プログラマとお金

2014/05/26 http://anond.hatelabo.jp/20140526215540より

元記事:何故プログラマーは起業に追い込まれるのか

私もプログラマーです。昔は友人と起業して、上場まで見届け、その後は色々ありましたが、今はとある大手IT企業で働いています。ようするに逆のルートです。読んでいて色々思うことが有り、個々について書いてみようと思いましたが、すごく長くなりそうだったので、プログラマーとお金についてだけ書いてみようと思います。

シリコンバレーと日本の給与

私が現在サラリーマンとして得ている年収は大体2500-3000万くらいです。今は日本で働いていますが、シリコンバレーで働いていた頃も同じくらいの給与で、周りの同じレベルのエンジニアも似たような感じの給与でした。私より少し偉い友人は年に40万ドル貰っていて、新卒でも大抵年収10万ドルはもらえると聞きました。直接新卒の人に聞いたわけではないので本当かはわかりませんが、あのエリアの生活コストを考えると恐らく正しいと思います。

では何故シリコンバレーのソフトウェア開発者がべらぼうに高い給与を貰えて、日本のソフトウェア開発者は同じように高い給与が貰えないのでしょうか?日本のソフトウェア開発者は不当に扱われてるのでしょうか?シリコンバレーのソフトウェア開発者は日本のソフトウェア開発者より何倍も優秀なのでしょうか?優秀な人は多いですが、皆何倍も優秀かと聞かれるとそうではないだろう、と思います。

レバレッジされるのは何?

20倍の生産性を出したとしてもせいぜいリニアに給与が伸びるだけです。実際そんなに伸びるかというと、20倍の生産性はピークの差で、平均的なエンジニアとピーク生産性20倍の平均的な優秀なエンジニアの差には20倍の給与を出す正当性はなく、せいぜい数倍でしょう。重要なのは、ソフトウェア開発においてレバレッジされるのは労働力ではなく、プロダクトだということです。

製造業とソフトウェア業がビジネスを行うにあたって大きく違うのは、製造・複製コストです。車とかを考えてみるとわかりやすいと思うのですが、一台作るのに大量の素材と、組み立てを行う工場に、組み立てる人件費と、大きなコストが発生します。それに比べるとソフトウェアは数百メガバイトのネットワーク帯域かCD/DVDを一枚プレスする程度のコストです。このように複製コストが限りなく0に近いため、一度作ってしまえば、同じものを原価0で売ることができます。

単純に考えて、1000個売れたソフトは1個売れたソフトの1000倍の売上が出るわけです。個々の売上の原価は0ですから、利益は1000倍以上になります。乱暴に言ってしまえば、1000個売れるソフトは個売れるソフトの1000倍の値段をかけて作ってもいいのです。

ネットのサービスは利用者が千どころか万や大きいものであれば億が存在し、そして激しい競争に晒されています。競争相手に負けないためには、より優秀なエンジニアを集める必要があります。より優秀なエンジニアを集めるためには数千万を出しても大丈夫なのです。なぜならば世界向けに巨大なユーザベースを持った利益の出るサービスは、人件費を数千万を出しても、顧客がいっぱいいることで、売上ごとの人件費は薄まります。加えて、そのエンジニアによってプロダクトが改善され、さらにユーザが増えれば、より一層そのコストが割安になるからです。

あなたが作っている製品は何でしょうか?それはいっぱい売れますか?もう一つ売るためにあなたがなにか作業しなくてはならない、ということはありますか?競争相手はいますか?競争は激しいですか?

売りたいのは労働力?プロダクト?

補足を読む限り、特に作りたいものがある、というわけでもなく、就業時間後に勝手に副業なり勉強しているわけではなく、ただ危機感があり、それを解決するためには起業しかない、と短絡的に考えているように見えます。

ソフトウェア開発者であれば、別にコンピュータに向かっている時間を切り売りするのではなく、作ったものに対してお金をもらうことは容易です。起業なんてしなくても、空いている時間にプログラムを書けば良いのです。ソフトウェア開発は、起業しやすい業種でもありますが、副業が容易な職種でもあります。飲食店などとは違い、毎日仕込みをして、お店に立って、掃除をしなくちゃいけないわけじゃありません。一度書いて動かしておけば後は勝手にお金を産んでくれます。私も自分が書いたソフトウェアで、毎月生活保護程度のお金が何もせずに入ってきます。気分転換にプログラムを書くのは楽しいですし、職を失った時の保険にもなります。

もしまだ独立していないようであれば、考えなおして見てください。作りたいものが決まってから辞めてからでも遅くはありませんし、作りたいものを少し作ってみて、反響を確認してからでもいいかもしれません。作りたいものもわからずに辞めてしまっては、お金のために今以上に時間の切り売りを行うことになります。

もしすでに独立しているようでしたら、頑張ってください。経理も総務も誰も助けてくれない中、一人で全て責任を持って仕事しなくてはなりません。間違いなくいい経験になると思います。

長文失礼致しました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?