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親父のキモチ

ー変わらぬ性格と新たな境地

父親が誕生日を迎えた。おめでとうとメールを送ると返ってきた言葉は「ありがとう。ただ、この歳になって誕生日を迎えるということは1日1日、寿命が縮まるということだ」。さすが、わが親父。幾つになっても、一言多いところは変わらない。

ありがとうと言えば、それで済むことなのに、それだけで済まさないところは齢を重ねても変化がない。かつて母に「余計なことは言わないように」とたしなめられていた姿を思い出す。返信を読んで思わず吹いた。

「人はみな泣きながら生まれてくる」ー。シェイクスピアの戯曲『リヤ王』にあるよく知られた台詞だ。この言葉について、作家の五木寛之は「人間の一生は日々死へ向かって進んでいく旅である」と解釈した。

「人間はオギャアと生まれたときから死に向かって歩いていく旅人のようなものだ」というのは、文芸評論家の小林秀雄。わが敬愛すべき親父も、長い人生の道のりの中で、"大先生たち"と同じ境地に達したということか。

なんか生意気だ。

(写真:ダンディーな爺さん=pixivision)

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