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鬱が終わらないまま春になってしまった

ベランダに座って煙草を吸う時、預ける肩がないことにももう慣れたよ
扉も半分だけ開けるようになった
ぼくの恋人、マイスリーは製造会社が変わってからなんだか効いている気がしなくて プラセボかもしれない
急に世界があたたかくなってベランダの温度が人肌だ
アークロイヤルのパラダイスティーをどうしても黒いZIPPOでつけたくてメンテナンスしたけれど、黒いZIPPOは君くらいきまぐれでつかないときのほうが多い
こんなとき「ここが悪くなってるからかえないとだよ」なんていいながらメンテナンスしてくれる君はもういない
もう煙草が吸いたいわけじゃない、ただ君と何度も肩を寄り添えたベランダで1人煙草を吸うことで記憶の追体験をしているだけなのかもしれない
頭を預けた壁は硬いや
ライターで火をつけた煙草はやっぱりなんか味が違う気がして消した
長野のリビセンで買ったアンティークのカップで水を飲む
やっぱり眠剤がきかない

なんとかしてわたしは変わりたくて、変わったところを形として君に見せたくて、そんな不純な動機で就活をがんばっては見ているけれど1歩も前に進めている気がしない
がんばっている姿勢を取っているだけなのかもしれない。


-3/31

眠剤が効かないまま時が過ぎて空が赤らんできてしまった。

私はやっぱり秋葉原が好きで、BDを打ってやめようかなんて本気で悩んでいたけれど、自分を応援してくれている人たちの顔を見たらそんな気吹き飛んでしまった。



4/8

ずっと古明地こいしのことばかり考えている閉じてもなおサードアイと共にいる理由は何か

煙草の火をマッチでつけようとして丁寧にマッチ箱を開けるけれどなかなか掴めなくて、走行しているうちに箱の隙間から1本こぼれおちてそれを拾った そんなことばかりだ
深夜2時、3時、この時間は私は別の時間を生きている


お前はもう死んでいる
古明地こいしはもう死んで知るのかもしれない

4/9

久しぶりにZIPPOを分解して丁寧にメンテナンスした
メンテナンスしたばかりのZIPPOで吸う煙草は格別に美味しい
むかし手がかかるお気に入りのカバンのことをきみみたいといわれたことがある
手がかかるしめんどくさいけれど愛おしいんだって
そのカバンをきみがまだ手放していなかったことを知った時にまた少し救われた気がした

鬱が酷くて本当に生存が危ぶまれたので職場の休憩時間を貰って病院を予約した
大きな鬱の後には激しい躁転がくることをよく知っていた
なにもかもわかってはいるのにその大きな力に抗えなくていつもすべてをめちゃくちゃにしてしまうこの病気を明晰夢みたいだと思う。
ああこの現実が明晰夢ならどんなによかったことか

わたしはできることを全てしていてそれでもどうにも抗えないこの病はいつ収まるのだろうか
わたしをひとは嵐みたいだというが、わたしもまたこの病を嵐みたいだと思う
たばこにもう一本火をつける
やっぱりこのZIPPOで吸う煙草がいちばんおいしい
この時間のベランダの誰も人が通らない静けさが好きだけれど今日は誰か人の音がして落ち着かない
この前の海の写真を待ち受けにした
あたまをかかえているあめちゃんのあの悩みに私は終止符を打って
わたしは理解されなくてもきみが理解しようとしてくれた歩み寄ってくれたその軌跡が尊い だからきみとがいいのだ わたしは

きみに胸を張れるわたしでありたい
きみに胸を張れるわたしになりたい

だから私は前に進むために就活を辞めないし自分と向き合ってこの歪みのひとつひとつをただしていく訓練を辞めない
またきみと歩いて行けるように
その日が来るまでわたしは
その日をおだやかに永続的にできるようにわたしは
わたしはちゃんと変わりたい
きみとまたいっしょに春を散歩して夏にバテようよ、秋も散歩してふゆには雪だるまをつくろう
次の誕生日も一緒に祝いたい
きみの生まれた日を

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