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ひらがなエッセイ #4 【え】

    話は昨日の続きになるんだが、何故私が頑なに軽井沢絵本の森美術館に行きたかったのかと言うと、国民的アニメ「ちびまる子ちゃん」の原作者、さくらももこさんが憧れた天才絵本作家【エロール・ル・カイン】の原画展が開催されていたからなのであった。まぁ、軽井沢を2人で歩きたい、という不埒な思いもあった、確かにあった、けど今はそんな事は置いといて、上の絵を見てくれよ。なんやねんこの配色、月の細さ、右から3番目の女の人の頭どないなってんねん。好き。ってな具合で私の心を捉えてやまないのが【エロール・ル・カイン】その人である。

    例えば美術館などで絵を鑑賞する時に君は何を思う。私は前後のストーリーを想像する。ムンクの叫びだって、朝から晩まであそこに居た訳ではあるまい、叫んだ後、帰ってお風呂に入りご飯も食べただろう。もしくは食後なのかも知れない。まぁ、何を感じようが自由なんだが、私は、そんな事を考えている。平面的な鑑賞から立体的な鑑賞へと変わっていく感覚、そこに木が描かれていたら、木の匂いがして来て、やがて風が吹いて来る。どんな風だ、その風はどこから来て、そしてどこへ向かうのだろうか。そして私もまた、その風に吹かれながら、次の世界へと移動していく。まるで現実とは違う世界線で存在する、いくつもの現実を渡り歩いているかのような、不思議な感覚になれる。まぁ、何度も言うが好きに見れば良いのだけれども。

    さて、上にある絵は、グリム童話の「いばらひめ」(ねむりひめとも言う)なのだが、この挿絵を見た時に、私が読んで想像していた世界とはまるで違う、街中におもちゃ箱をひっくり返したような夢のある世界が広がっていて、想像力と表現力の圧倒的な違いに打ちのめされた。紹介したい作品は沢山ある。私は嘘偽り無く、彼の作品を知る事で、想像の幅が広がった。ちょんまげ、ってあるでしょう。あんな髪型過去に存在しなかったら、現代のどんなカリスマ美容師でも思いつかない。剃って結って乗せるみたいな。まぁ、それは良いんだけど。

    有名であれ無名であれ、凄い人、本当に沢山いる。生きていくって事は他人の感性に触れるって事。そしてその量が多ければ多い程、想像力が膨らんでいくという事。ウィキペディア片手に会話する、想像力や知性が退化した情報化時代の野蛮人と揶揄されぬよう、暮らしていきたいものですわな。

    最後にもう一つだけ、みんなでこの絵を鑑賞して今日はお別れとしよう。


    「アラジンと魔法のランプ」

    【エロール・ル・カイン】

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