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ヤクザとタイ人

ヤクザがタイ人に刺された事件が先日ありました。

最初聞いたときはヤクザとタイ人ギャングの抗争かと思ったのですが、タイ人側は飲食店店員ということを知ると、そうではないのだなと思いました。

先ほど顛末を見たところ、ヤクザがタイ人客の自転車を倒した挙げ句に怪我をしたと言って金銭を請求、さらにタイ人を囲んで「殺すぞ!」と言いながら暴行。
そこにタイ人の仲間が現れて、ヤクザを刃物で刺してヤクザが死亡ということでした。


勝手な想像なのですが、ヤクザは日本人の一般市民に絡む感覚で手を出したんだと思いました。
怒りの勢いでなんとかなる、こちとらヤクザなんだから。
みたいな。

ただ、平和に日本で暮らしてきて、子供の頃からヤクザの面倒くささを学んできた日本人と、タイで育ってきた人との感覚は違うと思います。

微笑みの国と呼ばれているタイですが、殺人発生率は日本の9倍です。

近年では反政府デモで銃撃戦も発生しています。
犯罪も多いですし、凶器も日本ほど徹底して管理されていません。
お金を払えば銃を手に入れられる、なんて話も聞いたことあります。
賄賂がまだまだ使えるので、コネと金があれば出来ることが多いそうです。

人前で怒鳴られることの感覚も違っていて、日本では上司に怒鳴られたら部下が弱っていきますが、人前で怒鳴られることへの恥の感覚が強い東南アジアでは、怒鳴られた部下が上司を殺したり殺し屋を雇ったりすることもあり、自分の国の感覚で現地の方々を怒鳴る人(特に日本人や韓国人)は報復を受けることもあるそうです。

先進国であるアメリカでも人前で部下を叱責することは不味いという常識があるようですが、今でもその感覚が薄い日本や韓国は、年功序列性が「部下には厳しくするべきだし、してもいい」という悪い方向の解釈に働いているのかもしれません。

また、タイではヤーバーという粗悪な覚醒剤があり、一部のタクシーやトラックの運転手はできるだけ働くためにそれらを使用しており、また、若者などの間でパーティードラッグとしても蔓延しており、社会問題になっていたりします。
1錠あたり1500円程度であり、その価格の低さも蔓延の理由かもしれません。一般的なタイ人には高いと思いますが。
*ヤーバーはタイ語で「バカの薬」
*ラオスやミャンマーなどの麻薬製造拠点になっている国と物理的に距離が近いこともその要因になっているようです

なので、タイ人からすれば、怒鳴られることも、「殺すぞ!」と言われることも、日本人とは感覚が違うと思います。

『殺すって言っても、ほんとに殺さないからね』という暗黙の了解がないのです。

日本人なら、暴行される側からすれば「殺すぞとは言われているけれど、謝って金払って耐えれば何とかなる」と思う。

暴行するヤクザ側からすれば「殺すぞとは言っているけど、これは本当に殺意があるわけではなく怒りの表現であり、それは相手も分かっている」という感覚だと思います。

ただ、タイ人からすれば「このままだと本当に殺される」と思うかもしれません 。

銃を持っているかもしれない人、薬物を使っていて正気じゃないかもしれない人、そんな人たちの中で育ってきたタイ人からすれば、「殺すぞ」の重みが違う気もします。

もちろん殺人はいけないことで、それは大前提ではあるのですが、『これくらい普通でしょ』と日本人の感覚で横暴な振る舞いをしたときに、それを受け止めてくれる人だけでは無いとも思うのです。


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