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新刊『未来のセックス年表』(SB新書:2019年3月刊行)執筆日誌・第1話(坂爪真吾)

2019年3月に、SB新書(SBクリエイティヴ)より『未来のセックス年表 2019-2050』というタイトルの新書を出す予定です。

『未来の年表』(河合雅司:講談社現代新書)の二番煎じかよ!と思ったそこのあなた。概ねその通りです(笑)。

もちろん、内容は単なる未来予測ではなく、タイトル通り「日本人の性の未来」です。

人口減少社会とテクノロジーという二つのキーワードを軸に、これから約30年の間に起こるであろう私たちの生と性(恋愛、結婚、不倫、性風俗、ポルノ、AV、アダルトVR、LGBT、性暴力被害、同性婚、夫婦別姓、セックスロボット、障害者の性、高齢者の性、生殖補助医療等)の変化を予測します。現時点で、既に6万字くらい出来上がっております。

経済学やビジネス書の分野では、近未来のトレンドや株価を予想する「未来予測」は盛んに行われており、書店には「20××年、日本経済はこうなる!」「20××年、世界経済崩壊!」みたいな、根拠があるのかないのかよく分からない本が絶えず刊行&陳列されています。

こうした経済学やビジネス書に比べれば、ジェンダーやセクシュアリティの分野では、いわゆる未来予測をテーマにした書籍はほとんど存在していなかったのではないでしょうか。

未来の社会における性をテーマに本を書くとすると、性風俗やAVの未来、恋愛や結婚の未来、不倫や売買春の未来、AI・VR・ARといったテクノロジーが私たちの性に与える影響、セックスロボットなどなど、それっぽく書けそうなことはてんこ盛りです。ちょっと考えるだけでもドキドキ&ワクワクすると思います。

しかし、実際に一冊の新書として『未来のセックス年表』を書くとなると、ちょっとやそっとでは越えられそうにないハードルが山のように出てきます。

『未来の年表』が売れたのは、「エビデンスのある未来」=人口統計というほぼ100%確実に起こる未来予測をベースに議論を行うことができたから、という分析が通説です。

一方、性に関しては、まともな統計データがない。予測の根拠となるような数字やエビデンスも無い。分からないことが多すぎる。

そして何より、未来予測以前の問題として、過去に何が起こっていたのか、そして現在に何が起こっているのかすら、十分に把握されていない。

まともな研究者であれば、まず書けない(書きたくない)テーマだと思います。一歩間違えれば、トンデモ本になりかねませんしね。

またライターが書いたとしても、実際の性の現場で起こっていることは把握できないし、これまでの歴史を踏まえて「これからの私たちの社会が向かうべきビジョン」を描き出すこともできない。せいぜいウェブニュースや文献の切り貼りみたいな代物、良くてもコンビニで売っているムック本のような内容にしかならないはず。

研究者では(エビデンスを出せないため)書けない。

ライターでは(ビジョンを出せないため)書けない。

そう考えると、性の未来を考える=「未来の社会のあるべきビジョン、私たちが向かうべきビジョンを提示すること」は、まさに我々NPOの仕事の一つではないでしょうか。

エビデンスの有無に良い意味で囚われず、そしてポジティブな意味での「予言の自己成就」を狙うべく、研究者でもライターでも言語化できない領域を言語化して、社会に届ける。ある意味では、これまでの障害者の性・高齢者の性・不倫・買春・風俗・パパ活と同じですよね。

そう考えると、「頼まれてもいないのに火中の栗を拾う男」として(笑)、私がやる意義はそれなりにあるのかなと考えております。

といっても、私は占い師ではないので、未来の「予言」はできません。

思想信条的にはリベラル(中道左派)寄りのNPOとしての立場から、過去と現在を参照しつつ、「未来の性がこうなれば、より多くの人が幸せになれる」というビジョンの提示、及び「未来の社会では、こうしたリスクが生じる可能性があるから気をつけろ」という警鐘を鳴らすことを通じて、皆さんが未来の性を考えるきっかけとなるような視点・情報を提供できればいいのかなと。

ただ、これまでの新書と比べても、取り扱うテーマが多岐にわたり、難易度が桁違いなので、今回はnoteを活用したオープン形式=執筆状況を随時ウェブ上で公開していく形で進めていきたいと思います。

多くの方々からご意見や情報をお寄せいただき、みんなでつくる『未来のセックス年表』になれば・・・と考えております。

ご意見・ご提案がございましたら、私のツイッターやメール(m@whitehands.jp)まで、ビシバシお知らせ頂けると幸いです。

それでは、2019年3月の刊行まで頑張ります!

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