セックスワークサミット 「コンビニから消える風俗情報誌の未来 ~『俺の旅』の存続を考える~」開催レポート(2019年3月23日)

2019年3月23日(土)、東京・池袋にて、セックスワークサミット 「コンビニから消える風俗情報誌の未来 ~『俺の旅』の存続を考える~」を開催いたしました。

今回のサミットのテーマは、「コンビニでの成人誌取り扱い中止に伴い、休刊が決まった風俗情報誌『俺の旅』の存続戦略を考える」です。

2019年、大手コンビニ各社は、店頭での成人向け雑誌の取り扱いを中止することを発表しました。同年8月末までに、全国のコンビニの店頭から成人向け雑誌は事実上消えることになります。

そうした中で、2003年から約15年にわたって刊行されてきた風俗情報誌『俺の旅』の休刊が決まりました。

「なんとかして『俺の旅』を続ける方法を考えたいので、多くの人の知恵を貸してほしい」

編集長の生駒明さんよりこうした依頼を受けたことを受けて、今回のサミットでは、『俺の旅』を今後存続させていくためにはどうすればいいかを、みんなで議論しました。

会場は満員御礼、メディア取材も複数入り、立ち見が出るほどの盛況ぶりでした。『俺の旅』関係者のライターや漫画家さん、学生、経営者、風俗メディア関係者をはじめ、20代から70代まで、幅広い世代の参加者が集まりました。

参加者の方々には、生駒さんからのプレゼントとして、『俺の旅』一冊と議論の資料、3年前の生駒さんの取材記事(FENIXZINE)が配布されました。

第一部は、生駒さんのご講演。

約50分間、「風俗業界のキング牧師」とも言えるような熱いメッセージを語ってくださりました。

生駒さんの講演の全文はこちら

後半では、『俺の旅』の現状と課題について、生駒さんにホワイトボードで手書きの資料を用いて解説して頂きました。

第二部では、『俺の旅』を存続させていくためのアイデアについて、会場の参加者の方々からの意見・提言をもとにディスカッションしました。

参加者の方々に、事前に配布した付箋に意見やアイデアを書いていただき、「デジタルコンテンツ」「紙媒体」「その他」のカテゴリーに分けて貼っていきました。

理念的な内容が中心だった前半から一転して、会場におられた風俗メディア関係者、風俗情報誌の編集長・ライターの方々から、具体的な意見や厳しい質問が飛び交いました。

「デジタル化の波に乗る云々というのは、ぶっちゃけ10年以上前の議論では」

「裏モノ系の雑誌のコンテンツをウェブ化してダメだった前例はあるが、それらの事例や教訓はどこまで調べたのか」

「風俗客のことを考えて雑誌を作りたいとか思っているのは、生駒さんだけ。そもそも読者もいないし、お金にもならないのだから、やめたほうがいい」

「現在の発行部数はどのくらいなのか」

「いつ頃から赤字なのか」

「広告費・製作費・人件費はどうなっているのか」

「広告掲載料が安すぎるのではないか」

「店から広告を取ってこられないのか。吉原のすべての店に頭を下げてお願いすれば、一軒くらいは出してくれるところがあるのでは」

「これまでの記事の版権はどうなっているのか。会社を辞めて独立するにしても、『俺の旅』の名前を使ってトラブルにならないのか」

「そもそもコンビニで『俺の旅』が売られているところを見たことがないが、実際にどれだけの割合がコンビニで売られているのか」

「風俗情報誌を買う人は、別にコンビニでなくても書店でも買う。むしろコンビニより書店で売れている情報誌もある。コンビニで売れなくなったから休刊、という理由がよくわからない」

「コンビニ販売の雑誌については、取次との関係で仕方なく毎号作っているだけのものもあり、出版社としては、本音を言えば経営的にも早くやめたかった、という雑誌もあるのでは」

などなど、かなり突っ込んだ質問や意見が飛び出しました。

ネットには全く詳しくないという生駒さんに対して、「今日、これから今すぐツイッターを始めた方がいい」「フォロワーが最低でも数千人いないと、情報発信者としては話にならない」という指摘も。

生駒さんご自身も、そうした質問に対して明確な回答や反論ができない場面もあり、会場がやや重い雰囲気になる一幕もありました。

一方で、生駒さんのキャラやこれまでの経歴を最大限に生かして=ブランド化して、風俗街の体験・グルメツアーやお店のプロデュース、最近盛り上がっている女性のストリップ鑑賞や女性向け風俗に関するコンテンツ作り、作家デビューやYouTuberデビューをしたらどうか、という意見も提案されました。

クラウドファンディングでの資金集めについても、議論が盛り上がりました。

風俗メディア関係者の方から寄せられた「どんな業界でも、情報誌が一つだけになると、その業界はダメになる。だからこそ『俺の旅』には頑張ってほしい」という声が印象的でした。

生駒さんご自身が「やはり紙媒体が好き」とのことだったので、生駒さんの強みを最大限に発揮するためにも、シティヘブンやkaku-butsuの隙間を縫って紙に特化する方法を探すべき、という声も上がりました。

「うちの雑誌の紙面を提供するから、そこで何か書いてくださいよ。ただし、法律に触れない内容で(笑)」といった温かい声も寄せられました。

最後に、会場の参加者一人一人から、『俺の旅』と生駒さんへのメッセージを口頭で発表して頂きました。

気が付けば、あっという間の4時間でした。終了後の懇親会も、三次会=深夜3時まで(?!)盛り上がったそうです。

<参加者の感想(一部)>

●長年の読者の方からのご感想

「生駒さんは日本で唯一の人材。自信をもって頑張ってほしい」

「生駒さんのこれまでをまとめた本が読みたい」という声は数多く上がりました。新書化、期待しております!

編集長として15年間走り続けてきたことに対して、「まずはしばらく休まれてください」というねぎらいの言葉も寄せられました。

●風俗メディア関係者の感想

●『俺の旅』の内容、編集方針に対する批判的な感想も

『俺の旅』は、つまるところ「生中出し(避妊具を付けずに、女性の膣内で射精すること)こそが最高!」「みんなで全国を旅して、生中出しをしようぜ!」という雑誌では・・・、という厳しい意見も会場から出ました。

「生中出し」を推奨することが、果たして今の業界、及び社会状況の中でどれだけ意味があることなのか。

そしてユーザーは本当に「生中出し」を求めているのか。「生中出し」はそもそも「風俗」ではなく、単なる「売春」ではないか。

事実上の売春行為を煽る・至高の目的と定義している「風俗情報誌」に、どこまで社会的な存在意義があるのか。

生中出しにこだわる限り、お店側や働く女性とは永遠に繋がれないのでは。違法行為の推奨を、ネット上ではなくわざわざ紙媒体の雑誌でやる理由や意義は一体何なのか、という根本的な疑問も呈されました。

●学生の方からのご感想

政治的な正しさ、及び雑誌の継続性を担保するという観点から『俺の旅』の表現内容の偏りを指摘する意見も出ました。

確かに、現行の『俺の旅』の内容をそのままウェブ上にアップしたら炎上することは間違いないと思います。

●業界とは接点のない一般の方からのご感想

●「テーマが消化不良」というご意見も

議論の内容が「生駒さん本人が『俺の旅』をどうしたいと考えているか」に偏ってしまい、具体的に読者が何を求めているのか、そもそも読者はどれくらいいるのか、これからの風俗情報誌としてどういうコンテンツを出せばマーケットに受け入れられるのか、といった議論があまり深まらなかった、という指摘がありました。

社外秘ということで雑誌の現状に関する具体的な数字が出せなかったこともありましたが、「作り手の熱意や根性論だけでは、紙の雑誌はもはや維持できない」ということが今回の休刊で明らかになった(そんなのはとっくの昔に明らかになっていたよ、という指摘も会場からありましたが)ので、引き続き個人の熱意や根性論だけでどうにかしようというのは、土台無理な話だと思います。

一方で、コンテンツ作り、そして文化としての風俗を殺さずに生かしていくために必要なのは「作り手の熱意」であることは間違いないので、熱意をうまくマネタイズする仕組みづくりが急務だと感じました。

●情報発信とマネタイズを両立させるために

今回の問題は、『俺の旅』だけの問題=一つの風俗情報誌だけの問題ではありません。

風俗に関わる情報を、法律や規制、政治的な正しさや道徳とうまく折り合いをつけながら、社会の中でどう発信していくか(そしてどのようにマネタイズしていくか)という問いは、風俗に関わる全ての人に突きつけられている問いでもあります。

今回のサミットが、多くの人にとってこの問いを「他人事」ではなく「自分事」として考える契機になれば、主催者として嬉しいです。

ご参加下さった皆様、そしてゲストの生駒さん、本当にありがとうございました!

PS:生駒さん、休刊後は、次のステップへの充電も兼ねて、まずは温泉等でゆっくりお休みになられてください・・・!

セックスワークサミットの今後の開催予定はこちら


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