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不安よりやる気を引き出す組織開発 ~医者と組織開発コンサルタントの違い~

「う~ん、少し数値高いですね」
先日、健康診断の結果を聞きにいったら悪玉コレステロールが基準より高くなっていた。お医者さんのやや神妙な顔つきでのその一言は重く、それから揚げ物中心の食生活を捨て脂質の少ない食事に変えていった。怠惰な私にこうした行動をとらせたものは、そう、これ以上数値が高くなると動脈硬化なってしまうという「不安」でしかない。

お客さんに組織サーベイの結果報告をすると健康診断同様どうしても低い数値項目に注目が集まる。このまま放置すれば、さらに離職が増え全体のモチベーションが悪化し業績に影響が出るのではといった「不安」が会議室に立ち込める。そしてその数値を高めるための施策の検討に入っていく。

勿論、このようなプロセスも一つのやり方ではあるが、サーベイで見落としちゃいけないのは組織の「強み」である。概して、組織に課題がある会社は、これまで顧客のために身を削ってきたがために歪みが生じてしまったケースも多く、顧客向けに発揮されてきたその素晴らしい「強み」がいつの間にかその歪みに覆われてしまう。

組織開発コンサルタントの役割の一つは、霞んでしまった組織の「強み」を見出して言語化し、その活かし方を一緒に考えていくこと。組織の「強み」を確認し合うことで全体に肯定感が生まれ、課題を克服するための「やる気」を漲っていくし、組織にとっては「不安」よりも「やる気」の方が強力な行動源泉になるはずだ。組織開発はお医者さんと全く違うアプローチを取る。