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性の現場から見た「女性の貧困」の10年(セックスワークサミット2019 秋の大会@渋谷・一日目)開催レポート

2019年9月22日(日)~23日(月・祝)、東京・渋谷にてセックスワークサミット2019 秋の大会を開催いたしました。

一日目は、『性の現場から見た「女性の貧困」の10年』というテーマで、水無田気流さん(詩人・社会学者)と中村淳彦さん(ノンフィクションライター)のトークセッションを行いました。

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当日の論点(会場配布資料)はこちら

この10年間に起こった女性の貧困をめぐる社会情勢の変化、変わった部分と変わらなかった部分に対して、社会学者とノンフィクションライター、それぞれ異なる立場・視点からの議論が交わされました。

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<参加者の感想(一部)>

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⇒水無田さんのアカデミズムからの視点、中村さんの性風俗やAVの現場からの視点、双方の視点の違いが(どちらが良い・悪いを超えて)浮き彫りになったトークセッションだったと思います。

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⇒「性の現場から見た10年」というテーマでしたが、この10年間に起こっていることは、2000年代前半の新自由主義改革の帰結として生じていることである、という水無田さんのご意見を鑑みると、また違った視点で年表を理解することができると思いました。

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⇒前半のトークセッションでは、統計データ・歴史・先行研究・サブカルなど情報量がみっちり詰まった密度の濃いお話をされる水無田さんのお話が中心になり、中村さんに実際に現場のお話をお聞きする時間を十分に確保できず、進行の不手際で失礼いたしました。。。

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⇒大学院でセックスワークと貧困に関する研究をされている院生の方をはじめ、現役の学生の方のご参加も多かったです。今回の議論が刺激・参考になれば嬉しいです。

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⇒中高年世代の男性の主張する自己責任論が、将来彼ら自身の首を絞めることになるのでは、という議論も。

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⇒中村さんによる北関東取材の話には、会場が騒然となりました。

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⇒「新自由主義がすべて悪い」という話は確かに説得力はあるが、実際に新自由主義的な価値観に支配された性風俗やAVの現場には届かないのでは、という意見も出ました。

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⇒中村さんのスタンスに対する批判、水無田さんの表現に対する批判も上がりました。それぞれ「誇示」「差別」しているように聞こえてしまう、という意見も。

会場には、実際に性風俗の現場で働かれている当事者の女性の方も大勢おられたので、お二人のご意見や表現に対する批判や反発も出ました。

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⇒性の現場における社会課題を解決するためには、アカデミズムと現場、どちらか一方の視点だけではなく、両者の視点が必要不可欠なので、お互いを否定せずに情報や知見を共有しあう場としてサミットを機能させたい、と考えております。

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⇒水無田さんが提示された「女性の労働は、無償労働から低収入労働へ移行した」という視点で近年の動きを捉えなおすと、より課題がはっきりと見えてくると思います。

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⇒風俗で働く知的障害の女性に関する議論も。中村さんの「彼女たちは非常に楽しそうに働いている」という解説をめぐって、意見が飛び交いました。

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ゲストお二人の視点や意見、「どちらが正しいのか」という議論に終始するのではなく、多面体である性の現場においては「どちらも正しい」というスタンスで、課題解決の方法を多角的に探っていくことが重要になるのではないでしょうか。

トークセッションにおいては、進行の不手際もあり、ゲスト・会場の皆様にはご迷惑をおかけしてしまったことを、改めてお詫びいたします。

今回のサミットの議論が、これまでの10年間を振り返り、これからの10年間を考えていくための契機になれば幸いです。

ご参加くださった皆様、ゲストの水無田気流さん、中村淳彦さん、ありがとうございました!

⇒二日目:「障害者専用風俗店」の現場から考える「性に対する合理的配慮」開催レポートはこちら

セックスワークサミット:これまでの開催履歴はこちら

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