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《18投稿目》Netflix時代 VS 50年代伝説の巨匠たち【おたくダダ漏れ】

夜も深まってきました。朝10時ぶりの投稿で軽くブランクを感じている清田です。


この時間に書いていいならもう趣味全振り、学びなんて一切ないです。


今回のテーマは「Netflix時代に黒澤・溝口・小津は世界に通じるのか!!」

ああ〜幸せ。当初設定していた目的とズレますが、もう誰も読まなくていい。世のシネフィルたちにだけ届けばいい。


Netflix時代に見える変化

今回はNetflixと置いていますが、これはVOD全体の記号として書いています。
利用者数が日本に171万人、世界で1億5千万人いるので、十分代表と言えるでしょう。

サービス開始当初のラインアップは主にハリウッドの大型映画やドラマシリーズが中心となっていましたが、現在はそれに加えてオリジナルコンテンツの配信も行っています。制作作品の傾向としてはジェンダー、海外作品、ヒューマンドラマ以外のジャンルものなど。
未だに大型映画の人気はすさまじいですが、この辺りのオリジナルコンテンツがNetflixの世界観を構築しています。これはおそらくNetflixが世界中で視聴されることを前提とした作品作りをしているからでしょう。


世界的に受ける「メジャー」と言われる作品はあまり量産ができません。今一番ど真ん中メジャーなMARVEL作品はあの派手さ、破壊力と「映画館」という場所とセットなので、実はVODでは映えづらいです。

このように映画館 VS VOD の構図は作品内容にも強く表れる為、それぞれ別ベクトルの制作が行われています。

でも面白い映画は面白い。では過去の巨匠たちは今のプラットフォームにフィットするのでしょうか!

黒澤明・溝口健二・小津安二郎 is だれ?

これは長くなります。絶対に。
語ろうと思えば、一人一晩かかるので、ものすごーーーくザックリとご説明します。


3人とも1950年代に活躍した映画監督であり、国内外からの高い評価により日本映画の《ビッグ3》とも言われる巨匠たちです。
欧米映画界は3人の登場に合わせた邦画ブームを「KIMONO Effect (着物エフェクト)」と名付け、これにより日本文化の発信は大きく前進することになります。


そんな3人の代表作がこちら
黒澤:『羅生門』(1950)、『七人の侍』(1954)
溝口:『西鶴一代女』(1952)、『雨月物語』(1953)
小津:『東京物語』(1953)、『お早よう』(1959)


見たことは無くとも、いくつか耳にした作品があるのではないでしょうか。


そんな3人ですが、同時に語られるのには一つ訳があります。
それが各人の「作品のテーマ」にあらわれています。


黒澤明は常に登場人物の「男性性」を切り取り、その凶暴性や繊細さを描きましたそんな登場人物の姿に感銘を受けたクリエイターは多く、ハリウッドなどでも「黒澤の画角」が多用されています。

溝口は逆、「女性性」の監督です。ただしこれは「女々しい」とは逆。戦後の闇市などで苦しむ女性の強さを正面から捉えた、ドキュメンタリーかと見紛うほど正直な描写が特徴的です。

小津は最高、大好き。「家族」の在り方を映しています。嫁姑、兄弟、姉妹、全て愛しいながら微妙な関係性だと思います。これを静かに、丁寧に、美しく切り取ります。


あぁ〜最高、3人とも。


今、Netflixで評価されるとしたら...

おそらく溝口ぐらいじゃないかと思います。

間違いなく一番有名なのは黒澤明でしょう。ただ、黒澤の名作と言われるのはいわゆるチョンマゲ作品です。今の日本人の若い世代ですら時代劇には興味ないし、海外では当然受けません。こういった映画を見るぐらいであれば、他国の現代問題を切り取った映画を見たほうが有益と捉える層が多い、というのが通説です。

表現は派手でわかりやすいので、当然今でも評価はされています。レジェンドですし。ただ、それはおそらく映画オタクや学者の間だけです。みんなが好きな映画ではないでしょう。


小津の映画は完っ全に、映画オタク向けです。
「世界の映画監督が選ぶベスト映画」というランキングにて『東京物語』が1位を取っていましたが、それはその映画監督たちがオタクだからです。僕等と一緒です。

小津の映画は、静かで、長い。平均1カットが1秒も無い現代では、小津の間が長すぎてすぐスキップされてしまい、作品の良さが伝わりません。


一方、溝口!現代にジャストフィットしているのではないでしょうか!!

作品テーマは主に女性蔑視の社会課題についてや、水商売・風俗でしか働けない女性の現実に対する啓発です。1950年代に溝口が感じていた課題が、現在の社会問題とリンクしています。
こういうのはNetflixが大得意!
決まりですね。

一番すごいのは誰

最後になりますが、当然一番すごいのは溝口なんて言うつもりないです。おそらく一番評価もされていないし、一番知名度も少ないです。偶然、今の社会課題に合っていただけです。

時代時代で評価される軸が違うので、その時の潮流を読むことが大事です。

「未来で評価されればいい、自分の芸術性を知らしめたい。」かっこいいですよね。芸術はいいなぁ。

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