薄情

自分の内側になにかが足りない気がしていた。
そんな気はずっと前からしていた。
時折思い返すのだ、なにかがいつから足りなくなったのかわからないがなんとも言えず気持ちが悪い。
例えば、白物家電のうちの何かひとつが消えてしまった世界にすんでいるような。。。
洗濯機が消えるとともに「洗濯」という作業そのものを忘れたり、炊飯器が消えるとともに「米食」という習慣があったことを忘れてしまった、何かそういう感じなのだ。何かが欠落していることはわかっても、それがなんなのかわからない。
本当に欠落しているのか確かめようもない。だか、気がついてしまったという確信だけはぶれないのだった。
僕はその、消えてしまったものに特別愛着を持っていたとも思えない。なくなってしまえば不要かどうかの検証はできない。

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