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強者、旅立ちのとき

「青虫7号」の物語

わが家のベランダで保護したナミアゲハの蛹に羽化の兆しが見え始めた。鮮やかなグリーンの体色が日ごとに茶褐色を帯びだしている。無事、成虫になり、ヒラヒラと華麗に空を舞う日が早く来るよう祈るばかりだ。幼虫の頃から育ててきたため、思い入れも一入。きっと立派に旅立ってくれるに違いない。できれば、その姿を見届けたい。

この蛹、元は「青虫7号」と呼んでいた。名付け親は奥さん。ベランダで見つけた8匹の幼虫のうち、唯一、生き残った"強者"で、体色が黒く体長も小さい幼虫のうちから屋内に保護して愛でていた。2018年晩秋のことだ。

葉っぱを選り好みするため、食が細く、ほかの青虫たちに比べて、なかなか大きくならない。これで蛹になれるのかと心配したこともある。それでも、どうにか蛹に成長したときは喜んだ。そして、そのまま冬を越した。

早めに屋内で育てたため、青虫の体内に卵を産みつけて寄生させるヤドリバエなどの被害も避けられたはずだ。チョウになるまであと一歩のところ。見守ることしかできないのが実に口惜しい。青虫7号が開け放たれた窓を抜け、屋外に向かって舞うのを早く見たい。

チョウになっても名前は変わらず青虫7号だ。​ちょっとDQN(※用語)か!?

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(写真〈上から順に〉:ナミアゲハの成虫=PHOTOHITO、蛹化した青虫7号が茶褐色に=奥さん)

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