば、儲けもの。踊らされるフリを続けよう。

"稀代の軍師"

楽天ポイントの一部が失効期限になるため、最寄りのミスタードーナツに寄った。失効しても300円程度なので、それはそれで割り切れる。ただ、立ち寄る時間があるので、そこはムダにしない。一人暮らし時代に身に付けた生きるための知恵だ。うん、放漫経営、バラマキ財政、ともに絶対反対。あり得ない。

ポンデリング、フレンチクルーラーを2個づつ、計4個を購入。このうち、一つは楽天市場で得たクーポンを使ってタダで買ったものだ。失効予定のポイントの枠から予算がはみ出たが、100円にも達しない。個人的にお得感満載の買い物。こんな時はそれだけで気分が上がる。"稀代の軍師"になった気さえする。

上位互換に抗う

ドーナツを手渡し、シャワーを浴びている間にすっかりドーナツはなくなっていた。「先に頂きました」と家内は満面の笑み。先日、決意みなぎる表情で高らかにダイエット宣言していたことが頭をよぎったが、気づかないフリをして笑顔を返す。選挙公約をごまかす政治家さながらの爽やかさ。

家内はオールドファッションが好みだ。ところが、そんなことは一言もおくびに出さない。とにかく「美味しかった」「嬉しい」のオンパレードだ。費用対効果の高い買い物で気分が上がっているところに、さらに拍車がかかる。そう、実費をそれほど使っていないことに罪悪感さえ感じるほどに。

そんな中で「次はオールドファッションも入れてほしいな」という言葉を聞く。思わず、ぎくり。心を見透かされていたのかもしれない。手の平で躍らせたつもりが、実は踊らされていたことに気づく。やはり、家内は侮れない。稀代の軍師を出し抜く"上の上"の戦略を思いつく傑物なのだ。

計り知れないリターン

和やかな雰囲気で日々を送ることは大切なことだ。だから、たとえ出し抜かれたとしても、それが特段悪いことにも思えない。存分に踊らされよう。ただ、少ないお小遣いはなるべく削らない。カード利用で得られるポイントやアプリで配信されるクーポンをうまく生かす。それが今できる最上の戦略といえる。

先日アップしたコンテンツ「自由に使える3万円、どう使う?」で、ノンフィクション作家・高橋秀実氏がプレジデント・オンラインに載せたコラムを紹介した。高橋さんによると、「私にとって妻のご機嫌ほど重要なものはない。彼女がご機嫌であれば、世界が明るく輝くわけで、そのリターンは計り知れない」。

あらためて頷けるところがたくさんあることに気づく。

(写真〈上から順に〉:コトブキヤHP、ナンJスタジアム、ミスタードーナツHP)



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