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『ソーシャルアクション!あなたが社会を変えよう!』を読んで、はじめの一歩を踏み出そう(坂爪真吾)

2019年9月、『ソーシャルアクション!あなたが社会を変えよう! はじめの一歩を踏み出すための入門書』(木下大生・鴻巣麻里香:ミネルヴァ書房)が刊行されました。

子ども食堂、放課後等デイサービス、LGBT成人式、ホームレス支援、障害者の性や性風俗、障害者運動、新聞・テレビなどのメディア、それぞれの現場で著者たちが積み重ねてきた、社会を動かすための実践や理論が詰まった、文字通りの入門書になっております。

僭越ながら、私も寄稿いたしました。

以下、簡単に各章の「グッときたフレーズ」を解説いたします!

◆ちょっと長めのはじめに(KAKECOMI:鴻巣麻里香)

⇒ソーシャルアクション=「このままではいけない」を「なら、こうしよう」に変えること、というシンプルな定義が心に響きます。

◆第I部 私はここから社会を動かした!

第1章 今すぐできるひとりでできる「子どもの居場所」のつくりかた ~まかないこども食堂たべまなのレシピ(鴻巣麻里香)

⇒鴻巣麻里香さんのKAKECOMI創業物語。「誰も被援助者にしない」という視点、非常に重要だと思います!

*関連リンク  KAKECOMI FACEBOOKページ

第2章 自閉症の環境に不満を持つなら自分で創ってしまえばいいかも! ~わが子のために創った放課後等デイサービス(株式会社アイム:佐藤典雅)

⇒闘う相手は福祉の外側ではなく、内側である、という指摘に共感しました。敵は内側にあり!

*関連リンク 自閉症の息子のためにつくった放課後デイ 家族と一緒に未来を切り開く 株式会社アイム代表 佐藤典雅さんインタビュー

第3章 「あなたはひとりじゃない」を伝えたい ~第一回LGBT成人式@埼玉(第一回LGBT成人式@埼玉実行委員長:松川莉奈)

⇒「当事者」と「非当事者」という境界に抵抗する=作られた境界を共に超えていこうとすることが、社会を変える!グッときました。

第4章 ホームレス問題を解決する六つのチャレンジ ~ビルの軒先を借りて行うシェアサイクル(認定NPO法人Homedoor理事長:川口加奈)

⇒「モチベーションは特に気にせずに10年近くやってきた」とサラッと言える川口さん、カッコよすぎです。「知った責任」を果たす、という生き方は若い世代のロールモデルになるはず。

*関連リンク 認定NPO法人Homedoor

第5章 「なぜ動いたか」ではなく「なぜ動き続けているのか」を考える ~実践者のはまりがちなワナ(一般社団法人ホワイトハンズ:坂爪真吾)

⇒「負のソーシャルアクション」を繰り返す同業者を始末するための雑務(笑)でイライラしていた頃に書いた記事なので、若干トゲがありますが、これからソーシャルアクションを始めたいという方にはぜひ読んでほしいです!

*関連リンク 一般社団法人ホワイトハンズ

第6章 誰かに与えられるのではなく創りたい ~障害当事者の私が切り開く地域生活(埼玉障害者市民ネットワーク:野島久美子)

⇒自分たちが動かないと制度や地域は動かない。社会を動かしたければ、まず自分が動く!という鉄則を学べる章。

*関連リンク 埼玉障害者市民ネットワーク

コラム1:野島久美子という〈磁場〉と地域(新井利民)

第7章 あらゆる当事者から感じ・学び・考えよう ~フリーソーシャルワーカーが国会議員になるまで(衆議院議員:池田真紀)

⇒政治家(特に地方議員)の仕事は、ソーシャルワーカーと重なる部分が非常に多いので、親和性は高いはず。政治家になる、というのはある意味で「究極のソーシャルワーク」だなと感じました。

*関連リンク 池田まき公式サイト

コラム2:ソーシャルアクションもうひとつのかたち~生活保護費引き下げ訴訟の原告となって(橋本真希子)

第II部 私たちは動かされた!

第8章 新聞記者を動かす~プレスリリースは有効、でも最後は人間力(毎日新聞記者:山寺 香)

⇒「記者は取材相手によって育てられる」というフレーズが印象的でした。記者を育てる・育てられるという相互作用が、ソーシャルアクションを起こす上では欠かせないはず。

*関連リンク 誰もボクを見ていない: なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか

第9章 テレビメディアを動かす:キャスター ~自分と同じ思いをしている人はきっといる(株式会社TBSスパークルアナウンサー:岸田彩加)

⇒「fACEBOOKから取材が始まる」時代、SNSとテレビの関係については私も勉強したいなと思いました。

*関連リンク 岸田彩加さんのツイッター

第10章 テレビメディアを動かす:ディレクター ~当事者の物語が世を動かす(NHKディレクター:鹿島真人)

⇒タイミングを見計らって声なき声を社会に発信する、まさにソーシャルアクションそのものだと思いました。

第11章 大学教員を動かす ~実は機会を探している(武蔵野大学教授:渡辺裕一)

⇒現場で動いている人たちの活動や実践を、社会に届く形で翻訳・梱包・流通させてくれる「ハシリテーター」になってくださる大学教員の方と連携できると、ソーシャルアクションもグッとやりやすくなるはず。

第12章 弁護士を動かす ~社会問題に取り組むみなさんと協働したい(弁護士:山田恵太)

⇒「事件がなくても弁護士を巻き込むには」のパートは必読!弁護士にコンタクトする敷居は決して高くない、という点はもっと知られるべきですね。

*関連リンク アリエ法律事務所

終章 社会を動かす ~アイディアが社会を変える(ブランドコンサルタント:福田 淳)

⇒集団の中で最初にリスクをとる「例外ネズミ」であり続けること、という視点は重要。

*関連リンク 株式会社スピーディ

ちょっと長めのおわりに――「社会を変える」ことについての試論的総論(武蔵野大学准教授:木下大生)

⇒「社会を変える」とは何か。木下さんのわかりやすい解説!

「ソーシャルアクション」というと、一部の特殊な人しかできない専売特許や職人芸のようなものとして扱われがちですが、技法や理論を体系化した上で、誰にでも学べる・実践できる形に落とし込むことができれば、社会の息苦しさの解消のために、大いに役立つと思います。

ゆくゆくは、ソーシャルアクションを巻き起こすスキルが、ソーシャルワーカーの「標準装備」になればいいですね。

「社会を変える」ことに関心のある若い世代の方、NPOなどのソーシャルセクターに興味のある方は、是非本書をチェックされてみてください!

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