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安室奈美恵が生み出してくれたものは歌だけじゃない

※9/16追記あり

明日、9/16に平成の歌姫こと安室奈美恵さんが、平成最後の秋に引退します。

歌に疎い人でも「アムラー」という社会現象が起きたことはご存じでしょう。全身を安室奈美恵ファッションにした女性が街にあふれていた現象です。1996年をピークに大流行しました。ミニスカート・厚底ブーツ・ロングヘアに茶髪・極端な細眉が特徴で、日焼けサロンなどで焼いた浅黒い肌も好まれました。

それから20年以上、14歳で沖縄から出てきた少女が、明日、その沖縄へ最後のライブのために帰っていきます。

安室奈美恵さんのファンの方達の言葉をいろいろ聞くにつけ、これから日本が直面する「超ソロ社会」における「人のつながり」の重要性を再確認しました。「人のつながり」というものを誤解している人が多いのですが、友達になることだけが「つながり」ではないんです。近頃「孤独=悪」とか「孤独は死に至る病」とか、未婚や一人ぼっちであることがやり玉にあげられていますが、今回は安室さんとファンとのつながりを通して「人とのつながり」とは何か?を書きたいと思います。

※以前書いた"NHK「つながり孤独」は「つながってもいない」し「孤独」でもない"という記事と多少ダブる部分もありますが、再整理して書き直しました。


7/29、日本テレビ系番組『世界の果てまでイッテQ!』の中で、イモトアヤコさんが、長年ファンだった安室奈美恵さんと初対面した模様が放送されました。

アーティストとファンとの間には、AKBグループは別にして、原則直接の交流(直接話し合ったり、どこかに出かけたり)はありません。友達ではないのですから。ファンクラブという場に所属したって、安室さんとは直接はつながらない。そもそも、自分がファンでいること自体、本人には知られていないだろうし、自分の顔も認識してもらえてはいません。にも関わらず、ファンの心の中にはアーティスト自身が、さも一番仲のいい親友のように存在していることがあります。

それは、安室さんが心の中にいるのではなく、彼女の歌やステージを見ることで「安室奈美恵とつながったことで別の新しいあなたが生まれた」のです。

人には自分の外側にあるアウトサイドコミュニティとは別に、自分の内面にインサイドコミュニティがあります。アウトサイドコミュニティとは、文字通り外の世界にいる他人とのつながりです。インサイドコミュニティとは、自分の内面にある、多数の自分自身が存在しているコミュニティを指します。人は誰かとつながることで、無意識に「その人によって生まれた新しい自分」を生み出しています。たくさんの人とつながれば、それだけ多くの新しい自分が自分の中に芽生えるんです。それを僕は「自分の中の多様性」といっています(拙著「超ソロ社会」に詳しく書きました)。

安室奈美恵というアーティストに出会い、その曲を聴き、そのパフォーマンスに酔いしれ、そのファッションを真似すること。それもまた、人とのつながりのひとつの形態です。例えば、「安室ちゃんを好きだって気持ちの自分」が新しく生まれると、その自分が自分本体をものすごく楽しくさせてしまうんですね。誰かを好きになった時、毎日が楽しくワクワクするのはそういうことです。

特に、音楽アーティストの場合は、歌によって元気づけられたという経験をした人は多いんじゃないでしょうか?人それぞれ、好きなポイントは違うかもしれませんが、僕自身は、『必ず誰かはやさしい』(a walk in the park)という言葉や『誰も見たことのない顔 誰かに見せるかもしれない』(SWEET 19 BLUES)などが好きです。今でも結婚式では(CAN YOU CELEBRATE?)は定番ですからね。

安室さんは、決して順風満帆ではない波乱万丈の人生経験をしてきました。貧しい子ども時代~デビュー~結婚~出産~離婚~子育て、そして仕事がうまくいかない不遇の時代や母親の死など、そういう安室さんだからこそ、多くの女性が、女性として、若者として、母親として、仕事する人間として、自分自身に重ね合わせ、そして、新しい自分を生み出していたのだと思います。

つまり、安室奈美恵が直接あなたを楽しくさせていると考えがちだけど、決してそうではなく、ファンとして応援している自分を自分自身が認めてあげられているから、幸せを感じられるんだと思います。

番組で、イモトさんは最後こんな言葉を言います。

あなたのファンになれて私は幸せでした。安室さんに出会えたことで私の人生は楽しく素晴らしいく美しいものになっています

翻訳するならば、「安室さんに出会えたことで、私は私の人生が楽しく素晴らしいく美しいものになっていることに、私自身が気が付けた」ってことです。

だから、「ありがとう」って言葉になるわけです。今回の安室引退に際しても、ファンだけじゃなく、多くの「安室奈美恵とつながった人たち」が口にするのは「ありがとう」という言葉です。そして、この「ありがとう」とは、「応援させてくれてありがとう」であり、「それによって、私は新しい私を生み出させてもらったから、ありがとう」なんです。

安室さんは、多くの楽曲を世に生み出しましたが、それ以上に、多くの人々の内面に「それぞれの新しい自分」を生み出してくれた、平成の大お母さんだったのかもしれません。

「つながり」とは自分の内面に向き合うこと。自分自身の中にたくさんの新しい自分を生み出すこと。自分の中のインサイドコミュニティを作り出し、自分が自分を認めてあげられるようになること。そして、それは自分で自分を肯定できるようになること。

そう考えると、状態として一人でいるとか、物理的にぼっちであることなんか、孤独でもなんでもないってことがわかるでしょう。一人ぼっちだからとか、周りの人たちが誰も理解してくれないからとか、そういう理由で寂しさを感じてしまうのは、きっと「あなたの中にあなたが足りない」からです。そして、それは「あなたがあなた自身のことを大切にしてない・自分を認めてあげられていない」証拠かもしれないのです。


ネット民が称賛した、イモトの安室愛についての記事はこちらです。アイドルを応援するオタクたちも同じことだと思います。


自分の中の多様性について興味ある人は、こちらの記事もお読みください。


※追記9/16

本日ファン4846人がクラウドファウンディングを使って集めたお金で出した広告が掲出されています。企業が自分の商品を売るために広告を出す時代から、買う人たちが自分の感謝を伝えるために広告を出す時代へ。素敵な行動だし、それを実現させたのも、たくさんの人たちの中に「新しい自分」を生んだビッグマザー安室奈美恵の力なんだと思います。

https://www.huffingtonpost.jp/2018/09/15/amuronamie_a_23528470/


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荒川和久@「ソロエコノミーの襲来」著者

4月8日に新刊「ソロエコノミーの襲来」が発売です! 「超ソロ社会」「結婚しない男たち」も引き続き。東洋経済等でコラム執筆したり、テレビ・新聞によく出ます。独身研究家として活動させていただいてます。メディア出演・執筆・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージからお願いします。

それ、幻想かもよ!

本当の自分とか幸せとか、そういうのって全部幻想かもしれないよ。
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