馬溪の門 - 民明書房

 馬溪の門とは、古代中国に伝わる神話である。
 モンゴルからの遊牧民である男が中国の大地主の領域に侵入した際、巨大な門の目の前で止められ、「ここを通りたくば通行料としてその馬と身ぐるみを預けよ」と拘束される。「鳥に通行料を課していないのであればから空なら無料で通行できるのか」、と訊かれた地主は大笑いしながら許可を出したが、刹那馬は空中に虹のような弧を描き30mはあろう門を軽々と飛び越えて行ってしまった。
 彼の本名は最後まで知られることはなかったが、渓流を軽々と下る船のような馬を所有していたことから、馬溪と名付けられるようになった。
このことから、馬溪の門とは「超人的な活躍をする人間にはどんな困難も些事である」という意味で知られている。

 現代では並外れた体力や規格外の行為を行う人間に対し、賞賛の意味を込めて「化け物だ」と称える一幕があるが、語源は馬溪の門が転じた「バケモン」に由来するというのは言うまでもない。

民明書房刊『人馬一体 ~馬と人の知られざる歴史~』より


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