見出し画像

独自の強みを発見するには?~コーチング事例から紐解く具体的方法~

「強みを活かす!」
企業研修でよく使われる言葉です。文字通り強みを活かせれば、仕事にやりがいを感られさらなる成長にも繋がります。社会人がキャリアを積んでいく上で最も重要な命題の一つと言えるでしょう。ただ、その強みを正確に認識している人は多くはないと言われています。(※1)


強みを認知するだけでやりがいに繋がる

2019年にリクルートワークス研究所が約1万人のビジネスパーソンを対象に「働きがい実態調査」(※2)を実施しました。その中で社会人が生き生きを働くための要素を8つ(※3)明確にしています。その中で、注目すべきは「持ち味の発揮」と「強みの認知」が別々の要素として挙がっているところです。この二つには下記のような違いがあります。
●「持ち味の発揮」によるやりがい
自分の強みを認識していないかもしれないが、なんとなく仕事が合っていて持ち味を発揮しながら生き生きと仕事を進めている。
●「強みの認知」によるやりがい
まだ強みを発揮する機会に恵まれていないが、自身の強みを認知することで社会人としての矜持を持ち、前向きに仕事に取り組めている。

独自の強みの認知が自信を作り出す

自分の持ち味を発揮できていなくても、自分の「強みの認知」しておくことは、今の仕事にモチベーション高く取り組む上で有効ということが言えます。そして、これまでの私のコーチングの経験を踏まえて言えば、その強みがチーム内で唯一のものであった場合は、その人にとってかけがえのない自信に繋がります。

「強み発掘コーチング」の事例

当社では、その人のオリジナルの強み発掘するコーチングに力を入れております。クライアントの許可を得て、実際の事例を紹介させて頂きたいと思います。

クライアント(Aさん男性)詳細
現在、専門商社の経営管理部に所属し、主に事業部の予算管理を担当。勤続10年が経ち、今後のキャリアのために改めて強みを確認したいという依頼。
●使用したアセスメント
クリフトンストレングス(ストレングスファインダー)(※4)
●セッション時間
約1時間
●コーチング内容
1)まず、アセスメントの結果や既に自分で認識している強みから、改めて自分の強みを6つ挙げてもらい、下記のように配置しました。

2)それぞれの強みについての一つずつ発揮場面を聴いた後、一番気になる強みを挙げてもらいます。
3)Aさんは、「分析力」と挙げましたので、この「分析力」を中心に他の強みとの因果関係、共通性などを話し合っていきます。
4)そして、それぞれの強みの因果関係など確認し合いながら矢印で結び、Aさんの強みのアウトプットプロセス(下図)を作っていきます。

●ブロック①について
Aさんは、データや情報から何かを考察すること(分析力)が得意であると同時に、個別のニーズや相手の特徴を掴みながら会話していくこと(共感力)も強みでした。理と情の両方のアプローチができることがAさんの強みの源泉となりました。

学生時代は部活などで後輩指導(成長支援)を好んでしていて、今は人材育成の仕事に関心が向いているとのことでした。したがって、下記のようなアプローチができるのではと話し合いました。

・持前の分析力を使って会社の育成上の課題を深堀し、研修体系等仕組み作りにチャレンジする。
・共感力をより活かすためにカウンセリング勉強しながら個別の育成ニーズに合わせたアプローチを取る。

●ブロック②について
また、情報収集を行う場合は、持前の社交性を発揮しながら頼りになる専門家と連携を図り、質の高い情報提供を受けていくことも、強みのもう一つの流れとして確認しました。

セッションの最後でAさんは、「この明確になった強みのプロセスを1on1で上司に説明し、所属組織で担っている人材育成の仕事も任せてもらえるように話し合っていきたい」と目を輝かせていました。

最後に

強みを発掘する方法は、コーチング以外にもいくつか手段があります。
①上司や同僚に自分の強みを聴いてみる
②仕事をしながら、どのような強みが発揮されているか意識してみる
③アセスメントツールを活用してみる
これらの手段を組み合わせても有効でしょう。そして、出てきた強みを前述の「強み発掘コーチング」で説明した方法で整理すると、普段見えてこなかったものが見えてくると思います。自己を正確に認識している人は、自信をもってリーダーシップを発揮し、クリエイティブでコミュニケーションにも長けているといいます。※5)是非一度、唯一無二の強みの発掘にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


※1)経済産業省「平成29年産業経済研究委託事業 労働市場における最新技術の活用状況と企業動向等に関する調査」では、日本の約7割のビジネスパーソンは自身のキャリアやスキルの棚卸しをしていないという調査結果を出している。
※2)株式会社リクルートワークス研究所「 働きがいの実態調査2020」
※3)活力実感、強みの認知、職務満足、有意味感、オーナーシップ、居場所感、持ち味発揮、多忙感の8つ
※4)Web上の177個の質問に答えることで、自分の強みや才能を見つけることができる診断ツール。
※5)Increase your self-awareness with one simple fix | Tasha Eurich | TEDxMileHigh

【強み発掘コーチング】