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企業は教育の費用対効果を測るべきか?

 「佐藤錦(さとうにしき)」「紅秀峰(べにしゅうほう)」
果物好きの方はすぐにわかると思うが、山形県のサクランボ、二大品種の名前だ。そして今年、新たに新品種「やまがた紅王」が首都圏に集中出荷されるらしい。本格デビューは来年で今年はプレデビューの年。鮮やかな紅色が特長とのことで、スーパーに行ったら注意して見てみようと思う。
 
 このサクランボ。種から発芽し実をつけるまで4年から5年もの年数がかかるらしい。栽培も難易度が高いほうで、農家の方々が手間ひまかけて栽培し漸く実をつけると思うと食べるときのありがたみを一層強く感じる。
 そして、それは人への教育との共通点もありそうだ。人の成長も相当程度時間がかかり、それを教育する側の丁寧さも求められる。

 新入社員の場合、様々な研修を通じて漸く仕事に馴染み、その後、現場教育を受けながら一人前になるまでに2年から3年はかかるだろう。そして、中堅になればリーダーシップ教育が必要となり、管理職登用前後に研修を受けリーダーとして板につくのが恐らくこれも2年か3年はかかる。
 「教育の根は苦いが、その果実は甘い」アリステレスの言葉。
 まさに企業教育にも当てはまる言葉。
 研修を受け、その後、試行錯誤して失敗を重ね一人前になるまでのプロセスはまさに“苦い”期間だが、確実に土に根を張っているのだろう。そして数年経って漸く成果を享受できる。

 研修予算を組むとき、人事担当者はよく経営から費用対効果を詰められる。
 教育はデジタルマーケティングのように何かアクションを起こしたらすぐに効果を測定できる代物ではない。教育は、人に関する企業の信念・理念を基盤とし、その価値観を大切に愚直に投資し続けるもの。費用対効果の土俵に登ってはいけないものなのだ。