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新しく漫画村のクローンができたのと、海外違法マンガサイトの翻訳スキームが結構半端なかったので広告収入を試算してみた

フーモアの芝辻です。

最近読んで面白いなと思った漫画は、君の名はの暗黒編っぽく、アフタヌーンでも良い感じだけどジャンプに載っている「ヒナちゃんチェンジ」です。第二話が公開されましたので、是非読んでみてください。

さて日々いろんなコトを調べていますが、今回は以下の3つに関して記事を書きたいと思います。

1.新しく漫画村のクローンができた件

漫画村が閉鎖されてから2019年7月現在でおおよそ1年が経ちました。
その後漫画村クローンサイト「星のロミ」(※敢えてURLは載せません)というのが2019年6月に登場しました。
作品数は運営者と思われるTwitter上でどんどん追加されており、このブログ執筆時点(2019年7月5日)で92283冊にまで増えています。

同様に「漫画村.club」(※敢えてURLは載せません)という似たようなサイトも登場しています。

上記サイトは著作権を侵害し、広告利益などを得ていると考えられます。
このサイトを見ようとする日本の読者がいることもあり、このような”いたちごっこ”が続くのかと思うと本当にいたたまれません。

個人的には出版社さんが団結してNetflixなどのサブスクリプションモデルを漫画でも早く築くべきだなと思っています。
違法サイトで変な広告をクリックしてしまったり、利用端末がウィルスに感染してしまったりなどのリスクを考えると必ず読者に支持されると思います。

2.違法海賊版マンガサイトの翻訳スキームが結構半端なかった件

さて、上記で問題となり始めている違法マンガサイトの言語は主に日本語ですが、海外では海賊版マンガと呼ばれる勝手に違法で翻訳されたマンガサイトがめちゃくちゃ乱立しています。
トラフィックもかなり多く、主な収益源は上記の漫画村クローン同様広告収入です。
作品作りに関わっている身としては、あるまじき行為が行われているなと思う反面、やはり世界のユーザーさんのマンガニーズがあることの裏付けにもなっていると思います。

過去に以下の記事を書きましたが、海外の海賊版マンガサイトを調べたことがあります。

海外の違法漫画(マンガ)サイトのランキングを見ると韓国中国製の漫画が上位にランクイン。日本がめっちゃ押されてる模様

その際に感じたのが翻訳のクオリティの高さ!
現地の人に聞くと、海外で出版されている英語翻訳よりも翻訳のクオリティが高いので、わざわざ翻訳クオリティの低い出版されているマンガを買う理由がないとか。

どのようにして、その高い翻訳のクオリティを維持しているのでしょうか?調べてみます。

MangaStreamだとこんな感じで翻訳者を募集していました。

mangareaderなどですと、漫画内で翻訳者を募集していたりします。

両方共読んでみると、以下のようなスキルの方を募集しています。

Translator(翻訳する人)
Editors(編集する人)
Cleaners(吹き出しの文字を消す人)
Typesetters(写植する人)
QualityCheckers(クオリティをチェックする人)※以下QC
Proofreader(校正する人)
Redrawer(多分描き文字(擬音)などを英語に書き換えたり、吹き出しのサイズを変えたりとか)

この時点で7職種、つまり7工程

中に入ってさらに調べを進めると、やった作業分お金稼げるかなとか思いましたが、ボランティア、つまり上記に関わってもお金は発生しないようです。

翻訳の流れは以下とのこと。結構しっかりとやっています。

1.Raw(日本語)バージョンがCleaner(クリーナー)に渡る
・イメージがトリミングなどの最適化・調整
・実際のクリーニング (文字を消す)
・必要であれば書き直しなど
2.Raw(日本語)版がTranslator(翻訳者)に渡る
・テキストの翻訳 (別のドキュメントでやる場合もある)
・イディオムなどの翻訳
・説明必要な文面があればそこの説明文を記載
・ストーリーと合った翻訳かチェックする
3.Translator/CleanerからQC(クオリティーコントロール)に渡る
・日本語しゃべれる人であれば日本語と翻訳文をチェック
・日本語喋れなければ英語文のみチェック
・2パターンぐらいあるのが普通なので、組み合わせやどちらかを選ぶことが多い
・Cleanerからの資料もチェック
3.QCからTypesetterに渡る
・Cleanと翻訳文をもらって、チェックしたあとに翻訳文をCleanに入れ込む
・Typesetterの以下動画
4.TypesetterからQCに渡る
・最終チェックQCからReleaserに渡る
・漫画の投稿を行って、ブログ、redditなどでリリースしたとの情報配信をする。

なるほど、ちゃんとやっているところはここまで人のリソースがかかっているということですね。
ほとんどの海賊版サービスはTranslator、Cleaner、Typesetterのみ採用しています。

普通に翻訳会社にお願いすると、アメリカの書店で売っているような、ダメな翻訳になってしまうようで(全部が全部じゃないと思いますが)、helloscansや上記違法マンガサイトから人を集めているようなマンガ好きに翻訳してもらうことで、書店に売っているところよりもクオリティを上げているとのことでした。

(参考)helloscansのコミュニティ例
※実は彼らへのコンタクト方法が難しく、IRCというメソッドのみで連絡できるようです。IRCとはIPアドレスを隠す連絡方法だそうです。

関わった人達は自分の名前をそこで載せられたりするので、「俺(私)、この難しい日本語表現をこんな感じで翻訳したよ!」という承認欲求みたいなのをくすぐられるんでしょうか?
それとも、ちゃんとした翻訳の漫画を読みたいというモチベーションなんでしょうか?

どちらにしても彼らの善意での行動が、海賊版サイトの手助けをしてしまっているのは間違いないので、心苦しいものです。

3.海賊版サイトの広告収入を試算してみた件

最後におまけで、mangafoxの広告収入の数字が出ていたので、海外違法漫画サイトの広告市場を試算してみました。
結論市場規模はそこまで大きく無さそうです。

<前提>
・mangafoxの広告収入は2,660~3,200 USD/dayと予想されており、平均を取って2,930 USD/day(参考:MyAnimeListmangafox
・対象漫画違法サイトがたくさんあるが以下の10個のサイトの以外にもmangareader.net (※ここでもmangafoxの半分くらいトラフィックがある)
とかあり過ぎでカオス状態。
サイト数が私が確認した海賊版サイト以外を含めて10倍程度あると仮定を置く
・1ドル110円とする

<計算>
mangafoxの年間収益から試算
2930 USD/day x 110円 x 365 day x 10倍 = 1176395000円 ≒ 11.7億円/年(少な・・)

4.まとめ

今回いろいろと調べていて分かったのは、日本人も海外の人も漫画を読みたいニーズが強いんだなと言うこと。
もっとまっとうな方法で、かつクオリティも高く上手く届けられたらこんなことにならないのになぁと思っています。

フーモアでは優秀なメンバーを募集しています。
上記をふっとばすプロダクトを今年の年末前くらいに出します!
我こそはという方是非遊びに来てください!


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