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ディレクターから見た【ネーム】って?

はじめましての人も、そうでない人もこんにちは。
webtoon事業部ディレクターの今中です。

今回は、「ネーム」についてディレクター目線から、迫りたいと思います!



◯ネームってどういうもの?

ネームはラフで書かれた設計図のようなものです。

『2周目冒険者は隠しクラス〈重力使い〉で最強を目指す』の実際のネーム

弊社ではシナリオを提供いただいて制作に入りますが、
絵に起こすことによって見えてくるものがあります。

よりキャラクターの感情が見えるようになったり
ポージングをつけることで会話劇がドラマチックになったり。

その加減を見ながら、「この作品の面白いポイントはココだよ!」とわかるように作っています。まさに「面白さの土台を決める」ものです。

と、同時に「完成までの指示書」でもあります。

チーム制作のwebtoonで自分だけがわかる描き方をしてしまうと、
後続工程に意図が正しく伝わらず、作業が滞ってしまうので
情報をよりわかりやすくまとめる必要があるのです。

特に着彩後のイメージを入れ込むことが重要で、
光源やエフェクトの種類の想定などをしておくことにより
完成までの過程で、ネーム時のイメージを具現化してもらうことが可能になります。

◯何が描いてあればいいの?

要素をまとめると以下のようになります。
_________________
・セリフ(写植込み)
・オノマトペ
・エフェクト指示(ラフ/イメージ画像でも可)
・キャラクター(ラフ)
・背景(ラフ)
・コマ枠
・コマ番号
・後続工程への指示
_________________


『2周目冒険者は隠しクラス〈重力使い〉で最強を目指す』の実際のネーム

描きこみは多ければ多いほどいいというわけではありません。

・地面の描きこみを増やさなくとも、アイレベル(カメラの位置)やパース線を引く
・キャラクターはディティールを描きこまずとも、ポージングがわかるシルエットに表情を描きこむ
などの処理だけでも後続工程の作家さんにイメージが伝わりやすいです。
(後続工程の方にイメージが伝われば良いので、上記手法以外にも良い方法があると思います!)

◯アサインで重要視するポイントは?

アサインとは、その作品で正式に制作をご依頼することです。

最も大事なのは「作品に合っているか」です。
魅力的なネームを描く方が2名いらっしゃった場合、最終的に作品相性で選ぶことになります。

そのほか、「連絡がとりやすい」「資料をしっかりと読み込んでいる」などの基本的なことはもちろんのこと、技術面では下記の項目を重点的に確認しています。
_________________
・シナリオの意図が読み取れているか
・適切な間とテンポが作れているか
・縦の構図を生かせているか
_________________

特に「テンポ」の問題はいろんな方が課題になっている印象です。
間が詰まりすぎているとスクロール幅が狭くなり、窮屈な印象を与えるほか
次の絵が見えてしまって期待値が減る、指が疲れるなどの影響があります。

原稿が完成したら書き出し、作っていた時のことは忘れて、一度読者になったつもりで読み返してみましょう。

弊社ではトライアルを受けてくださった方には不通過の場合にも
なるべく「こうするとよくなりますよ」とお伝えしていますので、
ぜひ奮ってご参加くださいませ。

◯進行中に重要視するポイントは?

前項でお伝えした内容は引き続き重視しておりますが、
アサイン時よりも一層「イチ読者として面白いと感じられるか」を意識しています。

ただ「面白い!」と思う前に「読みづらい!」となることもあるので、
私はおおよそ3段階でチェックしています。

①読みやすいか(視線誘導・テンポ)
②面白いか(絵映え・緩急)
③後続工程への配慮(指示出し)

「こういう作品にしたい!」という気持ちと、「読者が楽しめるか」という客観的な視点のバランスがとても大事です。
フィードバックする際にもそこを意識していただけるよう、注意しています。

◯最近思うこと:3D背景の可能性

ネーム工程では、細かい部分を読み手の想像力でフォローすることがあるため、完成原稿になったときに「思ってたのと違う」となってしまうことがたまにあります。

前述のとおり、ネームは完成原稿までの設計図のような役割があるので、
後続工程の作家さん方に意図をしっかり伝えることが重要です。

その手段として、最近「3D背景をネーム段階で配置する」ことが有力なのでは…!と考えております。

『2周目冒険者は隠しクラス〈重力使い〉で最強を目指す』の実際のネーム

あらゆるツールで3D素材の運用が活発化している昨今、
それらをうまく使えるネーム作家さんがいたら、カメラの置き方や望遠・広角の調整がよりピンポイントで指定できるようになり、完成イメージの解像度が高くなるだろうなと感じています。

ただ、なかなか膨大な時間がかかってしまったりと課題はあるので、
いつか試してみたいな、という手段のひとつくらいになっています。

「あとはキャラクターやエフェクトを入れるだけ!」みたいな
最強のネームが完成する未来に想いを馳せつつ、次にいきましょう。

◯プロ作家に聞くネーム作家の極意とは!

今回、この記事を書くにあたって
『2周目冒険者は隠しクラス〈重力使い〉で最強を目指す』のネームとディレクターを兼任している「あつしさん」にお話を伺いました!

今中:ネーム作家として「これは絶対持っておくべき!」みたいな意識はありますか?

あつし:やはり「読者が絶対につまづかないで読める作品になっているか」ですね。ただ一概に「読者」と言っても想像がしづらいので、私は自分の中に読者ペルソナを設定しています。

今中:読者ペルソナというと?

あつし:たとえば、「スマホでマンガを読むけど、あまり読書はしない中学1年生の男の子A君」みたいに、読者の人格を作ってしまうことです。私が担当する『重力使い』では、彼が読めないだろうなという漢字には全部ルビを振るなどしています。

今中:わかりやすい!作品の読者層に近い視点を持つってかなり難しいですからね。架空の読者を作り上げるのはいい取り組みだと思います!

あつし:あとは「ネームだからといって雑に描いていいわけではない」ですかね…。
集中線や流線とかもできるだけ完成形に近い状態で配置します。
私も余裕がないときは「いい感じの森」とか書いてしまうのですが、やっぱり後続工程の作家さんが困ってしまうので、カラーマンガとしてどうしたいかをなるべくわかりやすく落とし込むようにしていますね。

今中:雰囲気だけ伝えるのではなく、作業の内容まで想定して伝達できるといいですね!ディレクターも「これじゃ伝わらないなあ」という時は参考画像を添付したりしています!

あつし:ちなみに、私は担当作のネーム兼ディレクターでもあることを活かして、SketchUp素材をネームの段階で設置していますよ。

今中:最強のネームを作る人がここにいた…!!

〇まとめ

チーム制作のメリットは何より
各工程のプロフェッショナルたちが化学反応を起こすこと
だと私は思います。

そのためには各工程の作家さんたちの制作環境を整えていくことが重要です。
中でも全体の指示書となるネームでは、「面白さ」はもちろんのこと
「後続工程の作家さんが作業しやすくなるよう、イメージを伝えること」が大事です。

ディレクターはそのお手伝いをするために
「イチ読者として面白いか」と「作家さんが作業しやすいかどうか」の視点を持ち、よりよい原稿にするための相談をしていきます。

〇最後に

作家さんと相談する中でもたくさんの気付きがあり、日々勉強だなと感じています。
今回はその一部を簡単にまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。
みなさんの制作が少しでも捗るとうれしいです!

弊社にご興味持たれた方は下記よりご応募くださいませ!
一緒に楽しく考えられるメンバーをお待ちしております。


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 TEL/03-6228-4310 MAIL/info@whomor.com

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